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伊藤緑
2020年5月22日 19:13
田んぼに張られた水を見てた。白いまだらに喰われた青が、風といっしょに映ってる。あぜの雑草が、さぁっと笑う。流れる用水路からは、呼気のはねる音。いくつもの影が、底から水面に描いてく。日影がふぅっと膨らんでって。熱で甘く溶けてる土と緑が香った。ひらめく冷たさを翼が切りつけて、切りつけて。向こうの山の蒼が波打つ。くつの底で砂が震えた。頭の上で羽音が輪を作った。草の擦れる色が聴こえる。痛いきらめきに近寄