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さるぶつ道場 単振動2解答

浮きの単振動

 問題はこちらです.

 基本的に解き方は,天井から吊したばねに付けたおもりの単振動と同じです.浮力と重力に注目して,運動方程式を立てましょう.復元力は “ $${-kx}$$ ” と表されるので,復元力による位置エネルギーは “ $${\frac{1}{2}kx^2}$$ ” と表すことができます.(4)では一定の力を受ける部分と,単振動をする部分に分けて考えて,円柱の変位が $${x=-\frac{1}{4}H}$$ における力学的エネルギーが,円柱の変位が最大の点(振幅)に達したときと等しいことに注目して解きましょう.

(1) 図2aより,円柱にはたらく浮力の大きさを $${f}$$ ,重力の大きさを $${W}$$ とすると,力のつりあいは,

図2

$$
\begin{array}{}
f-W&=&0\\
f&=&W\\
\rho S(H-D) g&=&\frac{3}{4}\rho SH g\\
H-D&=&\frac{3}{4}H\\
D&=&\frac{1}{4}H
\end{array}
$$

(2) 図2bのように,円柱の沈んでいる部分の高さは $${H-(D+x)}$$ なので,円柱にはたらく力の和 $${F}$$ は,

$$
\begin{array}{}
F&=&\rho S{H-(D+x)}g-\frac{3}{4}\rho SH g\\
&=&\rho S(H-D) g-\rho Sxg-\frac{3}{4}\rho SH g\\
&=&-\rho S gx
\end{array}
$$

(3)円柱は $${F}$$ を復元力として単振動するので,円柱の加速度を $${a=-\omega^2 x}$$ とすると,運動方程式より $${\omega}$$ は,

$$
\begin{array}{}
-\frac{3}{4}\rho SH\omega^2 x&=&-\rho S gx\\
\omega& =&\sqrt{\frac{4 g}{3 H}}
\end{array}
$$

 ゆえに,周期 $${T=\frac{2\pi}{\omega}}$$ より,

$${T=\pi \sqrt{\frac{3 H}{  g}}}$$

(4) 単振動をする円柱の力学的エネルギーを考える.

図3

 図3のように,点Pが $${-\frac{1}{2}H\leq x<-\frac{1}{4}H}$$ のとき,円柱は完全に水中にあるので等加速度直線運動をする.このときの円柱の加速度 $${a'}$$ は,

$$
\begin{array}{}
\frac{3}{4}\rho SHa'&=&\rho SH g-\frac{3}{4}\rho SH g\\
&=&\frac{1}{4}\rho SH g\\
a'&=&\frac{1}{3}g\\
\end{array}
$$

 $${x=-\frac{1}{4}H}$$ での点Pの速さの2乗 $${v^2}$$ は,$${v^2-v_0^2=2ax}$$ より,

$$
\begin{array}{}
v^2&=&2\cdot\frac{1}{3} g\cdot\frac{1}{4}H\\
&=&\frac{1}{6} gH
\end{array}
$$

 図4のように,点Pの運動を振幅 $${A}$$ の単振動と見なすと,点Pの変位が $${x=-\frac{1}{4}H}$$ での力学的エネルギーは,点Pが振幅 $${x=A}$$ に達したときの力学的エネルギーに等しいので,

図4

$$
\begin{array}{}
U_A&=&K_{-\frac{1}{4}H}+U_{-\frac{1}{4}H}\\
\frac{1}{2}\rho S gA^2&=&\frac{1}{2}\cdot \frac{3}{4}\rho SH\cdot \frac{1}{6}{\text g}h+\frac{1}{2}\rho S{\text g}\left(\frac{1}{4}H\right)H^2\\
A^2&=&\frac{1}{8}H^2+\frac{1}{16}H^2\\
A^2&=&\frac{3}{16}H^2\\
A&=&\frac{\sqrt 3}{4}H
\end{array}
$$


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