シカゴカトラリー、アルクラッドの鍋、ペッパーミル、アメリカの道具
真っ黒けの鍋底なんか見てもらって、申し訳ない。ずいぶんと長く使ってきた鍋です、フライパンというか、なんでも料理してくれる偉いやつです。 多分三十年以上は使ってると思います。日本に戻るとき、手荷物で持ってきた。アメリカで購入した物の中で、何より大切な鍋です。
包丁、ナイフは自分で切れ味なんかは作れます。むかし太釘からナイフ作ったこともある。しかし鍋は良い鍋を手に入れたら大事に使って、大切に手入れして長く使うしかないです。
それで、ぼくは鍋洗うときに化学洗剤は使いません。洗剤の匂いや成分が残るというのもありますが、鍋の金属が反応してだんだん傷んでくるような気がします。洗剤を使えばきれいにはなりますが金属も減ります、薄くなっていきます。世話になる道具には優しい気持ちも大事だと思います。
料理の修行を始めた頃、京都の老舗旅亭では厨房に洗剤はなかった。金たわしも、ブリーチもナイロンたわしも無かった。亀の子たわしでゴシゴシ洗いました。お湯があるのは客用食器類の洗い場だけで、板場にお湯を使うと魚が傷むと言われました。ほうれん草や青物を茹でたお湯に油分の付いた鍋とかを浸けておくと油分は抜けてきれいに洗えました。
シカゴカトラリーに代表されるアメリカ製ののキッチンツールは野暮ったくて、スタイリッシュなセンスを好む若いシェフは評価しませんが、手頃な価格、丈夫で長持ち、いい鉄や木材、上等なプラスチックを使いアメリカの物作りの伝統を感じます。ちょっと前までは1960年代や70年代の車が普通に高速道路を走っていて、修理もその気になれば自分で出来た、そういう価値観、生活観だった。
胡椒挽き。シカゴ製です、シカゴカットで有名な牛肉市場のある都市、ステーキを楽しむ街です。このミルの首の部分を回して胡椒の挽き具合が調節できる。とても簡単な構造だけど、磨耗もなく良い香りに挽いてくれます。アルクラッド社のステンレス製フライパン、パスタもステーキもムニエルも出汁巻きもオムレツも受け入れて仕上げてくれます。鍋磨きは力も使いますが優しい手が必要です。この鍋は、あと三十年は使うつもりです。
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