普段使いできる旅行用の風呂セット

風呂好きな私がオススメするお風呂セットを紹介したい。
このお風呂セットは仕事のカバンに入れて持ち運ぶこともできる。そのため、旅行だけでなく、例えば仕事の後に銭湯で一風呂浴びてから帰るなんてこともできるほか、突然の出張や災害時にも役立つ。
お風呂には余計なものをもって行かないことだ。アレッポの石鹸1個と日本手ぬぐい1本と、無印のコップと歯ブラシだけで十分だ。

これまでの私の経緯

かつては私も100均で買ったプラスチックのカゴに、シャンプーやボディーソープのポンプ式ボトルなどを入れていた。仕事で車に乗っていた時は、このカゴをトランクに入れておけば良いので楽だった。でも、営業車であれ自家用車であれ自分専用の車を手放してからは、大きくて邪魔に感じていた(実は今度また自分専用のEV車を買うのだが、カゴに戻るつもりは全くない)。
それからしばらく、よく銭湯の番台(フロント)で200円くらいで売られている、小さいボトルに入ったシャンプーやボディソープを持ち歩くようにしていた。家で使っているポンプ式のボトルから詰め替えて使っていた。これはこれで悪くはないのだが、ちょっとした折にコロコロと転がり落ちてしまうことが多かった。カバンの中で行方不明になることも多かった。
そこで、これらを巾着のようなビニール袋に入れて持ち歩くようになった。しかしビニール袋は通気性が悪い。しばらく使っていると、袋を開けた時に何だかちょっと湿った感じがすることがあった。
その後、多忙な生活を送る中で、自宅のお風呂にしか入らない生活が続いた。そんな中、たまたま健康オタクという感じの人に知り合ったのだが、そこで界面活性剤の問題を知ることが転機となる。

安全な石鹸を使う

界面活性剤の問題については、ここでは詳しく書かないでおく。ただ、試しに薬局にでも行って、テレビでコマーシャルを流しているようなメーカーのシャンプーやボディーソープの原材料を見てもらいたい。訳のわからないカタカナが大量に並んでいるはずだ。下手をすると「香料」や「着色料」といったものまで使われている。食品でもそうだが、そういう「香料」や「着色料」といったものは体に良くない。

では、どんな石鹸なら安全なのだろうか。

その結論は、人それぞれかもしれない。
ただ、少なくとも私は「余計なものが入っていない」というのが最低条件だと思う。
私の場合、たまたま2015年頃に「エコプロダクツ展」というイベントでアレッポの石鹸というものを見つけた。調べてみると、確かに原材料はシンプルである。そして、既に1000年近く同じ製法を守っている歴史のある石鹸である。更に驚いたのは、その1000年近く守られている製法の、出荷前の最後の工程が「工場長が自ら食べて検品する」というものであった(!)。
先ほどテレビでコマーシャルしているようなメーカーの商品の裏側を見てほしいということを書いたが、日本で一般的に売られているシャンプーやボディーソープには決まって「口に入れないでください」ということが書かれている。それとは大違いである。真逆だ。

アレッポの石鹼1つで十分

そのように、仮に飲み込んでしまっても問題がないことは、工場長のお墨付きというアレッポの石鹸である(この「工場長のお墨付き」は、どこの誰か不明の「みなさんのお墨付き」なんかよりも断然良い)。人によっては歯磨き粉の代わりにアレッポの石鹸を使う人もいるという。
さすがに私は(小心者なので)アレッポの石鹸で歯を磨く気にはなれないのだが、髪の毛も体もアレッポの石鹸1つで洗うことには全く問題ない。洗顔もアレッポの石鹸を使っている。

