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ジー・ダヴリュー

【GW】

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三島
「そう言えばGWって何するの?」

野田
「特に予定はたってない。お前は?」

三島
「僕も全然」

野田
「あれ、そう言えばお前サービス業だから土日祝が休みとれないんだよな」

三島
「今まではそうだったんだけど、僕4月から転職したんだ」

野田
「あ、そうなんだ」

三島
「それで新しい仕事先が平日週5勤務でさ、休みも暦通りなの」

野田
「もう今までと生活スタイルが真逆だ」

三島
「そう。だからGWの過ごし方がイマイチピンと来なくて。実際周りの人達はどうやって過ごしてるんだっけな?って」

野田
「そうだなぁ・・ちなみにGWは何連休?」

三島
「5連休」

野田
「5連休あれば何でもできるぞ。海外旅行とかは?」

三島
「海外旅行か・・あれって逆に疲れそうじゃない?海外とかもう何年も行ってないし」

野田
「場所にもよるけど確かにそれはあるかもな。んじゃ国内は?温泉とか」

三島
「それはいいかもなぁ。手軽だし癒されるし」

野田
「ちょっとネットで調べてみようか?」

三島
「おぉ助かるよ!僕ネット関連あんまり得意じゃないから」

野田
「・・・あぁー・・ダメだ」

三島
「ダメ?」

野田
「もうこの時期だとどこもいっぱいだ」

三島
「GWは国内旅行でもそんな人気なんだ」

野田
「今はもう海外からの旅行客が凄いんだわ」

三島
「確かにここ数年海外から日本への観光客、相当増えてるよね。ニュースでもよくやってる」

野田
「まぁな。GWとなると特に何倍にも増えるからな」

三島
「そっか。・・・でも海外の人ってGWは関係ないんじゃないの?」

野田
「なんで?連休の方が日本に長く滞在できるわけだから来やすいでしょ」

三島
「そう言う意味じゃなくて、GWって日本の文化だから海外の人は普通に・・・」

野田
「お前マジで言ってんの?」

三島
「え?」

野田
「GWだぜ?ゴールデン・ウィーク」

三島
「うん」

野田
「ゴールデン・ウィークはあっち(海外)からこっち(日本)よ」

三島
「・・と言うと?もともとの発祥は海外ってこと?」

野田
「輸入品」

三島
「輸入品!?」

野田
「おうよ。GWを『黄金週間』とは言わないだろ?」

三島
「た、確かに。今までてっきり『子供の日とか『みどりの日』とかをくっつけて大型連休にしたのかと」

野田
「あんなの後付けだよ。『みどりの日』とかもう意味わかんないだろ」

三島
「でもまさか日本は輸入国だとは知ってたけど暦まで輸入しているとは・・・」

野田
「これも時代の流れよ」

三島
「時代の流れかぁ。そう言えばGWっていつぐらいに輸入されてきたの?自分が物心ついた時にはもうあったような・・・」

野田
「お前『オイルショック』って聞いたことある?」

三島
「なんか社会科で習った事ある気がする。具体的にはよくわからないけど・・・」

野田
「オイルショックが何かって簡単におさらいすると『オイルが輸入できなくなった』わけ。今から40年以上前かな」

三島
「オイル?」

野田
「そう。日本語で言う『油』。それでもう日本中が大騒ぎになって。『オイルがない!』『オイルがぁ!』って国民中が大きなショックを受けた、これが『オイルショック』な」

三島
「なんで輸入できなくなったの?」

野田
「オイル重いから」

三島
「意外と理由シンプル」

野田
「もう日本国民の士気はダダ下がりよ」

三島
「・・でも、日本国民中がショックになるほど困るのかな?オイルがなくなるだけで」

野田
「お前、『から揚げ、ラーメン、天ぷら、野菜炒め、チャーハン、とんかつ・・・etc』この中で好きな食べ物ある?」

三島
「そりゃ全部大好きだよ」

野田
「油がなかったら?」

三島
「!?」

野田
「そういう事」

三島
「なんてこった・・・」

野田
「ほら、そう落ち込むな。顔を上げろ。当時オイルショックだった人達はお前のその何倍もショックだったんだぜ」

三島
「立ち直れないなぁ・・」

野田
「そこでだ!日本政府も馬鹿じゃない。『油が重くて運べないなら一度に運ぶ人数を増やせばいい』と言う画期的な政策が練られた」

三島
「いよっ!待ってました!」

野田
「これを『引っ越しのお兄さん1人より2人来てくれた方が断然はかどるし』法案として可決し実行された」

三島
「さすが日本政府!解決手段に無駄がない!」

野田
「ただ、ここで1つこの法案で問題が発生した」

三島
「え!?ここに来て」

野田
「引越しのお兄さんの人数を集めるためにはまず求人をかけないといけない。求人をかけるには掲載料も確保しないといけない。つまり即解決とまでにはいかず、ある程度は時間がかかってしまう」

