プログラミングスクールではない
今回は、当社の新人教育のコンセプトについて、具体的に記事を書いてみたいと思います。
最初にネガティブな話を率直にしたいと思います。近年、求人・人材教育をしていて痛切に感じるのは、IT業界を目指してくるとき、企業への就職ではなく、プログラミングスクールの代替のようなイメージの方がしばしばおられます。
たしかに初心者として入社した場合、最初は「学習」の時間は必要です。しかしだからといって何もすべてがすべてその時間に割り当てられるわけではありません。
企業としてやるべき業務もあれば、事務的な作業もあります。一見雑用のようなことでも必要なこともあります。その総体が企業です。
たしかにやりたいことだけをやれるならそれにこしたことはありません。しかし、初心者であるということは、右も左もわかっていない、そもそも何が正しくて何が間違っているのかというセンスさえ定かではありません。
ある特定の狭い領域のことだけをひたすらやるという仕事なら早晩確立するかもしれません。しかし、それはややもすると、AI化や自動化できるような領域の可能性があります。
かたや広い領域のことに目配せして、それらを横断的にこなす仕事はなかなかAI化や自動化はできないでしょう。あまりにも抽象的すぎるからです。
しかしそここそ、人間本来の仕事ではないかと当社では考えています。
サッカープレイヤーはAI化できるか
ここ最近、欧州のサッカーチームが人工知能(AI)の活用を本格化しているという話題があります。
これまでの数千時間ものプレー中の映像データをもとに、機械学習で解析することによって、監督やコーチの判断を支援したり、個々の選手に最適化されたアドバイスをするような仕組みの構築を目指しているそうです。
たしかにこのような分野はAIが得意とするところです。
しかし、よくよく考えてみたら、そのAIのアドバイスをスマートに使いこなすには、当然ながらそれなりに「成長して」「プロフェッショナルな」選手でないと難しいでしょう。
サッカー初心者にはAIがいくら戦略的なアドバイスを出したところで、それを活かす技も経験も足りないからです。
つまり、初心者を教育数するにはAIの活用も今後の課題ではありますが、まだまだ人間に拠るところが大なのです。たとえば育児のAI化がまだまだなように(もちろんAI化の期待は大ですが)。
読み、書き、そろばん
プログラマーで具体的に考えてみます。
従来のSE・プログラマーは、サーバを構築してネットワーク設定をしてインフラ環境を整え、さらにそこのアプリケーションをインストールしたり、スクラッチ開発したプログラムを搭載して、システムを構築して管理運用しました。
これは非常に労力を要する上に、コストもかさみ、また、機器故障や障害などに見舞われることが多く、非効率な面がありました。
最近では、基盤となる環境をAWS(Amazon Web Servise)パブリッククラウドに移して、もっとシステムの開発と運用に集中するようになり、以前よりも効率化を図っています。
ここで問題となるのは、以前はほぼすべての環境や機器が手元にあったので障害やバグがあってもある程度自分たちで視認して理解できるところが大きかったのですが、上記のようにクラウド化された環境では、抽象化=モデル化された世界が広がっており、それを理解してコントロールする思考が必要となってきています。
もう少し掘り下げると下記のような能力が必要となってきます。
・抽象的なモデルを描きつつ、それを具現化・実装していく能力
・バグがあった場合、それを抽象的な環境でもトラッキングしていく思考能力
・そして、それらを自分以外の他者=社内の人、社外の人、お客さま、利用者、ユーザに説明する能力
すこし話が難しくなってきましたね。。。
じつはこれ、日本で古くから伝わる「読み、書き、そろばん」という初等教育の基本に通づるものがあります。算数と国語のチカラです。
このように、時代とともにIT業界も様変わりしていく中で、実はその根底にある人材教育の基本はもっともベーシックなことに通じるものがあります。しかし、これがなかなか難しいのです。
抽象的なことと具現的なことの間を行ったり来たりしながら思考して、合理的に、あるいは効率的につくり改良しながら、それでいて、それを言語化して他人にうまく説明する能力ということですから。
一筋縄でいかないという気がしますよね。
だから、人間による教育が必要なわけです。
Webデザイナー・クリエイターでも考えてみましょう。
これもSE・プログラマー同様です。
・商品やサービスを多様な人々に伝える能力
・それも、言葉・グラフィック・映像など多様な手段を用いてプレゼンする能力
が必要となります。これらも同様に、具体的な目的を抽象化したりモデル化する必要があります。
さらに高度に抽象化された、デザインセンスというものがついてまわります。「イケてるよね」という理由は、そうやすやすと数値化はできません。
このように初心者を受け入れつつも、このような広大な地図でもって航海する必要があると当社では考えています。
ダイエットや筋トレのような
極端にかみ砕けば、ダイエットや筋トレのような継続力やストイックさといったハードさがあるといえるでしょう。
やはりそれをやり遂げた人しか到達できない世界観があるということです。
旧いことわざにあるように「言うは易し、行うは難し」です。口で言うだけでない、結果を出すための教育、それはけっこうハードなものです。しかし、当社ではそれを24年間にわたって大事にしてきました。
ですから、初心者歓迎とはいうものの、そうした大局観は少なくともご理解くだされば幸いです。
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