カレー作れないプラトンブレーンバスター~肌に優しいカサゴオイルを添えて~

 どうも!最近は限定メニューでカレーばかり作っているので大久保初期からのコアメイツ(カリーザハードコアファンの総称。ツインビーパラダイスのビーメイツからインスピレーションを得て命名。君はカバンにベルを付けた怪しげな人間に「合言葉は?」と言えるかな?「bee~!」と返ってきたらそいつはbeeメイツだ!お互いのプライドを賭けた號奪戦がはじまるぞ!)からは「どうして最近はカレーばかり作っているのか?」と聞かれることがある。
 理由は超簡単。カレーが作れるようになったからだ。何を言うか痴れ者が、キサマはカレー屋だろうが?ヘヘヘ、ご隠居、あっしはカレー屋ではあるもののカレーが作れない状態でカレー屋になったんでやんすよ。ああん?よくわかんねえことを言うねえお前さん。だったら何屋なんだい?へい、カレー屋でございやす。だからあ!カレー作れなかったんだろ!?ぶっ殺すぞ!
 厳密にはカレーは作れた。しかし自分が店をやる前から作っていた物だけ。さらにそれがちゃんとマネーを貰える品質なのかとか全然わからなかったし間借りで二種作るのもつれえしオペレーションぐだって大変なことになるのは目に見えているしで最初は作らなかった。
 間借りカレーとは言え週五日の営業。日々同じ物しか出していないなら飽きられてしまうかもしれない。同じメニューでやっている店もあるが、そんな完成、洗練されたメニューでもございやせん。ならばどうするか?とりあえずトッピングをやるしかない。

 トッピング、バター!

 わてほんまによういわんわ。なんだよそれ。ただでさえ背脂を加工したシュマルツって濃い脂を溶かして食べるカレーなのにさらにバターって。でもしょうがなかった。オペレーションがまだグダっている初期やがな。
 しかし店をはじめた当初は戦略的混乱をしていたのでトッピングが摂っ散らかっていた。このトッピングは今でいう限定カレーみたいな感じ。普通のメニューの他に日替わりトッピングみたいな。そんな一例を紹介しよう。
・バター
・バターコーン
・チーズ
・ベーコン
・オムレツ
 なぜこんな簡単な物だけなのか?理由は簡単だ。近くの業務スーパーで売っていたからだ。これで銭取るのだからせめてめっちゃ大量に入れようの気持ちでやっていたら正直全然儲からなかった。千円くらいするチーズを100円で8人にしか出せなかった時はちょっとよくわからなかった。
 しかし限定トッピングを作っていてもしょうがない。元々のカレーの味が同じなのだから結局は飽きられる。と、思っていたが怪我の功名か変なトッピングを出していると話題になることも増えてきた。なるほど、とりあえずなんでも過剰にやれば良いのか。。。

 当店は割と色々と過剰なことをphilosophyにしている。フィロソフィー、口に出していきたい単語。ベンチャー企業みたいだ。あっしも一国一城の主でヤンスからベンチャー企業ですかしらねえ?よーし!やりがい搾取!長時間労働!派閥政治!ベンチャーらしく頑張るぞ!ベンチャー企業に恨みはございやせんよ。ただちょっと三十代を雇うには給与が低すぎやしまへんかとワレ、カイシャカラドウドウダッタイスなノリで逃亡しましたが。

