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Heat20 G1とG2 どっちにしたらいいの?

前回は、我が家(Heat20 G1)の快適さについて綴らせていただきました。

G1で十分快適、と書きましたが、じゃあG2は不要なの?Heat20 G1とG2はどっちがいいの?と言うことについて、思うところを綴らせていただきます。

 

結論を先に言うと、私は、できるのであればG2をお勧めいたします。理由は、単純に電気代が軽減できるからだけではなく、やっぱり「G1だと寒く感じることがあるから」です。寒い冬の時期、我が家は部屋による気温差をかなり感じます。実際、寝室はリビングにくらべ3℃ほど低くなります。

部屋の気温差がないと、家中の「自由度」が上がることになり、ストレスがグッと下がります。家の中で過ごす時間の質が向上するはず。

(注意 : ここでいうG2と言うのは、必ずしも「G2を達成」している住宅ではなく、G2に近いUa値の住宅のことを言っています。はっきりと数字で区切るのって、なんか不公平な気がしますよね。)

 

住宅の性能について勉強されているかたは、私が言うまでもなく、目指すべきはG2だと言うことは既にわかっているのではないでしょうか?

それでも、G1を選ぶ理由は以下でしょうか

・付加断熱を施工する予算が取れない
・工務店にG2を達成する技術がない

我が家がG2を選ばなかったのは、そもそも当時その基礎知識がなく、工務店もG1が標準だったので、お勧めされなかったから。選びようがありませんでした。それでもG1を達成するように設計してくれた工務店には、感謝しています。

 

先日、知人が Heat20 G2を達成できる高性能住宅を施工できる工務店を探していると聞き、我が家の工務店にも「G2できるんですか?」と聞いてみたところ、「金額はアップになりますが、付加断熱すればできます!」と心強い返答が返ってきました。

 

それを聞いて、もし当時この知識があったら、2Fトイレとかカーポートとか、色々設備を削ればG2にできたのか・・・とちょっと複雑な気持ちになりました。

でも、当時もしG2に性能UPする選択肢が提示されていても、付加断熱に資金を投じていたかというと、そう断言もできないんですよね・・・。

 

人間、体験してみないと腹落ちできないものです。実際に暮らしてみて、はじめて「なるほど、こうなるのか!」と感じるのです。G1での暮らしを体感した今だからこそ、G2にすればよかった、と感じますが、当時は例え知識があっても体験していないのだから、限られた予算の中で他にもやりたい仕様はあるし、金額アップしてでも付加断熱してG2にする勇気なんて、無かったと思います。

 

これは自己責任の放棄だと批判されかねませんが、私は、断熱性能を向上するのは施主に選択させることじゃなくて、工務店が“標準”として付加断熱するべき、と考えています。だって、施主にはG2とG1が体感としてどう違うのかほとんどの場合わからないのだし、暮らしてみないと理解でききないことだから。

 

金額アップが伴う選択を、後で交換が可能な“設備”ではなく、変更ができない“基礎性能”の部分で施主に求めるのは、ちょっと酷だと思いませんか?G1の金額を見てから、あえて高いG2を選択するなんて、よほどの断熱オタクじゃないとできないと思います。

 

だから、もしも断熱が重要と気づいているのなら、そもそもG2レベルを標準としている工務店を選ぶことをお薦めします。選ぶ余地がなければ、プランニングで悩みませんからね。間取りとか設備とか素材とか、もっと楽しいことに悩む時間を使えます。標準化しているなら、付加断熱にかかる材料費にもスケールメリットが働いて割安になるはず。

 

一方で、工務店の立場もわかります。私の住む地域は冬の日射取得が見込めない日本海側の5地域ですので、G2達成のハードルが関東に比べて高くなっています。そして、平均的な収入も都会よりも地方の方が低いことも事実。G2を標準にしたら、単価が上がってしまい、お客さんが付かない可能性があります。

 

「家づくり迷子」が出てきてしまうのはまさにこれが原因なのではないかと思います。自分の予算にあう工務店を探し当てても、断熱性能はあんまりよろしくない。断熱性能を満たす工務店を見つけても、無垢の木の床を使得ないし見た目がチープで好みではない。デザインも性能も満たす工務店は、行列ができていて2年待ち、しかも予算が合わない・・・そんな状況に陥っているのではないでしょうか?

 

脱線しましたが、我が家の工務店のように断熱性能を付加することを選択できて、どうするべきかどうかで悩んでいる人に、これだけはわかっておいて欲しいことがあります。

 

付加断熱の予算は、高級キッチンとか造作家具とか外収納とかの、設備や素材への予算とは全く別モノだと言うことです。断熱は消費エネルギーの面で金額アップ分を回収できる可能性があるのに対して、設備への金額アップは後で回収できる可能性が皆無です。壁紙や床材にお金をかけても、それがお金を生み出してくれることはありません。トイレが2つあるからって、後で住宅の売却価格にプラスになると思いますか?

断熱は電気代削減と言う形でお金を生み出してくれるのです。しかも住み続ける限りずっと、です。

 

もちろん、投資の100%以上が回収できる保証なんてありません。将来の電気代のことなんて分からないし、転勤や転職とかのライフスタイルの変化で回収前に住宅を手放すことになるかもしれません。どんな投資でも、リスクはあるものです。でも他にかけるお金より、断熱を優先したほうが経済的に合理的であることは理解して欲しいのです。

だから、世帯収入と断熱の金額を見比べて、余裕があるなら、G2への付加断熱はやったほうがいいと思います。

もちろん、予算が合わないのに金額を上げて、生活が苦しくなっては本末転倒です。無理はできません。OMソーラー開発で有名な東大の前教授も、「住宅の性能向上の流れは、投資できる金持ちが更に得をして、お金を持っていない人が更にお金を失う図式になっている。そういう政策は大嫌いだ」と言うようなことをぼやいていましたね(うろ覚えです、すみません)。全くその通りだと思います・・・。

 

それでも、断熱以外の設備の予算を削る余地があるのなら、その分を付加断熱へ投資することを検討する価値はあるのです。先ほどは施主にその判断をさせるのは酷だと言いましたが、もし選択をしなければならなくなった場合は、やっぱり工務店に判断を任せるのは良くありません。どこにお金をかけるべきかは自分で判断すべきです。自分で判断したことなら、後悔するかもしれませんが納得はできるはずです。信頼できる工務店なら、何を最優先にしたいかを伝えれば、予算内でしっかり検討してくれるでしょう。

長くなってしまいましたが結論は

 

・      Heat 20 G1の家は、寒く感じることがある。G2なら電気代だけではなく快適性も向上する(はず)。

・      断熱性能の向上は、投資金額が電気代で回収できる可能性がある分、他の予算とは別物と考えてほしい。

・      断熱に投資するかどうかは、何年住む予定なのか、投資のリスクをカバーできる余裕があるかなどを元に検討して、施主が判断すべき。

 

自分で検討し、納得の上でG1にするなら、全く問題はありません。大丈夫です、心配しなくても、前回書いたようにG1でも十分に今の住宅より快適ですから。

私はその選択肢を与えられず(知らず)判断できなかったから、選択できる人にはちゃんと判断して欲しいな、と思って、ちょっと熱くなってしまいました。すみません。

どうせ新築するなら、少しでも暖かい家を建てましょう!QOLが向上することは、間違いありません!

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