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事業会社を始めて、そして閉めた話(その16)戦略への貢献、会社とは何か。

 水平分業の内勤社員の集合では、大型船運行の計器数値の維持、という体のKPIに関わることが多いけど、比較して、今回の仕事は、艦橋のマネジメント達が、航海で新たな計器を必要としていて、それを実現するというような、少し大きい粒度だった事に気づいた、というあたりから。

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つまり、艦橋のみなさんが考えている戦略への貢献度という事に改めて気づいたんですね。戦術の施策へのそれでなく。

事業会社や、戻ってすぐの仕事は思い返すと「このままだと破綻する」「自分がやらないと失敗する」でやったことばかり。

今回の仕事は、古の小規模な事業に再参入という物でしたが、評価の軸は、一般的な売上、利益、市場シェア的なビジネス貢献度ではなかった。大体そう言った重要性で語るなら、ま、ゴミなんです(笑

では何かというと、一義的には個社のブランディング側面を満たすもの、と言えるアイテムでした。

自分は、
「こんなの誰も手をつけないよな。HQの社長の今の方針でいえば、延長線上でやるべきだ。会社の事考えたら、今やっとかないと歴史が途絶えるな。また暫く機会がないだろうからやるべきだな。でもビジネス的にはゴミだ。結構やった挙句に報われないパターンだな。。。」

と思いながら、ま、やるかと(笑)前の仕事と同じ使命感で、その場その場の承認ではそれぞれの粒度で意義を提示しながら進めた。

会社は、
「ビジネス対象のKPIにはならないな、でもHQ的にも戦略的にやっている(と言える)のは重要。見回すと他に社内で該当するものはない。やれと言ってすぐできるものでも無い、この件は社のKPIとしてブランディング面でカウントして、なんとか今季中に出させ、株主と市場の評価を得よう。」
と判断した。

オーガニックに始めた仕事かつ、売上貢献、コストダウン、ヒットモデルでなくても、この視点で企業全体の代表KPIに入る事もある、ということなんですね。

この件は実際に、HQ、ホールディングス側への代表KPIとして提出されたので、その達成の暁にはMAX評価となるのはこれはわかる。

結果、平社員ですから、人事の評価指標によくある「役割の分を遥かに超え、達成した」タイプの、一体誰にこんな評価付くんだよ、射的の1等の見せ球のガンプラかよ、アホらしい、と長年思っていた(笑)ランクが、実際に自分についた訳です。良い上司であった事や、彼は複数事業の管理的なポジションで、事業の実行者が私と明確になっていたのもポイントでした。

そしてその後、戦略通りに、HQや会社の色々な所で自分の仕事がモチーフとして使われるのを見、ますますこれらの事を深く実感したしだいです。

最も、これはかなりプレッシャーでもあるんです。

何故かと言えば、リリースの遅れを生みそうな課題が出始め、その報告の際にトップマネジメントが焦って顔を見合わせる。

その時個社としてのKPIに入っている事を知ったんですが、つまり、社長含めて4桁の社員全員の一時金の一定の割合について、自分が担わされているんですよ(笑)全体戦略に合致したレベルのKPIは、社員全部どころか、マネジメントの報酬も背負っているんです。痺れますね。

期末に、大きな全社会同みたいなものがあって、経営の状況などをマネジメントが報告する。そこで賞も貰う訳ですが、そこでKPIの内、1/10位の割合で自分の仕事がリストに載っていて、〇が書かれていたのを見た時、胸を撫で下ろしましたね。これが△や✖️だと、あいつがボーナス下げた張本人か、と思われてしまう訳です。

恥ずかしい話、正直な所この中年期に到るまで、それなりに人口に膾炙する仕事などもして、合弁のオープナー、クローザーまでやってきましたが、こう言った事が自然に腹落ちできる様になったのは、本当に最近の事です。

中期計画などの立案も、事業ユニットの中にいる際には、もちろん行なっていた。でも、会社は経営戦略に基づいて事業戦略を立ててそれの遂行で株主にリターンをする。その事は、事業内の内勤者的なマインドでは実感し難いものであったりします。

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 で、今度は逆の立場にもなったりする(笑

廊下の曲がり角の向こうから、

「あんなのやってたの知らなかったー。売上どのくらいな訳?なんであれに賞が出て、こっちに無い訳?皆頑張っているのにさー」

と、私に対する陰口叩かれてるのが聞こえて来て、オットットと、曲がらずに後ずさって戻ったりするわけです。

大会社の内勤が長いと、上に服従、見回すのは左右。戦略全体の何処を行なっているか実感湧きにくい。組織理由の配置換えも多い。皆自分と同じなのにと思えば、頑張ってる頑張ってない的な視点に落ちてしまうのかもしれないなと。

俺あなたの貰ったボーナスのウン万円分上乗せするために頑張ったんだよ!と言っても分からんだろうなあ。。。

と思った時、ハッと気がついた。曲がり角で私をDisっていた連中は昔の自分だよ。事業会社当時の。

上まで合意の取れた戦略を常に念頭においていたろうか?

それに基付いて株主やパートナーと逐次施策を調整したか?

自分が是と思い込んだ事を指針に動いてなかったか?

自分の周囲だけしか見えていなかったのではないか?

会社は経営戦略に基づいて事業戦略を立ててそれの遂行で株主にリターンをするもの。そこからしか始まらないものです。当時この事は本当の意味で理解できていなかった。第一にあったのは自分の「我」だったかも。。。と過去を苦く思い出す訳です。

後2回続きます。

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