 カレーを作ろう。トッピングでカレーを。そんな思いを持ちはじめてきたのが営業一月後とかだった気がする。トッピングでカレー、メインがハンバーグとチキンなのでマトンか?いや、まだマトンは納得いくできではない。そんなことを考えながら大久保で適当に入ったネパール料理屋でダルバートを食べていた。
「ウヒョ~!カレーも良いけどこの豆の汁もウメェ~!」恐ろしいことにこの時はまだダルを知らなかった。ひよこ豆とかインドっぽいカレーは知っていたがネパールカレーはマジでなんの知識もなかった。インネパ系には行ってもナンとカレーしか食べてこなかったので。。。
「これ、豆か!これ簡単そうやな!やったろ!」
 その足で普段スパイスなどを買っていたネパール食材店にイン。その店を使っていた理由は間借り店舗から一番近い店だったから。そんな偶然の出会いなのに現店舗でもお世話になっております。
「さっきダルバート食べたけどめっちゃうまいやんけ。あの豆の汁どうやって作るの?」
「ダルバート!オイシイネ!コノ豆ダヨ!コレ、オマケネ!」
 ムング豆のスプリットを購入し試作。オマケはマジで筆舌に尽くし難い激烈にマズいミンティアみたいなお菓子だった。豆のカレー、よくわかんないしムング豆は1kg入ってるし半分使うか!よくわからんけど水は倍くらい入れといたらええやろ!ジュワワワワー!キャー!!!めっちゃ、めっちゃ吹きこぼれた!ええー!?なんやこれ!?ドロッドロの何かになってるやんけ!?これに炒めた玉ねぎ入れたら店の味になるの!?やってみなきゃわかんねえな!確実に水が少ないのはわかってるがオイラも鬼じゃねえ!そこんトコロは目を瞑ってやる!うひゃあ!ドロッドロになった!まあええわ!
 そして産まれたのがカレー界の忌み子でヒルコ。ストロングダルである。これは超うまい。うま味の暴力。と、こんな感じで今に至る限定メニューを作り続けてきた。限定カレーは多くのお客様に「他では食べたことがない」とおっしゃっていただけるのがハッピーだが、それもそのはず、普通のカレーを作る経験値の少ない人間が知ったレシピをうろ覚えで作成するのだ。もちろんガンガンミスる。廃棄した試作はおっそろしい数になる。だが、このトライアンドエラーのお陰で最近は割と打率が上がってきた。

 しかしえぐい失敗もある。最近の最強失敗は豚ミミを使ったミミガーカレーだ。これは試作が間に合わずに出そうと思った日の朝にぶっつけ本番で作った。豚の耳を下茹で。柔らかい触感がある方が耳のコリコリとコントラストが生まれてよかろうもんと思いガン煮込み。これが良くなかった。今まで作ったカレーは大抵ガン煮込みするとうまくなったのでその通りにやったのだが、薄くスライスすると耳のゼラチン質と白い軟骨がガンガン分離。うひゃあ、単純に茹ですぎやがな。でもまあええわ。とりあえずカレーにしたろかいなとウオリャするとゼラチンが溶ける溶ける。ドロッとしたゼラチンかけらの中にポリポリする軟骨が浮かぶ「魔女の作る秘薬」的見た目の何かが出来上がってしまった。
 ドンマイドンマイ、うまけりゃ良い。とりあえず豚クセエし山椒でも入れて見るかうわああああああ。山椒をドコっと入れると味もへったくれもなくなり、カレーを作っていたはずなのに「単純にまずい汁」を錬成してしまった。何事も驕りは良くない。しっかりと構成を考えて試作すべきだった。

 しかし全廃棄はマジで凹む。金銭面のこともあるが、一番は食材をフルで捨てることの辛さ。とはいえ自分で食べるにもって量なので試作は絶対正義。というか試作しない人いないだろうから俺がダメなのだ。ダメ人間だから。。。生まれ変わって。。。ダメじゃない人間に。。。に。。。なる!!

