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テクノポップを聴きながら

日曜の午後2時過ぎ、
急に思いたって慌てて身支度をして外に出てきた。

今日は朝からどんよりとした天気だった。
まさに"曇天"といった空。

その外の暗さで
いつものような時間に起きることができなかった。


朝方、変な夢も見ていた

実際には数年前に他界している往年の名女優がなぜかブローチを作っていて、
私は女優に中間マージンをもらって
それを買ってくれるお客を見つけてくるという仕事をしているようだ。

女優には
私のような営業担当(?)のような者が数人いるようだったが
今回私が良いお客を見つけてきたと言って
マージンの値を上げてくれた。
女優は私の能力をとても買ってくれているようだ。

そんな夢だった。


このところ気に入っている発酵バターを付けた
食べきれなくて冷凍してあったのを軽くトースターで焼いただけのバゲットと
近所のスーパーで買ったドリップバックのコーヒーで
簡単な朝食を済ませた。


どんよりした天気のせいかそのあとも何をする気も起きず、
惰性で点けたテレビをぼんやりながめながらスマホをいじり始めたら、
大御所ミュージシャンの訃報が目に飛び込んで来た。

私が中学生の頃、一世を風靡した
世界的なグループのメンバー
テクノポップの先駆者である。

当時の彼らのアルバムに
曲間にコントが挿入されているという非常に斬新なものがあった。
そのアルバムを部活の仲間から借りてテープに録音し
夜中に何度も聴いたのをよく覚えている。

テクノという音楽の衝撃
コントとの融合という衝撃
とにかく全てが新しかった。

大ファンとまではいかずとも
私は彼らのファンではあり、
最近もフリマアプリなどで昔のCDやDVDを探し出して買ったりしていた。
若い頃に買えなかったものを大人になって思う存分買う
というあれ。

病に倒れたということは聞いていたが
急な訃報を聞くとやはりショックだった。

自分を作っているものの一部が
リアルから
過去になってしまったのだと
思い知らされる感覚。

還暦まであと数年となった年齢のせいか
最近こういうことが増えてきた。

ミュージシャンとは直接の知り合いでもなんでも無いけれど
こちらにとっては
やっぱりよく知る人のひとりな訳で

それは
知り合いの死
という感覚だ。


昨日は娘夫婦のところに行き、
孫と遊んだり家族で食事も楽しんだ。
今日はこれといった用事も無いので
家で過ごそうと考えていたけれど

やっぱり外に出よう。

なんだか家の中に籠っていられない。


家で静かにもの思いに耽ったり
書き物をしたり
片付けをしたり
そんな1日にしようかと思っていたけれど
どうもできそうにない。

なんだか妙な寂しさが
胸とお腹の間あたりにもごもごとしていて

それは昨日の娘家族との団欒への郷愁なのか
ミュージシャンの死から感じたものなのか
わからないのだけれど。

一日家の中に居たら、
そいつと一日ずーっと一緒に居なくてはならないような気がした。

そいつが、
胸とお腹だけでなく
肩のあたりまで広がっていきそうな感覚があって
私は外に出る身支度を整えた。

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