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うちの従業員もしかして発達障害かも…

コミュニケーションや人間関係のお悩みを得意とするカウンセラー・ノームです。今回も私のnoteに来ていただき本当にありがとうございます。

さて、今回は美容室経営者からの相談で、発達障害かもしれない従業員の関係改善に成功したケースを紹介します。進学校出身の経営者が従業員の悩みに真摯に向き合い、カウンセリングを通じて問題解決に取り組んだ結果、関係が改善されました。

本記事では、発達障害を抱える従業員への適切なカウンセリングのポイントや関係改善に役立った具体的な方法について紹介します。経営者やカウンセラーの方々はもちろん、発達障害のある従業員に悩む経営者の方々にも何かヒントを得られるような記事を心がけ綴ります。


とある美容室店長の悩み

代官山で美容室を経営されている店長から「従業員育成」の悩みを聞いていたのがこの話の始まりです。店長は進学校出身であり、これまで「努力すれば大概のことはできてきた」経験から「どうして従業員が簡単なことを理解できないのかがよくわからない、大切に育てたいのだがどうしたら良いのかわからない」と一人の従業員さんの行動に思い悩んでました。

従業員の特徴

1つのことを応用的に考えられない何度注意しても寝坊をする理解していないのに「わかった」と返事するマルチタスクができないすぐさっきのことを忘れてしまう本が読めない何を考えているのか聞くと「わからない」とばかり言うまるで宇宙人と話しているようでお手上げ、また他の従業員も悩んでいる、どうにか本人も周囲も楽しく働ける環境を作りたいと深く悩んでいました。

発達障害の可能性

10年以上の不登校支援の中で発達障害を持っている子供とも多く関わってきたので、私は大体話を聞くだけでその可能性の有無の目利きが効きます。(もちろん医師ではないので診断や断言はできません)そこで簡単な質問を店長に尋ねてみました。

・話を聞きながらメモはできるか?
・「嬉しい」「悲しい」などのフレーズは少ないか?
・特定の業務はズバ抜けているか?
・情緒的な会話が得意かどうか?
・先読み行動は得意かどうか?
・頑固に感じられる時はあるかどうか? etc

やはり複数の項目に当てはまっていました。「もしかしたら発達障害の可能性があるかもしれませんね、いずれにしても本人も店長もとても多くのことを耐えてこられましたね」と伝えると店長がハッとした顔とともに安堵の表情が浮かび上がりました。

社内で発達障害による関係トラブルがあった場合

まずは本人の発達障害を自認すること、周囲は発達障害を理解し関わりに工夫を入れることです。しかし難しいのは後者より前者です。とてもセンシティブな問題であるので経営者がどう本人に切り出せば良いかわからないもにです。「あなたは発達障害の可能性があるから受診してきて」なんて言おうものなら大概の場合は大問題になるでしょう。

そんな時は社外の専門家がお話の中で本人からその可能性を感じられれば「受診」を促すのがとても有効な手段です。それにより社内でギクシャクする必要もなく、本人も公平に助言を与えてくれる専門家から言われることで安心を得られる効果もあります。

障害受容の重要性

発達障害はグレーゾーンがあり、知識がなければ本人も周囲も「なんでコミュニケーションエラーが出るのか?」わかり辛いものです。理解がないとドンドン関係が悪化するケースも多く見受けられます。

初期の時点で適切な関わりや理解がないことでドンドン第二次障害、第三次障害と悪化する懸念もあります。障害段階が上がるのはとても早いのですが、引き下げるのはとても時間がかかります。白いタオルに墨汁を垂らすのと同じで黒く染まるのはとても容易で早いのですが、白くするのはとても難しいですよね。そのため支援熟達者は「早期の発達障害受容は真っ白な綺麗な状態」と表現されることもあります。

そこで重要なのがまずは本人のためにも発達障害がどうか白黒はっきり診断で知ることです。一番苦しんでいるのは得体のわからない生きづらさで悩んでいる本人です。そんな話をすると早速店長は「うちの従業員と一度話をしてもらえないだろうか」と私にご依頼されました。

従業員さんへのカウンセリング

「こんにちは「あなたが苦しんでいるから一度カウンセラーと話してごらん」と店長に言われて話をしにきました」そんなところからカウンセリングはスタートしました。

仕事や人間関係でどう困るシーンがあるか?いつ位から生きづらさを感じているのか?など丁寧に現在や過去を振り返っていると…

「あ!私そういえば中学の部活の顧問に発達障害かもと言われたことを今思い出しました!どうして忘れちゃってたんだろうかわからないんですけど、私これからどうしたらいいですか?」

と自ら大きく何かを見つけられました。多くの発達障害の方々と関わってきたから安心してアドバイスを聞いてくださいと受診を促し、本人からも合意を得ることができました。

その後

カウンセリングから3ヶ月後、店長から大きな感謝の連絡が来ました。「ノームさんのカウンセリングで気づいたのですが発達障害かもしれない」と本人から相談が店長に来たようです。そこから話は速やかに進み、本人と一緒にクリニックを探しやはり発達障害と診断されたようです。

さらに本人の要望で店長が親御に受診の経緯と結果を伝える機会を設け、職場のみならず多くの方から理解と協力を得られる状況になったようです。店長も他従業員も理解の眼差しを深め、適材適所や働き方をみんなで協力しあい互いに気持ちの良い職場風土に改善できたようです。

また本人も現在専門機関に通い生きやすさを徐々に得られ店長越しに感謝のお言葉をいただきました。

店長の感想

これまで発達障害の方と関わる機会がなかったのでどう接して良いのかわからなかった、だからと言ってすごく良い一面もあるから解雇ができたとしても絶対にしたくなかった。

発達障害の方と交流経験の多い専門家であるカウンセラーだからこそ安心して本人もこの繊細な問題に向き合い行動を実現できた。またその行動に私たちも臆することなく気持ちよく協力を本人に提供できている。この問題は職場だけの問題ではなく、本人やご家族にとっても大きな人生の転機にできただろうと感じています。

お店ではそれぞれの個性を理解し合った働き方を提供したい、でもカウンセラーが介入せずに我々の独断でフレキシブル制度や専門業務だけ行うなど働き方を強引にカスタマイズしたら大きな歪みが出ていたに違いない、だから我々は最悪の結果をまぬがれ思いがけない良い未来へ進むことができた。

本人が望まぬ限り発達障害を理由に美容師の夢を諦めて欲しくない、今回の件で職場の問題が改善された以上に私は人として成長させてもらえた、うちの美容室はより良い未来を目指せるようになった。

そんな感想を店長からいただき嬉しい限りです。また店長からこの経験を多くの経営者や働く人、発達障害に悩む人に届けて欲しいからブログにして欲しいとも言付かり今回綴らせていただきました。

以上、とある美容室店長の悩みについてご紹介しました。従業員の発達障害を理解し、適切なサポートをすることで職場の環境改善ができたケースでした。発達障害の方々とのコミュニケーションや働き方への理解を深めることは、多くの人々にとって大きな学びとなることでしょう。

長々となりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます!
みなさまの生きやすさのヒントになったら幸いです!

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