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なぜバイセルはM&Aに注力するのか?これまでのM&Aを振り返って解説いただきました

M&Aはバイセルの重要な経営戦略のひとつです。
バイセルでは複数の企業が強みを活かして協力し合い、ひとつの企業グループとなって高い目標を目指す手段だと捉え、2020年にはタイムレス、2022年にはフォーナインをM&Aしました。

経営戦略本部長の上之園さんに、なぜバイセルはM&Aにに注力するのか、戦略や過去の事例についてお話を伺いました。

執行役員  兼 経営戦略本部長
上之園洋祐(あげのその・ようすけ)
2018年入社。事業企画室室長を経て、2020年より現職。

リユースはM&Aに適した業界

ーーバイセルでは積極的なM&Aを中期経営計画2024にも掲げていますが、なぜいまM&Aに注力するのでしょうか?

リユース業界全体は伸び続けている市場で、現在約3兆円の規模、さらに47兆円のかくれ資産が眠っていると言われています。またリユースに対する世の中の考え方もSDGsの観点からも徐々に良い方へ変化しています。
そんな中、売上高のランキングを見ても各社拮抗していて、他業界と比べると圧倒的なトップといえる存在はまだ生まれていません。

そしてリユース業界には中小企業の層が厚く、それぞれなにかに特化した強みを持っている企業が多いです。これはリユースの事業構造の特徴といえます。ひとくちにリユースといっても、着物、本、ホビー、アパレル、宝飾品など、商材ごとに必要なノウハウは異なり、それぞれの分野で地位を確立している企業があります。チャネルとしても、買取が強いところ、販売が強いところ、販路もtoC・toB・海外など内情は細分化されていて、この全方位に強い企業はありません。

このような、それぞれの強みが違う、たくさんの企業がある業界においては、M&Aは非常に強い経営オプションになってきます。

バイセルでのM&Aの基本的な方針として、吸収合併ではなく企業グループの一員として新たな企業に参画いただき、各社が強みを持った企業グループとして、業界内の圧倒的なトップを目指しています。

ーー具体的には、どういった企業をM&A対象として探していますか?

・その企業独自の強みを持っている
・その強みを自社で構築するのが難しい、時間がかかる
・我々とご一緒いただくことでその企業自体、そして我々も伸びる

こういった企業とご一緒したいと思っています。

また、企業としての条件だけではなくM&Aは人が重要だなとも思っています。一緒に業界トップを目指すというチャレンジングな動きを面白がってくれる、創業者の人となりや企業カルチャーがあることも大切です。

タイムレス、フォーナインとのM&Aの真意とは?

ーーこれまで2020年にタイムレス、2022年にフォーナインのM&Aを行なっていますが、それぞれどういった狙いがあったのでしょうか?

タイムレスとのM&Aにおいては、一番の目的はやはりBtoBオークションでした。
タイムレスオークションを通して、ブランド品やジュエリーの商材知識や相場感を得ること、またtoCで販売が難しい商材の流通先を確実なものにすることを目指していました。

またタイムレス側では百貨店を中心に店舗展開を進めていたのですが、常設店舗の出店には百貨店にふさわしい信用・信頼のある企業であることが求められます。当時は臨時の催事出店などから少しずつ信用を積み上げていっている状況でした。そんな時、バイセルの持つ東証上場という市場からの信用はタイムレスにとって魅力でした。

バイセルは商材の知見や販路が欲しい、タイムレスは百貨店に対する信用が欲しい、というところで互いにメリットのあるWin-Winな構造が作れたことでM&Aが決まりました。

フォーナインにおいては、やはり200店舗弱のFC(フランチャイズ)店舗を持っていたこと、また出店エリアが被らない地方エリアに強みを持っていたこと、そして開発中のシステムの提供先とすることが狙いでした。

早く店舗数を拡大するにはFC展開を行なうことが効果的です。実際、業界内で多くの店舗を構えている企業には、FC展開を行なっているところが多くあります。しかしFCの仕組みを0から構築するのは容易ではありません。
バイセル側としては全国へ一気にグループの店舗網を広げながら、FC店からのグループへの商材流通量が増えることを期待しました。

フォーナイン側から見たバイセルグループの魅力は、タイムレスによる遠隔の査定サポートと、グループの販路でした。
FC店は本部に遠隔で査定のサポートを依頼するのですが、本部側の人的リソース不足から、査定サポート先としてタイムレスにも依頼していた背景がありました。同じグループにジョインすることで、より深く連携した査定サポートが可能になり、FC店から本部への商材量が増加します。
また本部に集まった商材は卸販売が中心だったところから、バイセルから利益率の高いtoC販路へ出品したり、グループ内では手数料不要となるタイムレスオークションへ出品したりと、グループの販路を通してより利益を確保することが可能になります。

結果、タイムレスの店舗は倍増し、フォーナインとしてもFC店からの買取量が大きく増加しています。
どちらの企業もバイセルにとってもメリットがあり、参画企業も成長できる、Win-Winな形をつくることができました。

難易度の高さと面白さが比例するポジション

ーーM&A担当の組織体制について教えてください。

現在は私一人ですが、近日メンバーが増えて二人三脚の体制になる予定です。M&A戦略はCEO・CFO直下で動かしているので、経営層との会話は非常に多いです。
またバックオフィス分野のPMIについては経営管理部という別の部署が担当しているので、そちらとも密に連携しています。

ーーM&Aの担当としての仕事の魅力は何でしょうか?

M&Aは企業やビジネス単位で新しい戦略を入れて、企業全体を変革し推進できる手段です。オーナーが10年、20年と経営してきた会社に新しい戦略を入れて変革を起こし、大きく業績を伸ばすのですから、難易度は非常に高い仕事です。自分が社長でない限りここまで会社を変革させることは無いと思います。
冒頭にリユース各社の強みが買取から販売、商材まで多岐に渡るとお伝えしましたが、同じ強みの分野で、例えばBtoBオークションにおいて何社もM&Aすることはありません。毎回異なるシナジーを考えます。
ビジネスマンとしての枠を超えて経営スキルを磨くのにはこの上ない修行の場だと思います。

スキル面においては、M&Aに関する基礎知識は必須です。かつ、事業理解ができる方が適任だと思います。自分で事業を行なったことがあるとか、責任者をしてきたとか、事業を深くまで経験してきた方はありがたいですね。そして多くの経営者とやり取りするので、コミュニケーション力は必要です。

ーー今後、M&A担当としてどんな方に参画いただきたいですか?

マインド面においては、受け身の姿勢ではなくオーナーシップを持ってシナジーを実現したいという方だと嬉しいです。
そして何より、リユースのトップを目指すこの会社を楽しんで、一緒のチームとして動いてくれる方ですね。

しかし何度も言いますがめちゃくちゃ難易度は高いです。ボツになった企画も膨大です。それでも失敗含めてこの難しい仕事を一緒に楽しんでいただける方とご一緒したいです。


バイセルでは、今後もリユース領域での競争力強化をベースとしながら、積極的なM&A戦略に取り組んでいきます!


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