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安全祈願

七月初め。友人夫婦が今年こそはカヌーとかSUPとかやってみたいと言い出した。当然最初から川下りは大変なのでとりあえず練習のために琵琶湖に向かうことに。いろいろと試したほうが楽しいと思うので、ファルトボート・ダッキー・SUPと盛りだくさんに準備した。

現地に到着するとラッキーなことに私たち以外には人はいない。この場所はもう少し立つと人気の遊泳場になるので、人込みを心配していたのだが、いい感じだ。しかもこの日の風は南から北に吹いている。この調子だとしばらくの間は、沖に向かって流されることもないようだ。

準備をすませていろいろと試してみる。当然、落水はするので大騒ぎだ。特に女友達のMはうるさい。「怖い~」「落ちる~」「冷たい~」「死ぬ~」。いくつになっても新しいおもちゃは楽しいものだ。

時間がたつにつれてだんだんと慣れてきて安定してくるのだが、あいかわらず「落ちる~」「死ぬ~」は続いている。やってるほうはまだまだ楽しいのだが、見ているほうは少々飽きてきたので、こっちはこっちで勝手にやらしてもらうことに。

ファルトボートに乗って、少し沖に出てみる。岸の方を見ると夢中になって「落水」を繰り返す中年夫婦が見える。何とも言えない楽しい気分。と、その時。道路の方から何やら厳かないで立ちの団体が登場した。先頭に立っているのは神主さんのように見える。何事かと思ったが、どうやら今年の「湖開き」の安全祈願神事を行うようだ。まもなく準備が整ったようで、皆さんは湖に向かって頭を垂れだした。神主さんの「詞」がここまで少し聞こえてくる。なんとなく沖から見ていたのだが・・・・。不味い!「中年落水夫婦」が流されて、どんどん神事に近づいていく。大騒ぎ中の夫婦は神事には全く気を留めていない。

たぶん神主さんをはじめ皆様の耳にも届いてるであろう、「冷たい~」「死ぬ~」の絶叫。。。しかし、始まったものはしょうがないのだろう。あちらは、こちらの事を完全にないものとして行っておられる。その距離約20M。

その場にいた全員(落水夫婦除く)が思っていただろ。「空気読めよ~」。ほどなく神事は終了して皆さんは帰路へ。ご迷惑おかけいたしました。

でも思えば、こちらも安全に遊ぶための練習中。お互いの心は一つ。「この夏もみんなが安全に楽しめますように」しかもあれだけ騒げばもしかしたら最強の厄払いになったかも。と、勝手な解釈。

琵琶湖は本当に素晴らしい。この日も良い一日になった。





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