日本ダイエット　♯毎週ショートショートnote

202×年、近未来の日本。

少子高齢化が進み、生産する人口を、消費するだけの人口が上回り始めていた。

「長寿国を誇りにして来たが、このままじゃ経済が破綻するぞ」
「新陳代謝が悪過ぎるのだ。生産しない世代が、生産する世代の生き難い社会にしている」

若年層は危機感を高め、新党を結成、勢いのまま政権を勝ち取った。28歳の若き首相による新政権は、公約通りSMART経済改革を打ち出した。

軸に据えたのは”80歳人間定年制”。通称『日本ダイエット法案』である。80歳の誕生日を迎えた国民は、同時に人生を終了する。苦しまずに終える方法3種の中から、自分で選択出来る方式だ。

年寄りばかりの野党や国民からは大きな反発があったが、政権与党は過半数を占めており、強引に議決させようとした。

議会の前、車を降りた瞬間に銃声が響き、若き首相の心臓を正確に貫いた。

「年寄りを馬鹿にしちゃいけねぇ」
太眉の老練スナイパーは、離れたビルの屋上で一人呟いた。

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