見出し画像

海外3ヶ国で働いてわかった日本人のお客様が厳しい理由

世界的に見た日本人のイメージの中には、「丁寧」「親切」という良い印象がありますが、実はある時「日本人の ”お客様” は厳しい」という噂を聞きました。

私はこれまで、

① 日本で日本人のお客様対応
② 日本で外国人のお客様対応
③ 海外で日本人のお客様対応
④ 海外でローカルのお客様対応

といった様々な環境で、日本語と英語を駆使して働いてきましたが、「あまり日本人に当たりたくない」「できれば海外からのお客様を積極的に担当したい」と話す同僚に出会ったことは一度や二度ではありません。

もちろんその背景には、「海外のお客様をおもてなしする楽しさ」や「チップをもらえる可能性」もありますが、精神的な負担が少ない点も理由の1つになっています。

そこで今回のテーマは、「日本人のお客様は厳しい」と言われる理由についてです。


「厳しい日本人のお客様」の正体ってどんな人?

私は以前、旅行・観光業で働く海外の現地の人に「日本人のお客様厳しいんだけど…」と嘆かれたことがあります。

その人が働く会社では、サービス向上のため、利用してくれたお客様全員にアンケートをお願いしていました。

その結果わかったことは、「今日はすごくいいパフォーマンスができた」と実感できた日に、他の国籍のお客様からは星5の評価をたくさんもらえても、星4しかくれないお客様は日本人が多いという傾向です。

もちろん、不便なサービスだったり、満足度が伴わなければ評価が下がっても仕方がないこと……。

しかし、”他の国籍のお客様からは星5の評価をたくさんもらえるのに” という条件付きなので、パフォーマンスには問題ないと読み取れます。

その後、私自身も旅行・観光業界で働く機会がありましたが、実際に日本人のお客様と海外のお客様の両方を対応して感じたことは、

日本人のお客様が厳しいのは50%当たっている、残りの50%は「日本人がよくわかっていないだけ」

という半々の印象でした。


日本人のお客様が厳しい理由

以下は、実際に見たり聞いたりしてわかった「日本人のお客様が厳しい理由」です。

1.【完璧主義】パーフェクトじゃないと星5にならない
2.世界を知らない?格安サービスをレギュラーサービス基準で評価する
3.水分補給で低評価
4.「それが海外」と言われても受け入れられないことがある

1.【完璧主義】パーフェクトじゃないと星5にならない

日本人相手だと「パーフェクトじゃないと星5にならない」という海外の現地で働く人の意見は、今の日本の社会を見れば納得できる部分があると思います。

日本の口コミやレビューでよく見る「〇〇だったので星4で」という評価方法の話をしたところ、その感覚がまさに完璧主義らしく、辟易する要因の1つのようです。

日本は「ギスギスした社会」と言われており、他人に対して不寛容になりがちで、他人への評価も厳しくなる部分があります。

しかし、日本を離れて海外にいる時くらい、もっとリラックスしてハプニングを楽しめるくらいの余裕を作ってもいいのでは?と思ったものです。


2.格安サービスなのにレギュラーサービス基準で評価する

「どんなに良いパフォーマンスをして他の国籍の人が星5をくれても、日本人は星4を付ける人が多い」

その理由に、日本人はバジェット(格安)サービスをレギュラーサービス基準で評価していることがあると気付きました。

例えば日本では、

● 3,000~4,000円でシングルルームに宿泊できる
● S席チケットが1万円台

といった、高いクオリティのものを激安で体験できることが普通にあります。

これが海外となると、

● 3,000~4,000円なら2段ベッドの4~8人部屋
● 1万円台でも立ち見席なことがある(S席チケットは数万円、高いと10万円を超える)

など、明らかに質が下がるのです。

また、ロイヤル・スタンダード(レギュラー)・バジェットの棲み分けが海外よりもはっきりしていない日本では、境界線が曖昧な点も理由の1つだと思います。

どこに行っても概ねいいサービスを受けられる「日本の普通」の感覚のままなのに、海外の格安サービスと同等の料金しか支払わなければ、「質が悪い」「日本よりも劣っている」と感じて当然です。