ただ少しだけ補足説明しておくと、一般的なシャンプーやボディーソープしか知らない人が使うと、勝手が違う点に戸惑うかもしれない。というのもミネラル分の多い硬水でアレッポの石鹸を使うと、いわゆる石鹸アカができるため、「何だか逆に汚れる」という印象を持ってしまうかもしれないからだ。
それともう1つ補足しておくと、アレッポの石鹸で洗い慣れないうちは、髪の毛がきしむような感じを受けるかもしれない。その時は同じアレッポの石鹸でもタイプを変えることで自分の髪に合うものが見つかるかもしれない。日本で販売されているアレッポの石鹸は全部で3タイプあるのだが、とりわけ日本国内では、日本向け限定の特別仕様として「エクストラ40」というタイプが売られている。これは原材料のオリーブオイルを少なめにしてローレルオイルの割合を高くしたタイプであり、日本人の髪の毛に合いやすいように作られている。
参考までに、自分に合うタイプを見つけるために途中で使うのをやめたアレッポの石鹸は、食器を洗うのに使ったら良いだろう。これまた同じ話の繰り返しに聞こえて恐縮ではあるが、日本のテレビでコマーシャルしているような食器洗い洗剤の裏面を見てもらいたい。訳のわからないカタカナのオンパレードである。そして食器を洗った排水は川や海に流れることを忘れてはならない。
実際、私の場合、お風呂で使って小さくなってしまったアレッポの石鹸で食器を洗っている。なお、どういうわけか私の髪の毛は「エクストラ40」や「ノーマル」ではなく、最もローレルオイルの割合が低い「ライト」のほうが合うため、「ライト」を愛用している。

アレッポの石鹼の持ち運びはネジ式ジップロック

アレッポの石鹸は、日本で売られている一般的な固形石鹸よりもサイズが大きいため、一般的なソープディッシュには収まらない。さて、どうしたものかと困っていた時に、意外なものが使えた。それはネジ式のジップロックの容器である(登録商標の都合で、あえて「ネジ式」と呼んでいる)。
私の使う「ライト」の場合、小さいサイズ(300mL)のネジ式ジップロックにピッタリ収まる。私は「エクストラ40」を使ったことはないのだが、それと同じ大きさの「ノーマル」に関しては、一度くらい髪の毛を洗えば、中くらいのサイズ(473mL)のネジ式ジップロックにすっぽりと収まる(新品をそのまま入れるには少しきつい)。

ところで、ここで、ちょっとイメージしていただきたい事がある。
シャンプーやボディーソープのボトルや洗顔料のチューブにシェービングクリームの入ったスプレー缶などが所狭しと並んだ浴室で、十分にリラックスは可能だろうか。もし、それらのボトルやチューブが、たった1個のネジ式ジップロックに置き換わるなら、どんなにスッキリするだろうか。
別に私はミニマリストではない。ダンシャリアンでもない。それでもネジ式ジップロック1個に収まるというのは、それだけで気持ちが良いと感じるのだった。
かなり余談だが、次に銭湯や温泉に行った際に、風呂上りに牛乳でも飲みながら、他の人がどんなお風呂道具を持ってきているか、チラ見してみたら良い。お風呂道具を見ただけで「この人きっと頭の中がとっ散らかってるな」と思えてしまうような人がいたりする。(性差別的な意味合いは全くないのだが)人によってはボディローションに整髪剤に乳液にと色々持ってくる女性の場合は、より一層わかりやすい。「こんな女性と付き合ったら絶対に面倒臭そう」なんて思うお風呂道具を持っている人もいる。性別に関係なく、お風呂道具を持ってこないで買う人の中には、見るからに計画性に乏しい感じの人もいる。同じく持ってこない人で借りる人の中には、「タダで使えるものは何でも」という感じの貧乏根性丸出しの人がいたりもする。「借りれるものを借りるのは権利」とか「お客様は神様だろ!」というような空気を漂わせている人もいたりする。
では、ネジ式ジップロックに入れたアレッポの石鹸1個という人は、どんな人なのだろうか。かなり謎な人? シンプルすぎて、ドライすぎて、いさぎよすぎる人? 超・合理主義者?

