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自宅から球場まで、ユニフォームを着て行くということ

今、僕はカープの真っ赤なユニフォームを着て横浜へ電車で向かっている。

もちろん試合のない月曜日にユニフォームへ袖を通すことはないし、試合がある日だってユニフォームを着るのは球場で試合観戦するときだけである。

あ、ただ去年のCS(クライマックス・シリーズという大事な大会的なやつ)のときには、べつに球場で試合観戦をするわけでもなければ何処かで野球中継を観る訳でもないのに、カープのこれまた真っ赤なTシャツを着て大学に赴いたことがある(授業が終わったらすぐに家に帰って試合を家で観ました)。

ただ、カープのユニフォームを着ることも真っ赤なTシャツを着ることも、年に数回しかないのである。そりゃあできることなら毎日試合を生で観たいのだが、広島という距離は僕が住んでいる小田原からは遠すぎるし、仮に毎日横浜ベイスターズと浜スタで試合をするとしても、経済的な問題や時間的制約による問題が出てくる。

だからこそ、大好きなカープの試合を生で観れる時にはもう朝からユニフォームに袖を通したい。

カープのユニフォームって客観的にみてもすごくかっこいいと思うし、そもそも赤って世界で一番素敵な色だし(これは個人の感想)、僕は世界にあるどんな服よりもカープのユニフォームが一番似合うと思っている(ちなみに僕のパーソナルカラーはブルーベース夏だけど)。

なんならカープのユニフォームを着るために起床して、球場まで赴いているまであるのだ。

なので当然、自宅を出るときにはユニフォームを既に着ている状態である。いくらなんでも早とちりと思われるかもしれないが、僕が高校生のときなんかは試合観戦の前日にユニフォームを着てそのまま寝てしまおうかと真剣に検討したことがあるくらいである。それはさすがにやめたけど。

今日も今日とて、玄関にある姿鏡を観てニヤニヤしながら家を飛び出て、自転車で最寄駅へと向かう。ユニフォームが風でひらひらとはためく。

とはいえ、他人の目が気にならないという訳ではない。神奈川県はベイスターズのお膝元であるし、そもそもカープのユニフォームは真っ赤であるから目立ちすぎているのだ。

対向車線の車を運転している人たちから視線を感じるし、後ろから追い越して行く車たちからも背中に視線を感じるのである。

まあみればいいさ!君たちは今日、神奈川の希少種であるカープファンを見れてよかったではないか!

「え、今日カープファン見たんだけど!なんかいいことありそう!」と、茶柱が立ったときと同じような希望を人々に与え、僕は自転車のペダルを漕ぐのだ。

しかし、いささかの不安もある。

それは、僕のこのユニフォームを赤信号と見間違えて急ブレーキをかける車がいたらどうしよう、ということである。あとは道端に闘牛がいて、追いかけられるとかね。

まあ日本にはその辺に牛はいないが、インドにはそこらじゅう野良牛がいたからインドで行われる試合を観に行くとなると、これは考えなくてはならない(そんな機会絶対にないけど)。それにしても、この前インドへ行った時は思考停止でカープのユニフォームを着なくてよかったよかった。ここだけの話、タージマハルでカープのユニフォームを着て写真撮影をしようと一瞬だけ考えた節もあったのです。

あとユニフォームを着て実感したことといえば、他人の目を気にするがあまり勝手に優等生へと変貌を遂げていたことである。

信号無視はできないし(ユニフォームを脱いでもするな)、そんなにスピードを出すこともできない(事故ったり危険と思われたりしたらカープファンのイメージダウンに繋がるから)。

電車に乗ってからもそうだ。普段は優先席に誰も座っていなければしれっと座ってしまうのだが、このユニフォームを着ているとどうもそれはできない。

「カープファンが優先席座ってやがるw」とか、「広島には優先席という概念がないの!?そりゃあ分からないか〜」と口に出さないだけで煽られるような気がするからだ。

一方でその逆もできる。
例えば優先席でなくても、お年寄りや妊婦にカープのユニフォームを着て席を譲ればカープへのイメージアップに繋がるだろう。

お年寄りは「今日このあとスーパーでもみじ饅頭でも買っていこうかしら」と思うに違いないし、妊婦は「これから産まれる子どもにはカープの選手の名前をつけようかしら、いや選手とは言わず、監督の『貴浩』とかいいわねえ」と思うかもしれない。

ちなみに、今この記事は電車の中でユニフォームを着ながら書いているのだけど、書くことに夢中になっていた結果、つい30秒前くらいに僕の横に座っていた若い女性がお年寄りに席を譲っていた。くそ!先を越しやがって!まあ先制点は取られましたけど、「逆転のカープ」をしてみせましょう。

電車を降りても、このユニフォームを着ていれば「歩きスマホ」もできない。あたり前田(智徳・健太)。カープファンが歩きスマホしてる!なんて低俗なんだ!と思われたら最悪だ。僕はユニフォームを着ているときは常に、広島東洋カープという看板を背負っているのだ。

と、まあこんな感じでカープのユニフォームを着ればきっとどんなにつまらない教授の授業でも寝るなんてことはないし、バイト中もタイムカードを切った瞬間から超絶にこやかで終始接客できるし、道端に落ちているタバコだって銀色の——いや、赤色のトングで拾っちゃうんだから!

ということでみなさんもカープのユニフォームを買いましょう。そして自宅を出るときから着るのです。

世の人間がカープのユニフォームを着れば、万引きはなくなるし(盗んでいいのは次の塁だけ)、大切な人へもマメに連絡をする習慣だって身につくだろうし(送りバント)、退屈な会議の要点だって簡単に抑えることができるようになるはずだ(栗林100セーブおめでとう!)。

ちょっと自分でも何を言っているのかよく分からなくなってきたが、とにもかくにも、カープのユニフォームを着ることが世界を平和にすることの第一歩なのである。

電車なう

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