アニメで学ぶ物語文読解力向上#3「宇宙よりも遠い場所」第1話-3(語彙力編)
こんにちは、中受ママサポです。
読解力向上#1、読解力向上#2では「宇宙よりも遠い場所」第1話を丁寧にみてきました。今回は、見終えた第1話をさらに活用して、物語文読解に役立つ語彙を身につけていきましょう。アニメは語彙の問題集よりもずっと強く印象に残りますので、お子さんの「実感を伴ったことば」「使える語彙」を楽に増やすことができますよ。
あやしむ
【5分36秒~】
学校をサボってあてのない旅に出ることを決心したキマリは、朝、学校に行くふりをして家を出ようとするのですが、玄関でお母さんに「もう行くの?どうしたのそのカバン?」と聞かれてしまいます。キマリのカバンには旅に出るための私服が入っているため、いつものカバンよりも大きな荷物になっていたのです。出ていく時間もいつもより早いし、カバンも大きい。お母さんはそれらをおかしいなと思ったのですね。このように、何かが(いつもとは違っていて)変だなあと思うことを「怪(あや)しむ」と言います。
冷や汗をかく、ひらめく、ピンチを切り抜ける
お母さんに「どうしたのそのカバン?」と聞かれたキマリは、言いにくそうに「あー、うん、友達から体操着借りてて・・・」と答えています。たぶんここでキマリは、学校をサボることがバレるのではないかとあせった(=冷や汗をかいた)と思いますが、友達から借りた体操着が入っているのでカバンが大きいのだという言い訳が頭にうかんだ(=ひらめいた)ので、なんとかあぶない場面から抜け出す(=ピンチを切り抜ける)ことができました。
声色をつかう、口裏を合わせる
【6分3秒~】
駅から電話してきたキマリにめぐっちゃんは「心配しなくても学校には連絡いれておいてあげたよ。声色(こわいろ)使って」「泊まりになる時はちゃんと口裏(くちうら)合わせてあげるから心配しないで行って来い」と言っています。
声色を使うとは、その人らしい声の出し方や物の言い方などの特徴をまねてしゃべることを言います。めぐっちゃんはキマリのふりをして学校に電話をした(そして、今日は学校を休むと連絡した)のでしょうね。
口裏を合わせるとは、あらかじめ相談して話の内容が食い違わないようにすることを言います。もしもキマリの「旅」が長引いて泊まりになる、つまり、その日は家に帰らないし翌日も学校に来られないようなことが起きたとしても、めぐっちゃんは、キマリと相談して親や学校に怪しまれないような言い訳(たとえば、めぐっちゃんの家に泊まったとか)をつくって、話を合わせてあげると言っているのですね。
一肌ぬぐ、片棒をかつぐ
ここでのめぐっちゃんのように誰かのやりたいことに力を貸して手助けしてあげること、支援することを「一肌(ひとはだ)脱(ぬ)ぐ」と言います。
また、こんなふうに誰かの/何かの計画に加わって協力することを「片棒(かたぼう)を担(かつ)ぐ」とも言います。「片棒を担ぐ」は良いことのときには使わず、悪いこと(悪だくみ)に協力する時に使いますので、今回の場合にはぴったりの言葉ですね。(キマリが学校をサボろうとしていることは、少なくとも学校や親から見ると「悪だくみ」ですので)
二の足をふむ
【6分43秒~】
あてのない旅に出ようと決心したのに、いつもと反対方向の電車に乗り込むことができず、立ち止まってしまうキマリ。靴の上には傘のしずくがポタポタとたれています。こんなふうに何かをしようと思いきれずに迷ったりためらったりしりごみしてしまうことを「二の足をふむ」と言います。
飛びすさる、ひるむ
【11分01秒~(キマリ)】
キマリは勇気を出して、報瀬が入っているトイレのドアをノックしようとします。と、その瞬間、向こう側からドアが激しくたたかれた(蹴られた?)ので「ひいい」と悲鳴をあげて後ろに下がりました。このように飛び上がって後ろにさがることを「飛びすさる」と言います。
【11分38秒~】
泣いていたはずの報瀬は、キマリがいることに気がつくと「何?」とキツい口調で言います。報瀬の強い態度に、キマリは「ひるんで」(=おじけづいてしりごみして)いる様子が見えます。
しゃくりあげる、泣きじゃくる、泣きはらす
【11分11秒~(報瀬)】
百万円、百万円・・・と「しゃくりあげる(=激しく泣く)」、「泣きじゃくる(=激しく声や息をすいこむようにして泣く)」報瀬の様子が描かれています。そして、トイレから出てきた報瀬は「泣きはらした」(=はげしく泣いてまぶたをはらした)顔をしています。
ひょうへんする
【11分38秒~(報瀬)】
泣きはらしていた報瀬はキマリがいることに気がつくと最初は驚き、次に「何?」と強い口調で言います。このように態度(や意見など)が急に変わることを「ひょうへんする」と言います。
アイコンタクト、目配せ
【16分33秒~】
「先生が呼んでいる」と嘘を言って上級生から報瀬を救い出したキマリでしたが、どうやら報瀬は、本当に100万円のことを先生に気づかれたと思っていたようです。
「びっくりさせないでよ」と言う報瀬に、キマリは「アイコンタクトしたじゃん」と反論しました。アイコンタクトとは、目と目を合わせる・視線を交わすことですが、この場合は「目配(めくば)せ」=目だけを動かして、気持ちを表したり何かを伝えようとすることと同じ意味で使われています。
まんじりともしない
【17分57秒~】
「じゃあ、一緒に行く?」と言われたキマリは、帰宅してからもずっと悩み続けています。部屋を暗くして寝ようとしても眠れず、結局キマリは起き上がります(19分17秒)。そして部屋をきれいに片付け、朝早く家を出て、東京駅へ向かうのです。
このように、一晩中少しも眠らない、一睡(いっすい)もしない様子を「まんじりともしない」と言います。今回の場面は、「キマリはその夜、ほとんどまんじりともしないで報瀬からの誘いについて考え続けていました」と説明することができそうですね。
***
いかがでしたか?
たった1話分の映像でしたが、意外にも多くの重要な言葉を学ぶことができるなぁと思っていただけたら嬉しいです。
次回の記事では「宇宙よりも遠い場所」第5話、南極へと旅立つ直前の話を見ていきたいと思います。第5話の見どころは、めぐっちゃんです。いつも沈着冷静なめぐっちゃんの心情とその変化、楽しみにご覧ください。
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