なお、アレッポの石鹸は物凄く水に弱い。そのため、アレッポの石鹸をネジ式ジップロックに入れる際は、石鹸の周りを拭きとることで石鹸がヌルヌルしない状態にしてから入れることをオススメする。

垢すりタオルやバスタオルは日本手ぬぐい1本で

さて、シャンプーやボディーソープなどを手放して、アレッポの石鹸1個にしたとしても、垢すりタオルやバスタオルといったタオル類を持っていかない訳にはいかない。
通販で売っているような高性能のタオルや水泳で使うようなセームも含め、あれこれ試した挙句、最終的に私の場合は日本手ぬぐい1枚で済ませることにした。
手ぬぐいを洗顔タオルのように濡らして石鹸をつけて体を洗う。およそ1週間から10日に1回くらい、濡らした手ぬぐいを固く絞って体をこすると、しっかりとアカが落ちる(この時は石鹸を付けない)。浴室から脱衣所に上がる際は、これまたしっかりと絞った手ぬぐいで全身を拭いてから出る。全身を拭くには何度か絞る必要があるが、実際にやってみると、それだけ大量な水分を拭きとれていることに驚くだろう。
手ぬぐい1本で実にしっかりと水分を拭きとれるため、脱衣所に上がってから汗が流れ出ないのであれば、バスタオルは不要である。そのまま服を着れば良い。仮に汗が流れるのであれば、そのまま手ぬぐいでぬぐえば良い。
ちなみに手ぬぐいの洗濯は、石鹸をつけて手洗いして干せばよい。入浴時に石鹸を付けて体を洗うことで、実は手ぬぐいも洗濯されてしまっているため、そのまま干して乾かせばまた使える。
ある銭湯だったり温泉だったりに自転車で出掛け、使った手ぬぐいをハンドルだったり荷台のバンドだったりに引っかけた状態で走る。その日の湿度にもよるが、風を切って走れば2時間くらいで手ぬぐいは乾く。そうして途中休憩を挟みながら2,3時間ほど走って次の銭湯だったり温泉だったりに立ち寄る…ということも可能である。
なお、別の機会にでも詳細は書こうと思うが、手ぬぐい1枚で不織布マスクのようにあごの下から目の下までをすっぽりと覆うこともできる。この手ぬぐいの使い方は、サウナに入る時や、髭剃り前に便利である。

入浴時に手ぬぐいを使う際の注意点

ところで、ここで3点ほど、入浴時に手ぬぐいを使う際の注意点を述べたい。

まず、間違っても「手ぬぐいもどき」を使わないことである。しばしば100円ショップで「手ぬぐい」として売られているものには、四辺が縫われてしまっているものが多い。このように「縫われている」布は、手ぬぐいではない。
これから新たに手ぬぐいを購入する場合は、面倒でも呉服屋さんか剣道や柔道の武道具店で買うことをオススメする。このような店だと安くて300円、高いと2000円くらいするが、100円ショップの手ぬぐいもどきとは使い勝手が全然違う。

次に、初めて使う手ぬぐいは、予めよく洗ってから使うようにする。というのも、晒(さらし)を切っただけの白い手ぬぐいでもない限り、色落ちすることがある。とりわけ銭湯や温泉で色落ちすると、髪の毛を染めていると勘違いされる恐れがある。
先ほど1枚あたりの手ぬぐいの値段を300円から2000円と述べたが、有名なブランドの手ぬぐいではない場合、手ぬぐいの値段は主に生地の種類と染料の種類によって決まってくる。
手ぬぐいの生地は岡とか総理とかあるのだが、正直なところ私はあまり手ぬぐいの生地の違いに思うところはない。どれを選んでも良いと思う。それでも、あえて生地の違いを言うのであれば、モンベルの手ぬぐいは生地が良いと思う。程よく柔らかく、石鹸の泡立ちも良い。そして、いきなり使っても色落ちがほとんどしない。
もし染料にもこだわって手ぬぐいを選ぶのであれば、私のイチオシは藍染である。使い込むほどに風合いが増すほか、藍染の藍それ自体に殺菌効果がある。ただし、藍染の手ぬぐいは間違いなく1本2000円クラスである。
藍染の手ぬぐいは高嶺の花だが、それでも自然な色合いの手ぬぐいが欲しいという方は、自分で染めることをオススメする。白い晒を買ってきて、手ぬぐいのサイズに切り、草木染をする。あるいは飲み終わった紅茶などの茶殻やドリップした後に残るコーヒーかすを使って自分で好きな色に染める。世界にたった1本の手ぬぐいが出来上がる。晒は呉服屋さんで売っていることが多いほか、法被やお神輿といったお祭り用品店で売られている。
同じような発想で私が憧れるのは、元々は白い晒を切っただけの手ぬぐいなのに、あちこちの温泉巡りをした結果、温泉の色に染まった手ぬぐいである。時折、銭湯のお湯が天然温泉という地域があるが、そういう温泉に行くと地元住民の方が、そこの温泉の色に染まったタオルを使っていることがある。それの手ぬぐいバージョンというのは物凄く憧れる。

