売りたい人ばっかりのビジネスモデル
「供給者」を相手にする
「サービスを享受したい人よりもサービスを提供したい人が多い分野」
というものがあります。
要するに供給過多の分野ですね。
今回は、
「第三者としてそうした供給過多の分野を発見し、たくさんいる「供給者」を相手にしたビジネスモデル」
について考察します。
メインストリームには入らない
19世紀のカリフォルニアで起きたゴールドラッシュ。
そこでは、多くの人が一攫千金の金鉱を求めて移住しました。
しかし、実際に金を掘り当てた人は一部に過ぎませんでした。
むしろ、その中で成功したのは、金を掘る人たちに道具や物資を提供する事業でした。
具体的には、金を掘るためのツルハシやシャベル、丈夫な作業着としてのジーンズなどが売られ、これらのビジネスは大成功を収めています。
このように、
「メインストリームの活動に直接関与せず、そこに従事する人々を横から支える」
というビジネスモデルは、安定した需要を見込めるため、非常に有効です。
見つけ方
「サービスを享受したい人よりもサービスを提供したい人が多い分野」
はどうやって見つけるのか。
市場調査はその第一歩です。
関連する市場調査レポートを読み、業界の動向や競争状況を分析します。
SNSの活用も有効です。
特定の分野に関するSNSグループなどを観察し、提供者と消費者のバランスを確認
します。
求人サイトを分析することも役立ちます。
求人情報が多く出ているかどうかを確認することで、その分野で働きたい人が多い可能性を探ることができます。
講座やセミナーのチェックも有効です。
提供者の数と受講者の数を比較することで、その分野の構造を把握することもできます。
実際にイベントやセミナーに参加し、参加者を観察することも有効です。
分野の例
供給過多と思われる分野を挙げてみます。
★講師ビジネス
オンライン学習の普及により、講師業は急成長していますが、供給のほうが多いと考えられます。
多くの人が講師としての活動を希望していますが、供給過多のため、適切に市場にアプローチできる人が限られています。
そうした中で出てくるのが…。
オンライン教育プラットフォーム:講師が自身のコースを提供できるプラットフォームを提供し、手数料を取るビジネス。
マーケティング支援サービス:講師が自身のコースを効果的に販売するためのマーケティングツールやサービスを提供。
★食育ビジネス
食育ビジネスも注目されています。
健康志向の高まりとともに、食育に関心を持つ人々が増えています。
食育は、つきつめれば「教育=教えること」ですが、この分野には
「教えたがり」は多いけれど「聞きたい人」は少ない
という特性があります。
そこで、「教えたい人向けのサポート」が、ビジネスとして成立します。
レシピキット販売:食育指導者が使えるレシピキットを販売し、そのキットを通じて収益を得る。
食育プラットフォーム:食育指導者がコンテンツを提供できるプラットフォームを提供し、手数料を取るビジネスモデル。
★パーソナルトレーナー
健康志向の高まりとともに、フィットネス業界も急成長しています。
しかし、パーソナルトレーナーとして活動したい人が多く、顧客の取り合いが激化しています。
そんな状況に対して考えられるのが、たとえば
トレーニングアプリ:トレーナーが自身のプログラムを提供できるアプリを開発し、利用料を取る。
オンライン予約システム:トレーナーが顧客とのセッションを管理するための予約システムを提供し、月額料金を取るビジネスモデル。
★ライフコーチング
ライフコーチングは自己啓発やキャリア支援の分野で需要がありますが、提供者が多いため競争が激しいです。
その中で有望なのは、
ウェブサイト制作サービス:ライフコーチが自身のサービスを提案するためのウェブサイトを制作・管理する。
コーチング認定プログラム:新規のライフコーチを育成するための認定
★DIYクラフト
ハンドメイドやクラフトの人気が高まる中、多くの人がDIYクラフトを教えるビジネスを始めていますが、提供者が多いため市場が飽和状態にあります。
そこで考えられるのが、
クラフトキット販売:DIYクラフトを教える人向けに、必要な材料やツールを一式揃えたキットを販売。
オンラインマーケットプレイス:DIYクラフト講師が自身の作品や教材を販売できるマーケットプレイスを提供し、手数料を取るビジネスモデル。
★パーソナルスタイリスト
個々のファッションスタイルを提案したいパーソナルスタイリストは多く存在します。
そこで考えられるのは、
ファッションコーディネートツール:スタイリストが顧客のコーディネートを提案するためのツールを提供し、利用料を取る。
スタイリスト用マーケティングプラットフォーム:スタイリストが自身のサービスをPRするためのプラットフォームを提供。
★ペットケアサービス
ペットの飼い主が増え、ペットケア(グルーミング、トレーニング、ペットシッティング)の提供者も増えています。
このようなビジネスが考えられます。
ペットケア用品の販売:ペットシッターやトレーナー向けに、ケア用品やトレーニング道具を販売。
ペットケアの学習プラットフォーム:ペットケアの専門家がオンラインでトレーニングやケア方法を教えるプラットフォームを提供し、手数料を取る。
分野の特性
こうした、
「サービスを享受したい人よりもサービスを提供したい人が多い分野」
には、いくつかの共通の特性があります。
まず、低参入障壁です。
参入に必要な資金やスキルが比較的少なく、多くの人が容易に始められることが特徴。
次に、自己実現欲求です。
提供者が自身の趣味やスキルを生かして自己実現を図りたいと思う分野です。
さらに、オンライン化の進展があります。
インターネットを利用して手軽にサービスを提供できることが大きな特徴です。
個人ブランドの重要性も見逃せません。
個々の提供者のブランドや個性が重要となり、SNSでの発信力が鍵となります。
最後に、柔軟なサービス形態です。
オンライン、オフライン、ハイブリッドなど、提供方法が多様で柔軟であることが共通の特性です。
まとめ
「サービス提供者むけサービス」のビジネスモデルは、提供したい人を顧客とすることで、安定した需要を見込めます。
メインストリームの活動に直接関与せず、その活動を支えるサービスを提供することで、安定した収益を得ることが可能です。
ゴールドラッシュ時代の「ツルハシを売る」「丈夫なジーンズを売る」ビジネスモデルのように、現代でもこのアプローチは非常に有効です。
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