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waltz


生まれっぱなしのような君の目に映る世界には、晴れた空が続き植物は枯れたり腐ったりしない。
そこの住人たちは、雲にも乗れるくらいブランコを思いきり漕いだり、明かりなんて必要のないくらい夜の暗がりを居心地良く過ごし、誰かのために悲しくなることなんてないんだ。
何かがなくなっても美しい風景が続いているんだ。

小さな頭でこんなにも天国をイメージできるのは君しかいない。
過去に囚われたり、弱さを強さで押し潰してしまう僕の住むところとはまるで大違いだ。
季節にも囚われているみたいで、みんな布団に沈んでいる。そんな世界とは。

だけど生きていくことと引き換えに、いろいろ思慮深くなったり、常に胸騒ぎでイライラしたり、宝石のような愛は脆くなってしまうだろう。
大きくなる頭から晴れた空も、陽気な住人たちも、夜の心地良さもなくなって、冷たい言葉でしか話ができなくなるように、きっと天国なんて退屈なものになってしまうだろうね。

だけど君がそうなったら、僕は君以上に悲しくなるんだ。
取り残されてなんかいない。
君を愛する誰かが今もこれからもいるんだ。
そしてそのうちの一人が僕なんだ。
孤独だということは考えないで花畑をイメージしてほしい。
そこで僕が書いた詩の下で君と一緒に踊りたいんだ。
音楽は君の頭の中で奏でて。震える指で鍵盤を弾くことなんてない。
僕が詩を書き終わることのないように、君もつまずいても止めないで。

4分の3拍子のリズムで踊るように、息をして。

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