梅花麗筆(ばいかれいひつ)
これは、とある骨董店の娘さん(仮にレイコさんとしておきます)から聞いた、古い手紙にまつわるちょっと謎めいたお話です。
一口に骨董店と言っても、店主の好みや得意分野があり、扱っている品もそれぞれの店でかなり異なります。
レイコさんの父親は、古い漆器や家具、古民具などの古い木製品を中心に商いをしていました。
彼女は大学生の頃、父親が仕入れてきたそれらの品の、検品や清掃を手伝っていたそうです。
その日は金沢から仕入れて来たという明治時代の手許箪笥(てもとだんす)の点検をしていま