秘密警察を宣伝してみる。 #毎週ショートショートnote
「本当、毎日毎日暑くてたまんねーな」
男が呟いた。
男は通信機器の営業マンである。会社から与えられたノルマをこなす為、8月の猛暑酷暑の日々も、ハンカチで汗を拭いながら飛び込み営業を続けていた。
「ちょっと休むかぁ」
時刻は12時45分。炎天下を歩いていたせいか偏頭痛がする。ランチもまだだったから、行きつけの洋食屋に入ることにした。
木製の重いドアを開けるとカランコロンとカウベルの音がする。いつもの席に座り、定番のナポリタンとアイスコーヒーを注文した。
ふとテーブルの上を見ると、星座占いの機械の横に紙ナプキンがあった。片付け忘れだろう。
手に取ってみると、紙ナプキンには文字が書かれていた。
“秘密警察を宣伝してみる”
「…?」
秘密警察を宣伝?秘密なのに?っつか秘密警察って何?公安とかと違うの?誰が紙ナプキンにそんなこと書くの?秘密なのに。あげく忘れるし。コイツ、秘密持たせたらダメな奴じゃん。
ナポリタンが届く頃には、偏頭痛は治っていた。
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