あきふかむ

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【詩】砂肌

感情の起伏がずっと激しく、ジェットコースターに乗り続けているみたいな日々。 苛立たしいスタートからぐるぐると気持ちが悪くなるほど目が回る言葉の痛さ。 喜怒哀楽に振り回される。 無気力になり、なんとか落ち着いたと思っていたらまたスタートしてしまう。私は席から立つことができずそのまま乗っている。救いはただ私を見届けているだけ。その繰り返し。 大切なものが失われた広々とした砂漠で、誰にも見つかることのない虫のように過ごしたい。もう、誰からも。 喉も体も乾いているのに、どうして、

    • waltz

      生まれっぱなしのような君の目に映る世界には、晴れた空が続き植物は枯れたり腐ったりしない。 そこの住人たちは、雲にも乗れるくらいブランコを思いきり漕いだり、明かりなんて必要のないくらい夜の暗がりを居心地良く過ごし、誰かのために悲しくなることなんてないんだ。 何かがなくなっても美しい風景が続いているんだ。 小さな頭でこんなにも天国をイメージできるのは君しかいない。 過去に囚われたり、弱さを強さで押し潰してしまう僕の住むところとはまるで大違いだ。 季節にも囚われているみたいで、み

      • Hands

        あなたが手を丸めて作った望遠鏡で 私たちを照らすあの月を眺めたい 流れ落ちる星たちを受け止めて あなた 私を輝かせて そのまま抱きしめて あなたが手で表した蝶が 私の肩に止まったら手に入れたい 自由の空の下で出会えて あなた 私は嬉しい そのままつかまえて あなたの消えかけた手を 握りしめることができなかったこと ずっと後悔している 幸せなのはわかっていたけど 幸せだから寂しかったのね どうかそれ以上苦しまないで 決して死ぬことなんて考えないで  夢とか希望とかそんなも

        • 眠れぬ夜の短歌

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        • 雑記
          1本

        記事

          片想いの短歌

          片想いの短歌

          さよならの夜空

          君がアスファルトを歩いたら 静かに一輪の花が咲くらしいけど 僕は砂利道で音を立てながら 小石を蹴ることしかできない 君の瞳をもっと輝かせようと 街の灯が集まってくるらしいけど 僕の頭には白く光降る雪しか積もらない 君が遠くの華やかな街に行ってから 僕は一人、部屋で寝転んで 気ままに暮らしているけど なかなか時間が進まない 風に吹かれて 君の元へ行きたい そんな勇気はなく 空の彼方に吸い込まれる 灯のない道を歩くと 寂しくなって辛くなる それでも星降る夜空が綺麗なんだ

          さよならの夜空

          傷つくぼくら

          死んでいくものは煌めく星々の渚 消えたくなったら恋をして 涙が溜まれば泳いでみよう モノクロな瞳に色エンピツ 嫉妬深さは霧包み 影が逃げたら手を振ろう 傷口に天使が落とした小銭 焦れば埃まみれ 壊れたら鏡よ鏡 幸福をあげる方法を考えるけど そうすると僕も悲しくなるんだ おまじないなんていらなかった パンをちぎって分けるように 痛みは簡単に与えることができる 一つの喜びは二つにはなれない 僕たちは不自由で不器用 答えのない永遠の問の旅 彷徨う空腹と渇きの世界 生きてまた

          傷つくぼくら

          殺してやりたい

          ねぇ、聞いて 驚かないで 実は殺してやりたいやつがいるんだ みんなから嫌われているし 自分の命にも距離を置かれている だから生きていてはダメなんだ その人は手を握りしめて言った なぜ、そんなことをわたしに話したんだろう 君はバカだよと言ったら 僕はバカだよと言われた 後ろを見たら影が大きくなっていた あぁ……殺してやりたい その人は別に殺されたっていいと思っていて いやになるほど白けているんだ だけど今日も殺されずに済んだと身に沁みて 複雑だけど泣いているんだ 死にた

          殺してやりたい

          白いハンカチのドレス

          あなたのはにかんだ顔が見たいし 私も一緒に照れたいから クローゼットからワンピースを引っ張り出す 大人っぽくて落ち着いたものが好みだけど 甘い香りのする可愛いものを着たい 二人で会うのに正解なんてないから そう思っていた頃が懐かしく 自分の姿を見たくない今 暗闇の中でしか服を着れなくなった あの頃は無理をしていたんだ 綺麗じゃない顔 綺麗じゃない声 綺麗じゃない言葉 ずっとこんな自分だった 夜、歩いてみる 足跡が無くなることを思うと 私は消えかけているんだと怖くなる 走

