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過去の災害を知る≪1≫河道閉塞〜長野県西部地震(9月14日)〜

 皆さんは、Panasonicが災害啓発に向けて作成した「365日災害カレンダー」をご存知でしょうか。
 過去の災害について、1日ごとに合計365ケースが一覧で見られます。

 「日本は災害大国」とよく言われますが、改めてその多さに驚きます。現在の災害対策の背景には、過去に発生した災害の教訓があります。ですので、過去の災害を知る事は大切です。

 ここでは、過去の同じ日に発生した災害について、現在にも繋がるいくつかのポイントをまとめていきたいと思います。

長野県西部地震の概要**

発生日時   :1984年9月14日8時48分
被災エリア  :長野県王滝村(推定震度6)ほか
被害     :死者・行方不明者29名、負傷者10名
        全壊14棟、半壊73棟

 震源が地表から2キロ、M6.8の直下型地震で、被災エリアは約10km四方に集中しました。ちょうど長雨の後であったために、複数箇所で発生した地すべりなどの土砂災害により多くの方が犠牲になりました。

 本日取り上げるポイントは、土石流により発生した河道閉塞です。

長野県西部地震で発生した河道閉塞

 御嶽山8合目で大規模な岩屑なだれ(岩なだれ)が発生し、土石流となって流下しました。その堆積厚は最大で50m。
 土石流が流下した先では、王滝村を流れる王滝川がせき止められました。これを河道閉塞といいます。

絵はhttp://www.sabopc.or.jp/library/river_blockage/より引用

 河道閉塞は、土石流の他に山体の深層崩壊などでも発生します。

 土石流そのものも町や建物を飲み込む危険な現象ですが、河道閉塞も大きな問題となります。上流側にたまった水が一気にあふれだすと、下流部に一気に水や土石流が押し寄せます。最初の土石流から遅れて発生するため、まるで「時限爆弾」のようです。

近年の類似事例

 河道閉塞は、平成23年紀伊半島大水害でも熊野川で発生しています。

河道閉塞への対策

 土石流や深層崩壊そのものへの対策も講じる必要がありますが、発生原因がまだわかっていない部分が多いことも事実です。やむを得ず河道閉塞が発生した場合の処置として、せき止められた水を排水するなどがあります。

 しかし、大雨の直後などは水が一気にたまる可能性があります。また、地上からの調査では二次被災などの恐れがあるため、ヘリなどによる早急な調査が求められます。災害発生直後に国や都道府県が調査ヘリを出動させる目的の一つとなっています。

おわりに

 長野県西部地震は30年以上前に発生した災害ですが、ここで発生した河道閉塞を初めデマの流布など今でも共通する教訓が多くあります。興味がありましたら、ぜひ勉強してみてください。

長野県西部地震に関する参考文献等

・1984年長野県西部地震土砂災害(長野県土木部)
https://www.pref.nagano.lg.jp/sabo/manabu/documents/dosyajirei-p-000700.pdf
・御嶽山火山研究施設_田の原-御嶽崩れ(長野県西部地震による山体崩壊跡)
https://www.seis.nagoya-u.ac.jp/center/kovo/midokoro/midokoro_detail06.html
・近畿地方整備局災害写真ライブラリー_平成23年(2011年)台風12号 紀伊半島大水害
https://www.kkr.mlit.go.jp/plan/saigairaiburari/2011_t12/2011_t12_0061.html
・特定非営利活動法人土砂災害防止広報センター_土砂災害とは
http://www.sabopc.or.jp/library/river_blockage/



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