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母との対話

母のママ友

わたしには保育園時代からの幼なじみ(Aとしておこう)がいる。といっても、最近は直接の交流はあまりなく、もっぱら母と幼なじみの母のママ友会によって繋がっている。そのおかげで、良いか悪いかは置いておいて、直接聞かなくてもお互いの子育て事情が筒抜けである。(少なくとも自分にとってはとてもありがたい)

保健師の功罪

Aの家庭では、8ヶ月になる赤ちゃんがいるらしい。しかし、少し早産だったようで、幼なじみの妻(赤ちゃんの母=Bさん)は、子育てにややナイーブな様子。また、Bさんは、障害の方に支援や教育をする仕事だそうで、赤ちゃんの育て方も一日の中のスケジュールや育て方のルールが徹底されていて、とても丁寧なのだそう。そんな中、訪問した保健師が、「2歳まで子どもにテレビを見せてはいけない」とBに助言したそうで、Bは忠実に守っている。これに対し、Aの母は、少し神経質すぎるのではないかと不満に思っているようだ。

「2歳までテレビはダメ」は本当?

近年、乳幼児へのテレビやテレビゲームの影響を指摘する論文が多いようだ。また、アルコール依存からの復帰支援施設がゲーム依存からの復帰支援施設に置き換えられていることも多くあり、子どもへの影響は懸念されるばかりである。これは原著論文を読まなければなぁと思う一方、これをやり通すのは結構ツラい。なんなら、ちょっとした夫婦間の会話のタネがなくなることを考えると、夫婦間のコミュニケーション不足を招いてしまうのではないかとの懸念もある。しまいにはそれぞれがスマホ片手にお互いの顔を見ず、、会話も交わさず一日を過ごすなんてことも起こりうるのではないか(それこそ夫のゲーム依存を引き起こしかねない)。仮に、テレビを見ることで夫婦で同じ空間を共有する時間が増えるのであれば、それはそれで良しなのではないか。父と母が仲良くて嫌な子どもはいないと思う。

母乳育児の難しさ

また、Bさんは、母乳の出が悪く、悩んだ結果早めにミルクに切り替えたという話を聞いた。
私「母乳が出やすくなるコツみたいなものってないのかな?」
母「いろいろあるよね。マッサージとか。あと心理的な部分も大きいよね。」
私「ホルモンとか関係してるし、こころが母乳に影響するのはありそうだよね。Bさんもちょっと神経質になりすぎているところがあるのかねぇ。」
母「それはあるのかも。実は、あなたが1歳の時に〇〇(弟)が生まれたのだけれど、あなたがあまりに元気よくて、じいちゃんばあちゃんに預けたんだけど、仕事から帰るといっぱい愚痴を聞かされてそれでしばらく母乳が出なくなっちゃったんだわ。それで、なるべく早く帰るようにして家で落ち着いて授乳するようにしたらまた出るようになったんだわ。だから心理的な影響はかなり大きいよね」
私「そんなことがあったんだね…。」
母「あと赤ちゃんの吸う力も大きいね。友達も母乳の出が悪くてわたしが一度あげたことがあるのだけれど(これはすごい…)、その子は吸う力が弱くて確かにわたしのもあまり出なかった。赤ちゃん側にも何かしら要因があるんだよね。」

育児は相互作用と共同作業から成る複雑なシステムだ

こんな感じのやりとりの中でわたしが思ったことは、何か一つの要因が子育てに影響を与えるとら考えることの危うさである。「母乳育児のポリティクス」によれば、授乳は、母と子がゆったりとした時間を共有することで成立するものであり、母子のこころの健康がさらなる心身の健康をもたらす、正のフィードバックループであると考えられる。その意味で、保健師の助言が必ずしも適切だったか、わたしは疑問に思う。一方で、私たちが科学主義をとる以上、保健師がこの言説を知っていた以上、言わないわけにはいかなかったとも考えられる。しかし、子育ての多くは親子の精神的な絆によるものが多く、その意味で科学主義のみで語れるものではない(少なくとも心理学は純粋に科学的なものではないからだ)。また、科学主義をとるにしても多くの事実が隠蔽されていることもある(例えば母乳の効果は厚労省とWHOで見解が異なる。これらは、さまざまな利権が絡んでいる結果であるとの見方がある)。いずれにしろ、母子ならびに父が精神的に健康な状態で子育てできるような環境を整えることが、子どもたち、ならびに私たちが幸せに強く結びついているように思えてならない。


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