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我が家が地域工務店を選んだ経緯(1)

前回は、マイホームを新築しようと決めた経緯について綴らせていただきました。

 今回は、私が自宅の建築を依頼した工務店を選んだ経緯について綴らせていただきます。


最初は大手住宅メーカーしか考えていなかった

 

マイホームを建てようかな、と思った時、まずやることってなんでしょう。そう、総合住宅展示場の見学です・・・我が家も行きました。

今は家を建てる気がない方も、一度どういうものなのかを見学するのは将来のために良い経験になると思います。

初めにアドバイスをしますと、1日に何軒も見ようと思っている方、諦めてください。何軒もいくとめっちゃ疲れます。我が家は1日2軒でギブアップしました。

というか、事前に下調べせずに展示場の住宅を全部見ようとか、思っていませんか?そういう方は、営業トークの餌食になり、時間も精神力も消耗します。ハウスメーカーの営業の方も必死ですので、何とか次の打ち合わせの約束を取り付けようとします。お子様連れだと、トミカのおもちゃとかをプレゼントしてくれて、ますます断りづらくなっていきます。その気もないのに打ち合わせに時間を使うのは、顧客にとってもメーカーにとっても時間の浪費ですよね。


事前にインターネットで軽くでもいいから調べましょう。外観や特徴、性能をある程度調べて、自分の好みに合っているか、性能は満たしいているかなどの基準で、めぼしいとところを2~3軒に絞ってから見学に赴いてください。

もちろん、家を建てよう、と思ったばかりの人は、そんなこと頭にないと思いますし、忙しいし予習する時間なんてないことは承知しています。
そして、この記事でそんなこと今更発信してもなんの意味もないことはわかっています。

でも言わずにはいられないんですよ・・・我が家がそうだったから・・・。


見学に行ったのは下記です。

・あったかSハイム
・ウサギマークのMホーム
・圧倒的性能値、I工務店

この中で唯一本気で長く検討したのは、あったかで有名なSハイムです。当時愛読していた住宅ノウハウ本で洗脳されていたため、家は暖かくなければ行けない!住宅は冬を旨とすべし!と考えていて、あったかと謳い文句にしているのだから、間違いなかろうと踏んだのです。
・・・今思えば安直ですね。仮にも理系なら、数字で比較するということを忘れてはいけません。

営業が熱心な方で、土地の検討とファーストプラン作成までやりました。

お抱えのFPにライフプランニングも無料で行ってもらいました。
住宅メーカーに紹介されるFPは、住宅メーカーに有利なポジトークしかしないので信用してはいけない、とよく聞きますが、これは本当です。
ローンを上限ギリギリまで組む前提で、それでも大丈夫ですよ!これでも年2回くらい旅行行ける余裕あります!なんて言われます。

ライフプランニングってこういうものなんだ、という参考にはなるので、やってもらって損はないと思います。人生でどんな出費がどの時期に来るのか、把握することには使えます。

土地の提案からプランニングまでしてみて、結構本気でこのままここに決まるのかな、思っていました。性能的には(I工務店には劣るものの)十分そうだし、全棟c値の測定を行うと謳っていましたし(社内目標値1.0以下ってちっさく書いてありました。今はわかりません)、耐震等級は3。なんの問題もないように思えました。

でも、契約の決断はしませんでした


この当時、まだ妻は妊娠していませんでした。もし子供ができなかった場合は新築なんて要らないと思っていましたので、子供ができるまでは一旦家づくりはお休みします、と契約寸前で時間をもらうことにしたのです。

これが住宅メーカーではなく、地域工務店のことを検討するいい機会になりました。


かっこいい地域工務店をネットで見つけた



実は愛読していた住宅ノウハウ本には、「本当にいい家を建てる可能性があるのは、地域工務店である」と書いてありました。大手は広告費用と、展示場などの営業費用も住宅価格に上乗せするため割高であるし、素材も工場的な新建材で、間取りの自由度も低い。良い地域工務店を選べば、住宅メーカーよりもコスパ良く質の良い家を手に入れることができる可能性があると。

