なぜ

 ただふっと
 白い壁に背を預け

 遠くで鳴くカラスや
 近くで叫ぶ蝉の声を

 聴きつつ天井から
 青い窓へと飛び移ってゆく目玉を

 そっと追いかければ

 話しかけてくる者の
 やわらかな声

 その吐息には
 澄んだ「なぜ」以外の
 いかなる色彩も染みておらず

 どれだけ答えようとも
 声の枯れることはない

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