          白いハンカチのドレス

          ぽつりぽつりと聞こえて 眠りに誘われながら 曇ったガラスを指でなぞり 窓からそっと手を出したら 淋しい粒たちが肌にあたる ひとりごとを言いたいけど そんな気持ちになれなくて 粒たちの静寂に触れるために 今はこの部屋を出たくない 会いたくなるのを堪えて 思い出さないように このまま雨に時を運ばせよう ぽろりぽろりと泣いて 唇を震わせながら さよならと言い出した 濡れた道路を一人歩きながら 柔らかい粒たちが慰めてくれる ひとりごとを言ってみたら

          恋人へ

          お元気ですか 変わりはないですか 私は相変わらず あなたがいるのではないかと 夢みがちです しばらくのあいだ力をなくしてたけど そういう時は何も考えず ただふとんの中にまるまってます 暖かくて涙が出ます そういう時 大丈夫だよと言ってくれた頃が 遠くない過去として蘇ってきて 無駄に重い涙が出てきます 君には君にしかない 君だけの特別ないいところがある そう言ってくれたこと あなたの瞳に映ってた私が 透明ではなくあなたの恋人として ちゃんと存在していたこと なぜそんなに

          恐怖は好きに:『犬神家の一族』

          私は親の影響もあって幼い頃から映画鑑賞が好きで、古今東西あらゆる映画を観てきた。 映画も好きだが映画音楽も好きで、音楽を聴いてから映画を観ることもよくある。『風と共に去りぬ』、『カサブランカ』、『ティファニーで朝食を』…この辺のクラシック映画はテーマ音楽が先で鑑賞した。音楽によってその作品の世界観やキャラクターの感情が喜怒哀楽豊かに表現され、感動が増していく。 そんな私には一つとても“忘れられない”、ある意味トラウマだった映画がある。幼い頃、テレビの映画番組で放送されていた横

          恐怖は好きに:『犬神家の一族』

          ドライヴ

          頼るのが苦手な私は ようやく車の免許を取った 相棒は小さくて可愛らしいの 手すりにもたれながら待つ彼を 好きな音楽をかけながら 胸を高鳴らせて迎えに行こう 外は見慣れた景色だけど ハンドルをギュッと握りしめて 私が運転してみれば 見たことない日差しが違う世界を作る 見えてきた、こっちに気づいて手を振った 慣れないバック駐車を カッコつけてやってみよう ニヤニヤしながら見守られると 腹が立つし恥ずかしいんだよ 隣に座った君ってやっぱり心地いいね

          悲しみのレコード

          そのレコードに針を落とすのかい? あなたは耳を近づけて 目を合わせてくれない くるくる回りながら あの日言われた言葉みたいに 愛のない音だけが流れてくる そんなの聴きたくないよ そのレコードの針をあげるのかい? 2人で聴いてるようで 1人で泣いていた ノイズを響かせて あの日の帰り道みたいに なぜか痛みだけが残っている もう二度と流さないでよ

          悲しみのレコード

          君の肌

          目を開けると暗闇の中で横になっていた 釣り合わない甘い香りがしている 次第に目が慣れてくると正面に何かぼんやりと艶やかで白いものが見えてくる そっと手を振れてみると柔らかさを感じた それから指の先で優しく撫でてみる あぁ、これは君だ 君だということを知った僕はそのまま口付けをする 熱く優しいこの感触にやり場のない懐かしさを強く感じた 脳が忘れても僕の体が君を覚えている 何度も重ねあったあの頃を はっきり君を見たくて暗闇から出ると 僕は1人でベッドに横にな

          大きな水たまり

          周りにうんざりしている私は 残りの暑さを理由に家出をした 気が乗らない彼の手を強く引いて 大きく広がる水たまりを見に行く 波をかぶりほほ笑む彼を見てたら 不思議な幸福が遠くへ誘う そんな私は気にしないふりをした 口を開かず肩を落とす僕は 弱さを見せないように強がった 思いをかける彼女から手を引かれ 大きく広がる水たまりを見に行く 砂浜で泣いてる彼女を見てたら 込み上げてくるものがある そんな僕は気にしないふりをした

          大きな水たまり