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お仕事仲間3:あらゆる妄想を繰り広げる私の上司【お仕事のお話】

私の所属する部署の部長が私の上司になって2年目になる。その前から関わりがあったが、その時より今の方が強く感じることがある。

部長はとにかく「考える」人、妄想が大好きだ。新商品を出すにあたって、上層部の意向を踏まえながらあらゆるパターンを想定し、それを部下に投げる。自分の中では答えがあるだろうに、部下にも考えさせる。

消費者のインサイトを汲み取るときにも、事実を深堀りして、仮説を立て、企画案にする。そのスピードがとても速い。

ここまではまあ上司なら普通かもしれない。だが、彼は日常でもとことん「考える」のだ。

例えば飲み会でこぼしたひと言。

俺はその場にいる人「全員」が何かしら話をしてくれるように立ち回るようにしてる。その人からいかに面白い話が引き出せるか色々「考えて」回してるんや。

一見すると上司が1人で話してるような気もしなくはないが、確かに1人ひとりに話を振って、その話を上司が広げている感じはある。なぜそこまでしてみんなに話を振ろうとするのかあまりよく分からないが。


例えば自分の結婚式について。

俺の時は式は短時間でさっと終わらせて、二次会をいかに面白くするか「考えた」わ。二次会のテーマは「運動会」。体育館みたいなところを借りて、みんなでワーワー騒いだわ。施設を借りる時にNPO団体の方と話して、面白がられて、「ぜひ取材させてください」言われて、見にこられたわ〜。

どこまでが本当の話か分からないが、とにかく自分とその周囲が「いかに盛り上がるか」を考えるのが好きなようだ。それは上司だからではなく、部長自身が昔から持っている力なんだと知る。

プレゼン資料を確認してもらったときのこと。

俺もプレゼン苦手やってな。最初は緊張で頭真っ白になって、やらかしたんや。そこから自分で学んで、資料を普通に見せるんじゃなくて、裏を書いてまったく違う見せ方をするにはどうしたらいいんや?とか様々に「考えた」わ。それで当時の上司に「この会社のプレゼンもこのレベルにまで来たかと感心した」って言ってもらえた時は、何より嬉しかったな。

部長にもそんな時期があったんだなと思ったが、ここでもまた「人の考えの裏をかく」など、部長らしいなと感じる発言があった。とにかくそのままでは嫌なようだ。普通の人は「こう見るだろう」を想定して、「じゃあまったく違う見せ方をしてみよう」に変わるからすごい。それでちゃんと結論まで導けるのがすごいと思う。


そんな部長に、企画メンバー、開発メンバー含めてみんな「考えて!」と言われる。それも結構投げやりに。なんとなーく、部長の都合が悪い時、つまり自分では答えが出せない状況の時に「考えて」と言われている気がする。その後部長は自分で考えて、自分で答えを持っているから何も言えないが。自分以外の人にも考えてほしいようだ。なので、改めて自分の考えを伝えると、「え?それだけ?」みたいに答えられる。部長にとって普通の答えはいらない、「俺の想定の上を行け」と考えているようだ。

私も妄想したり、ちょっとのことを深く考えたりすることは好きだ。だが仕事となると上手くできない。まず部長ほどあらゆるパターンを想定できない。人の「裏をかく」ことも得意ではない。たまにちょっと違う目線でとらえるも、「それはないやろ」と言われてしまう。自分ってこんなにも「ありきたり」なんだな、とみじめになる。

部長くらいあらゆる想定ができてこそ、部長という管理職クラスに登り詰められるんだと思った。仕事だけじゃなくて、普段から場を盛り上げようとか、今この人はどんな気分なのかとか、考える訓練が大事なんだろうと思う。


そんな部長は、部のカラオケで一発目に「酔いどれ知らず」を歌っていた。この世代でボカロとか歌うんか、TikTokで流行ってる曲とか歌うんか、と少々驚いた。これまた我々の「想定外」、部長なりに色んな人に「ウケる」にはどんな歌がいいのか、など「考えた」のかもしれない。曲を知ってる人が私しかいなかったのは部長にとっての「想定外」だったかも?

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