そして最後に注意すべき点は、どうしても手ぬぐいではダメなこともある、ということである。
その代表例が、バスタオルの着用が義務付けられているドライサウナと、同じくバスタオルの着用が義務付けられている混浴だろう。幸か不幸か、私は混浴それ自体の経験がない。しかし、ドライサウナは経験がある。バスタオルがなくても使うことのできるドライサウナもあるのだが、バスタオルを体に巻いて使うことを求められる場合、手ぬぐいでは役目を果たさない。
これは、手ぬぐいのサイズの問題だけではない。どうしても手ぬぐいは薄いが故に、手ぬぐいを腰に巻いて座っても汗は手ぬぐいだけで吸いきれないため、自分が座ったところが濡れてしまうことになる。
バスタオルの着用が求められている場合は、手ぬぐいで押し通さずに諦めるか、バスタオルを借りるかすべきである。

ネジ式ジップロックを手ぬぐいで包む

さあ、こうしてネジ式のジップロックに入ったアレッポの石鹸1個と、手ぬぐい1本があれば、お風呂に入れる。ラッキーなことに、手ぬぐいを半分に折って使えば、いわゆる「お弁当包み」でネジ式のジップロックを包むことができる(参考までに「お弁当包み」とは、ひし形に置いた真ん中に包みたいものを置き、上下の布を包みたいものの上に乗せてから、左右の布を二重結びする方法である)。
なお、私の場合、ネジ式のジップロックを手ぬぐいでお弁当包みする際、ジップロックの上に無印の「携帯用シリコーンコップ」と、同じく無印の「折りたたみ歯ブラシ」を乗せてから包んでいる。ネジ式ジップロックのサイズが中サイズでもこの組み合わせで包むことができる(結び目はちょっと小さくなるが)。お風呂に入ったついでに歯磨きをして、そのまま寝ることができる。
大きな風呂敷はいらない。この手ぬぐい包み1個で十分である。そして、この手ぬぐい包み1個なら仕事で使うカバンに入れてもかさばらない。実際、私は自宅で入浴した後は、この入浴セットを翌日の仕事で使うカバンに入れている。急な出張や、何かのトラブルで帰れなくなったとしても、入浴セット(と歯ブラシ)があるというのは大変便利である。スポーツタイプの自転車の、地図を入れることのできるフロントバッグにだって入れられる。もちろん、使って濡れた手ぬぐいを干している間は、別の手ぬぐいで包んでおく必要があるため、未使用の手ぬぐいを1本用意しておく必要はあるが、それはズボンのポケットにでも入れておけばよい。

ここで1つ、とても残念なお知らせがある。
なんと無印の折りたたみ歯ブラシが廃番になってしまったのだ。
まぁ、最悪、普通に薬局あたりで売られている旅行用の歯ブラシを持ち歩くでも構わないのだが…。

まとめ

お風呂には余計なものをもって行かないことだ。ネジ式のジップロックに入れたアレッポの石鹸1個と日本手ぬぐい1本と、無印のコップと歯ブラシだけで十分である。
このお風呂セットであれば、仕事で使うカバンに入れて持ち歩くこともできる。突発的な出張や災害に備えて、お風呂セットを持ち歩いてみてはいかがだろうか。

何もサポートは金銭に限りません。「スキ」をすることやシェアすること、素直なコメントを残してくださることも、立派なサポートです。 それでも金銭的なサポートをされたい方は、どうぞご自由に。