 最近の限定メニューはカレーを作れるようになってきたのでカレーばかりになってしまっているが、今までは割とトンチキな限定メニューも出してきたので最後にサラっと紹介したい。

■すき焼き
 もはや説明不要。「あ!すき焼き食べたい!」と思ってしまったのでカレーのあいがけですき焼きを作ってしまった。たしか豚肉、豆腐、ネギ、白菜、白滝とかそんなノリ。マジですき焼きで注文された方が「これ、どうやって食べるんですか?カレーに混ぜるんですか?」と聞かれたので「僕もまだ答えが出ていない」とクールに答えたぜ。

■ピザ
 これぞ説明不要。「チーズナンがカレーに合うならピザもイケる」とピザソース、チーズ、ハム、ピーマンをカレーなのでパロタに乗せてオーブンにイン!それだけで食べても不味いはずがないピザをカレーを一面に覆って提供。ピザトッピングを注文されたお客様から「これ、どうやって食べるのが正解ですか?」と聞かれたので「正直わかんないんすよね」と答えた名作。たまたまカレーの有名な人が来た時に出したのでネットで割とバズり違う限定の日に「ピザはないんですか?」と聞かれることが多くなるがカレー屋で言う言葉ではないだろうとクスクスしていた。

■火鍋
 説明不要の中華料理。店主は池袋の大重慶麻辣湯が超好き。これもすき焼きと同じように火鍋をそのまま作ってあいがけで提供。試作した時にカレーと異常に合ったのでびっくりしたが使っているスパイスがほぼカレーなのでそりゃ合うに決まっているか。これは割と人気な上に提供難度が低いので現在もたまに出しているし肉だけでなくホタテやエビなども使ったりしている。万能。

■炒飯
 説明不要の大衆中華料理。カレーと炒飯を一緒に出すのは京都のハードコア名店チャーミングチャーハン様みたいになってしまうのでライスを炒飯に変更できる形で提供。一食ごとに炒飯を炒めるので地獄のような手間。そして炒飯をバシっと美味く作れてもそれ以上に味が濃いカレーに上書きされてしまうので思ったよりもダメだった。でも炒飯のために鍋を振るトランス感が良すぎて採用。油の代わりにシュマルツを使ったので味が上書きされてもうま味が重なって「炒飯の味はしないけど確実に普通の白米より美味くなる」と言われた逸品。次の日、手首が死にかける。

 と、まあこんな感じの試行錯誤や失敗を乗り越えることでカレーを作ることができるカリーザハードコアがあるのです。でも変なトッピングや限定メニューを今も作るのはちゃんとした理由がありまして、普通のカレーを作るという競技では逆立ちしても勝てないと思うことが多いのですが、逆立ちしても勝てないなら上半身裸で釘バットを振り回すことで「カレーを作る競技」から別の競技に変えちまえば新しい評価軸で判断してもらえるんじゃね?といった思いからなのです。

 ルールは守る。節度もある。ただ、競技は俺がやりやすいやつに巻き込む。それもカレー屋である部分は固定してさも説得があるように口八丁手八丁で。
 力を持たぬ雑兵が地獄のカレー道を突き進むにはそのように生きることが大切だと思うのですよ。でも、ちゃんとカレーを作る競技でも張り合いたいと思いながらまた新たなトンチキカレーやスタンダードカレーを作るのです。この工程を見ているミンナ。ミンナは、伝説の途上にいる。連れていくぜ。。。どこかへ!(BADEND 人生はそう上手くいかず俺は割と早く病死するだろう。葬式ではガンズ&ローゼスのノーベンバーレインを流してもらい、ギターソロと同時に出棺。「え!?カリーザハードコアがハードロック!?」そんな思いを切り裂く霊柩車のホーン。火葬場から上がる煙が少しカレーくさい(TRUEEND))。

※本文ココマデ※
ピニャー!なんかだらだら書いてたら四千字越えてもうたがな。長いだけの雑文なんて誰でも書けるし長さを誇る内は絶対にダメだぜ。こっから推敲して半分くらいにしてやっと切れ味が出るってもんよ。昔書いたファンタジー小説は15万字を血反吐はくまで削って9.8万文字にしたな。そんな苦労もむなしく某賞一次予選敗退!人生はうまくいかない!人間は滅亡する!
そんなボキの文章が面白いと思った好事家のミンナ!お金、く~ださい!猫のモノマネ!ワンワン!

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