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いしだ壱成が好きだった。

俳優(元俳優?)のいしだ壱成が、3回目の離婚をしたというニュースを読んだ。詳しく載せはしないけど、内容も酷いものだった。薬物で逮捕されて以来、ろくな話を聞かない。

いしだ壱成は1992年にデビューした。出生そのものも当時ワイドショーのネタになったが、やはり石田純一の息子というのはそれだけで注目を集めるのに十分だった。

所謂2世俳優ではあるが、それとは関係無くルックスと演技力で評価された。中性的なルックスは女性から圧倒的な支持を集め、難しい役柄をこなせる憑依型(カメレオン)俳優として、男性からも愛された。

その代表作が『ひとつ屋根の下』であり、『未成年』であり、『聖者の行進』だ。何れも野島伸司が脚本を担当している。

野島伸司について語るとそれだけで長くなってしまうので詳細は割愛するが、簡単に言うと“その時代の社会問題へのアンチテーゼ”的な作風が特徴。『高校教師』や『人間失格』の他、無数に代表作と言える作品がある。

その野島伸司が、一時期重要したのがいしだ壱成だった。そして彼は求められた事を、求められた以上で返していたと、私は思っている。『未成年』では理不尽な社会に反発する若者グループのリーダーを演じ、『聖者の行進』では実際の事件をベースとした難しい内容で、主人公の知的障害者役を演じた。本当にどちらも素晴らしい演技だった。※『聖者の行進』は演出の過激さと、いしだ壱成と酒井法子がやらかしたせいで、再放送や映像配信はさらていないので、レンタルで観るしか方法無いかも。

私はたぶん何のジャンルにおいても“実力派”と言われる人が好きで、俳優だとカメレオン俳優や個性派が好きだ。30年来の水谷豊ファンだし松山ケンイチが好きだし、いしだ壱成と同時期に活躍した窪塚洋介も好きだった(彼もいろいろあった…)。今もそうだし、高校当時からそうだったから、いしだ壱成が大好きで、憧れだった。

薬物による逮捕以後の体たらくについては語るまでも無いし、語りたくもない。私は自分のアイドルに対して清廉さは求めていない。それを求めるならピストルズもNirvanaも、それこそoasisも岡村靖幸も聴く資格は無いと思っていて、アートや表現と薬物は、切っても切れない間柄だと考えているからだ。コンプライアンスなんてその時代の空気感で、多数派かヒステリックな団体の意見に左右される曖昧な価値観で、アートや表現がそれによって侵食されるなんて、私はごめんだ。

翻って、今のいしだ壱成はただただカッコ悪い。人としてダサ過ぎる。せめてこれ以上、美しい過去を汚さずに生きてもらいたいと願うばかりだ。

本当に、本当にカッコ良かったのだから。

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