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外部パートナーでなく、ワンチームで。タイムレスオークションのテクノロジー活用の裏側。

バイセルの特徴のひとつが、社内のエンジニアが積極的に事業に参加し、テクノロジー活用やデータドリブン経営を推進していることです。
2020年10月にバイセルグループとなった株式会社タイムレスも、M&A直後からテクノロジー活用のプロジェクトが複数立ち上がり、特にBtoBオークションのデジタル化が大きく進みました。
タイムレスオークションのテクノロジー活用について、タイムレス目線、エンジニア目線からお話を伺いました。

写真左から、松榮さん、高野さん

高野恭兵(たかの・きょうへい)
株式会社タイムレス 営業本部 オークション事業部 部長
2017年12月に店舗事業部へ入社。買取店での査定スタッフを経て、2021年2月からオークション事業部へ異動。2023年1月より現職。

松榮健至(まつえ・たけし)
株式会社BuySell Technologies テクノロジー戦略本部 本部長
エンタメ系メガベンチャーを経て2019年1月に入社。タイムレスのM&A直後からオークション事業へのテクノロジー活用をリード。2023年1月より現職。


M&Aから3ヶ月でオンラインオークションをローンチ

――M&A発表後すぐにタイムレスオークションへのテクノロジー活用がスタートし、M&Aから約3ヶ月でオンラインオークションを新たにスタートさせました。当時の状況について、改めてお聞かせください。

高野さん:
当時はコロナ禍になって、同業他社ではオークションのオンライン化が次々と進められている状況でしたが、タイムレスオークションはまだ平場(オフライン型)のみでした。
スピーディに商品が売買できる市場を止めることの影響は、売り主・買い主の両方に大きく影響することでもあり、感染リスクに気をつけながら平場での開催を継続していた頃でした。

松榮さん:
タイムレスのM&Aに合わせて上司から「オークションをオンライン化します」という話を受けました。
僕が知っていたオンラインオークションといえばヤフオクくらいで、全くイメージが湧かなかったので、まずはBtoBオークションとは何かを理解するところからのスタートでした。平場のオークションを見に行かせて頂いたり、現常務執行役員の馬場さんと、運営側・売り主・買い主、すべての登場人物にとって魅力的なポイントがつくれるようにと、試行錯誤を重ねました。

「僕らは外部のパートナーじゃない、チームだ」

――オンラインオークションのローンチ後、どのような変化がありましたか?

高野さん:
平場だと会場のキャパシティの問題もあって、100社も集まれないのですが、オンラインだとどこからでも入札できるので、現在は1大会で200社ほどの入札があります。参加者が多いことで相場も安定してきますし、売り主・買い主両方のお客様からも嬉しい声を頂きました。オンライン化に踏み切れたことの意義は大きかったなと思っています。
現在でもライブオークションや、相場表の更新など、少しずつ新たなことに取り組み続けています。

松榮さん:
一旦リリースはできましたが、オンラインオークションを運営するのは全員が初めての経験でした。今後何から取り組んでいくべきか考える中で、タイムレスオークションの目標を「国内BtoBオークションのトッププレイヤーになる」と設定しました。
また、当時からエンジニアにもタイムレスの皆さんにも「僕らは外部のパートナーじゃない、チームだ」という姿勢を伝えてきました。仕様をまとめて外注して、完成品が納品されて、使いづらくても我慢するのではなくて、「一緒にやる」ということを意識してきました。

チームとして掲げた目標を目指すとなると、ただ開発するだけに留まる訳にはいきません。自分たちが開発したものがどこに効くのか、勝手に事業のKPIツリーをつくってみたり、単月で利益が出ているかどうか、売上や人件費まで含めてPLをまとめていったりと、まずはデータを見れるように形作っていました。
最近参加して頂けていないお客様の理由が知りたくて、オークション事業部の皆さんに「電話で尋ねてくれましたか?どうでしたか?」とか、どんどん尋ねていましたね。

――タイムレスの皆さんとしては、このかなり積極的な姿勢はどう見えていたのでしょうか?

高野さん:
テックの方から色々と提案を受けて「その通りだな」と思うばかりでした。当時はデータを深く見るという習慣がなかったので、出されたグラフの見方も怪しかったです(笑)。これだけオークションのことを考えて貰っていることは、素直に受け入れざるを得なかったですし、勉強させてもらっている意識もありました。

ただ、最初は言われたことが正だと思っていたんですが、だんだんと僕たちとしても譲れないところが出てきて、お客様の声や使い勝手など「こっちの方が大事だ」ということを伝えられるようになってきた辺りからより一緒に作ってる感が出てきたなと思います。

松榮さん:
僕たちには、この現場のリアルな感覚や温度感というのはどうしても見えないので、意見を頂けるのはありがたいですし、できる限り早く改善していきたいです。悩んでることや考えていることなど、小さな粒度でも、教えて欲しいと思っています。まだまだ足りないくらいです。

僕らは売り主・買い主の皆さんに「他のオークションよりもここがいいよね」と言ってもらえるポイントを作りたいと思っていて、その後は平場のデジタル化にも取り組みました。

高野さん:
そうですね。2022年の頭から導入開始して、本当に効率が上がりました。

タイムレスのバリュー:変化を恐れず挑戦を楽しむ

――平場のシステムについて、どのような変化があったのか教えてください。

高野さん:
それまではオークショニアの手元に商品が流れてきたら、隣のサポート役が商品番号を確認して、紙の台帳からその番号を探し、オークショニアに指値(売り主の販売希望価格)を伝えるためにPC画面上に手入力で数字を打ち込む、オークショニアはそれを確認して入札開始…というかなりアナログな手法でした。

今ではサポート役が商品の番号をシステムに入力するだけで、商品情報が一瞬で確認できる形になって、オークション1大会あたり約4,000〜5,000点のバッグを出品すると、前は9時から22時までかかっていたところが、19時に終わるようになりました。
このスピード感は業界内でもかなり早い方だと思います。お客さんに仕入れの機会を多く早く提供できることはもちろん、社内的にも残業時間の短縮などかなりいい影響がありました。

松榮さん:
開発していて尋ねるのも何ですが、新規にオンラインオークションが始まるのはまだしも、今までやってきた平場が変わることについては抵抗感などは特になかったんでしょうか?

高野さん:
もっとやりやすくなる事への楽しみや期待の方が大きかったですね。タイムレスでは『変化を恐れず挑戦を楽しむ』という言葉が創業以来浸透していることもあって、オンラインオークションも平場も、新しいことには挑戦していきたいなと思っていました。
実際にサポート役だけは入力の練習はありましたが、オークショニアとしてはかなり効率化が進んだ実感で、マイナス要素は無かったですね。もう前には戻れません(笑)。

松榮さん:
有難いですね。エンジニアからすると平場の熱量はすごく新鮮に映ります。自分たちが作ったものが、これだけの熱量の中で活かされて、人とお金が動いているということを、目で見て実感することができます。社員教育として、今も時々見学にお邪魔させていただいています。

――「国内BtoBオークションのトッププレイヤー」を目指して、今後はどのようなことに取り組んでいきたいと思っていますか?

松榮さん:
オークションの可能性は広いなと思っているので、数ある可能性から方針を決めて、アクセルを踏むだけかなと。まだ出来ていないところだと、海外からもバイヤーが参加できるようには、ぜひやりたいなと思っています。

高野さん:
現在は入札は可能でも発送などに課題があるのですが、海外展開はぜひやりたいと思っています。売り主のお客様としても、多くの入札があることは嬉しいことです。
今後も大きな目標を掲げて取り組んでいきたいですね。



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