3.水分補給で低評価

どんな季節か・どんな仕事をしているかに関わらず、体調管理の一環として水分補給は欠かせません。

しかし、時代が変わりつつある日本にもまだ水分補給をしている姿を見かけただけで低評価を付けるお客様が存在しており、海外で働く人にも同じスタンスを求めるケースがあります。

とくに「話す仕事」をしている人はのどが乾きやすく、スムーズに仕事をするためにのどを潤すことは必須です。

また、海外の職場は日本に比べてゆるいので、スタッフが飲食している姿をよく見かけます。

「水を飲むときはお客様の見えないところで」という日本の環境が当たり前だと、「え、それいいの?」と思うかもしれませんが、案外それが普通です。

働く人の労働環境によっては、水分補給をしている姿が見えてしまうこともありますが、それを「けしからん」と評価するのは厳しすぎますし、「それが海外」ということが理解できないなら、視野と心のキャパシティを広げるチャンスかもしれません。


4.「それが海外」と言われても受け入れられないことがある

「郷に入っては郷に従え」

この言葉は、日本で文句ばかり言う外国人に対して使われるケースがよくありますが、日本人が海外に出た時も「郷に入ったけど郷に従えてない」ことがよくあります。

例えば現地に住んでいると、

● 運転が荒いドライバー
● 荷物を届けてくれない配達員
● おしゃべりばかりしている店員
● 歌や鼻歌を歌いながら仕事をするサービススタッフ

など、日本に住んでいたら「ありえなくない?」と思うことが日常に溢れていたり、よく起こったりします。

もちろん、そんなケースばかりではないのですが、それらを全部含めて「海外」の「その国」。

日本の感覚で「おかしい」と思っても、現地に住んでいる人からすると「それがこの国だからね」になります。

しかし、「観光客」「お客様」として訪れた数週間の海外滞在中にネガティブな体験をしたら、モヤッと悲しい気持ちになりますし、感情が追いつかないこともあって当然です。

その感情の行き場がレビュー欄や口コミ欄になり、辛口評価となるケースも見ました。

現地の人に「それがこの国だから」と説明されても、「何を感じたか・どういう気分になったか」で評価するのが人間なので、受け入れられないケースもあるのです。


お金支払うけど「寛容なお客様」でいることのメリット

お客様に関わる仕事を経験し、素敵なお客様や「こんな客には絶対ならない」と思わせてくれたお客様に出会いました。

こっちはお金を支払ってるんだからちゃんとやってよ!という意見も存在しますが、実際の現場では、やはり「寛容なお客様」の方が得をします。

特別な割引・大幅な割引や、スタッフでさえ「それいい」と思う数量限定のサービスがあったら、まずは「いいお客様」に先に伝えるケースが何度かありました。

具体例を挙げると、残り数席の「ヘリコプター遊覧飛行」を特別に75%OFFにする場合などです。

スタッフに「積極的に関わってお得な情報を共有したい」と思われるか、関わらないで「そっとしておいてあげよう」と思われるかの違いで、お得にいい経験ができるかが変わってきます。


日本人向けにカスタマイズされた世界はまだ優しい

海外には、日本と違うこと、日本だったらありえないこと、日本の常識で考えるとおかしいことがたくさんあります。

私の現地生活経験では、

● 声をかけても対応してもらえない
● ため息をつかれる
● アジア人というだけであからさまにサービスが悪くなる
● 店員が思っていることや悪口を声に出して言われる

ということがありましたが、それがリアルな海外です。

逆に言うと、日本人向けにカスタマイズされた世界はまだ優しい!

せめて、日本人をウェルカムしてくれる世界では、「もう来ないでほしい」と思われないよう少しだけ寛容になると、思いがけず心温まる体験ができるかもしれません。
















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?