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2020年6月の記事一覧

小さき人

 何をも持たず、何をもできず。己を呪いながら、それでも息を。

 そんな小さき人に、わたしは会いたい。

 土を嗅ぎ、緑を吸って雨を浴び、大気に包まれる。そんな一瞬一瞬にだけ、囲まれて。

 名など不要だ、調べるな。

 行進してゆく人々を見つめながら、置き去りにされたわたしの、残された命を、そっと抱いて。

 小さき人と、話したいんです。

 小さき人に、惹かれるんです。

 ただ生み落とされて

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非存在

 誰にも見つけられぬままに、開かぬ翼の根元ついばんで、落ちてくる影に目を細め、鳴き。

 狐という字面の観念から、わたしは孤を知る。

 ただ一切の目玉に映らぬまま、折れた羽を舞い落とし。

 影法師にもなれず、陰影の爪は引っかからずに。

 顔を伏せて緑をほふり、土にくちばしを立てて、虚構性の冷たさに浸し。

 わたしはわたしの非存在をのどに詰めて。

 向こうで這い回っている、日で濡れて腐敗し

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