当時愛読していた本


ただ、工務店って言われても、当時はどう調べたら良いのか分からなかったし、何千万もする住宅を名前も聞いたことのない地域工務店に依頼するというのはなんとなく不安だし、この本自体、地域工務店とアトリエ建築家のコラボ住宅を手掛ける会社が書いたものだったので、どうせポジトークでしょ?とその部分については信用していなかったのです。


それで、家づくりを中止している間に地域工務店についてちょっと調べてみると、あの(一部で)有名な「オーガニックスタジオ新潟」のホームページに辿り着きました。

 
一瞬で惚れました。めちゃめちゃカッコよくて好みだったのです。施主に媚びない突き抜けた思想とデザイン、合理的な設計、圧倒的に高性能な断熱気密性、全棟構造計算して耐震等級2以上を標準化。床下エアコン暖房による全館空調。

COOL!としか言いようがありません。

その後あの名物社長の毒舌(失礼)ブログを読み漁って、住宅に関する(若干偏った)知識を身につけていきました。

また、大手住宅メーカーの家は平均単価がかなり高く、地域工務店ではそれよりも安い平均単価で、しっかりとしたところを選べば、質のいい住宅を建てることができるということも知りました。
ハウスメーカーの方が安くて、このようなデザインの優れた住宅は手が届かないものだというのは思いこみであったということに気づけたことは、大きな収穫でした。

いまだに相模社長の発信する情報はためになるので参考にしています。(YouTubeプレミアムはiPhoneから直接契約すると高いから別のデバイスで契約すること、とか笑)


地域工務店について調べるほど、家づくり迷子になった


しかし残念なことに、私の住む地域は施工エリア外。他の工務店を探すしかありませんでした。

ネットで施工区域の地域工務店を調べてみても、これぞ!思える工務店に辿り着けません。性能が良くても、外壁がサイディングで見た目がちょっと・・・という感じだったり、中途半端な和風でちょっと好みではなかったり、逆に妙にヨーロッパ風だったりアメカジ感溢れていたり。

「オガスタみたいにかっこいいデザインで、かつ高性能な住宅を建てたい!でも住んでいる地域にそんな工務店なんてないよ〜!」という状態に陥りました・・・今思えば、まさに家づくり迷子。当時、この悩みを相談出来る相手がおらず、悶々とした日々を過ごしていました・・・。

信頼できる工務店を見つけるのって、本当に大変ですよね。初めての取引先に、自分の人生をかけた住宅を委託するなんて、勇気が必要です。
その点、大手は有名だし施工棟数が圧倒的に多いので安心して任せられる気がします。
でもそれって、テレビコマーシャルで知っている、多数派が選んでいる、というだけで、洗脳に近いんですよね。


伊藤洋志氏の「ナリワイをつくる」という本につくづくその通りだなーという一説がありました。著者は中古物件の床張りをDIYで行うことの合理性や楽しさを訴える中で、こう述べています。

建築、デザインなど現代のクライアントワークの最大の課題は、依頼者の理解度が高くないので、真に価値のある提案が決済者に通らず、無難な選択肢が採用されがちであるということである。仕事の上でクライアントに提案して採用されることが必要な職種の方は、よい提案を徹夜して考えることも大事であるが、その前に鋭い提案を受け入れる依頼主に出会わなければならない。また、依頼者を何らかの形で教育しなければ、渾身の提案を通すことができない。

伊藤洋志 「ナリワイをつくる」第4章 ナリワイやってみる


これはどんな業界でもそうだと思いますけど、本当に優れた提案を通すには、知識のある顧客を選ぶか、顧客を教育する必要があるんですよね。人間、失敗することを最も恐れるので、知識がないと無難な選択をしてしまうものなんです。
もちろん無難がダメなわけではないのですが、鋭い本質をついた提案を見逃してしまうのは勿体無いことです。

逆に言えば、施主は自分で自分を教育しないと、無難な多数派に寄った選択しかできなくなってしまいます。家づくり迷子とは、まだ知識が不十分で、選択することを過度に恐れているだけなのかもしれません。


話がだいぶ脱線しました・・・


その後しばらくして、有難いことに妻が妊娠し、家づくりを再開することを決めました。

そして真っ先に連絡をとったのは、大手住宅メーカーではなく、全く別の地域工務店である、K建設でした。


 つづく

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