三島
「その間、国民の士気はどんどん下がって行きますね・・・労働意欲もなくして経済が悪化していく・・・やっぱダメか・・・」

野田
「そう誰もが思った矢先、またもや日本政府は超画期的な打開策を打ち出す」

三島
「政府、キレッキレ!どんな打開策!?」

野田
「海外に対して『油が重いならこちらが人員を確保し、運び出す。その交換条件として『あるもの』を輸入させてくれ』と。この交渉が見事成立」

三島
「その『あるもの』とは・・?」

野田
「気になるか?」

三島
「そりゃ気になるとも。輸入するものが増えたらまた人員が必要じゃないか!」

野田
「フフフッ」

三島
「何がおかしい!だってそうだろ!?」

野田
「お前、今、目の前にあるペットボトルあるよな?持ってみ」

三島
「急に話をそらさないでくれ!」

野田
「いいから持って!」

三島
「(ペットボトルを持つ)」

野田
「どうだ?重さを感じるか?」

三島
「未開封なんで多少は」

野田
「今日は何曜日だ?」

三島
「また急にどういうことだ!?話が全く見えない!」

野田
「いいから。今日は何曜日だ?」

三島
「・・・今日は、日曜日」

野田
「持ってみ」

三島
「は?」

野田
「日曜日を持ってみ」

三島
「え?日曜日を持つって・・」

野田
「いいから両手を広げて上に持ち上げてみ!」

三島
「こうか?(両手を上にあげる)」

野田
「重さは感じるか?」

三島
「いや全然。だって曜日には物体がないですから・・・!?・・・」

野田
「やっと気付いたか」

三島
「ま、まさかオイルを運ぶための繋ぎとして輸入された『あるもの』というのが」

野田
「『暦』ってわけだ」

三島
「まさかその・・・」


野田「暦の名は・・・」
三島「暦の名は・・・」



二人「ゴールデン・ウィーク」


野田
「このゴールデン・ウィークによって日本国民はストレスから解放され、オイルショックから立ち直ることができた。やがてオイルの供給も安定し、オイルショックは終息に向かう」

三島
「そこで日本はゴールデン・ウィークをその名残りとして残したわけですね」

野田
「デメリットはないからな」

三島
「いやぁ、勉強になりました。今までGWは仕事が当たり前だったんで、起源なんて考えてもみなかったです」

野田
「意外と知らない人多いみたいだな」

三島
「他の人に教えたくなっちゃいますね」

野田
「あ、そう言えば結局今年のGWどうすんだよお前。話はもともとそこだろ?」

三島
「確かにそうでした!・・・んー今年はもう手軽にBBQとかして後はゴロゴロしようかなぁ」

野田
「BBQかぁ・・いいじゃん!時期的にもちょうどいいよ。BBQはどのスタイル?」

三島
「・・どのスタイルかというと?」

野田
「L.A式BBQとかアフリカン式、カスピ海式、ローマ、マヤ、色々あるけど・・?」

三島
「え!?ってことは、BBQももしかして輸入品?」

野田
「いや、逆」

三島
「逆?」

野田
「逆輸入」

三島
「逆輸入!?」

野田
「そう。日本で発祥して1回向こう(海外)に行ってまた戻ってきた」

三島
「BBQが!?てっきりアメリカとかの文化かと・・一体どういう経路で・・」

野田
「BBQの発祥ってことか?」

三島
「うん」

野田
「そうだなぁ・・時は戦国時代の真っ只中。1467年に応仁の乱という大きな戦が・・・」



■□■□






<終>


「文字で紡ぐ笑いのプロセス」を伝えられるよう仕組みを構築したい。リモートなどで。この笑いのプロセスを理解できれば、笑いのある「日記」「エッセイ」「コント」「戯曲」の書き方が習得できる。はず。