「ドライバーの生の声どう世間に訴えるか」   近畿地区物流政策懇談会

運輸局、トラ協、労組が意見交換

 近畿地区物流政策懇談会が12月19日、大阪市内のホテルで開催され、近畿運輸局、近畿2府4県のトラック協会、労働組合がトラック運送業界における諸問題について意見交換を行った。 近畿トラック協会の中川才助会長はあいさつで、「我々運送業界にとって最重要課題は2024年問題であり、これについては国民の関心も高く、流行語大賞のベスト30にノミネートされた。2024年問題を始めとする諸課題の解決には、経営者だけでなく、運輸行政、労働組合の力添えがあって始めて成り立つ。三位一体で総力を挙げ問題解決に取り組んでいく必要がある」と述べた。
 労働組合を代表して近畿交運労協の西村誠事務局長は、「物流が国民生活と経済活動を支える不可欠な社会インフラであるという共通認識が国民全体に共有されつつあると言える。この2024年問題をチャンスととらえたい。この問題を解くカギはドライバーの働き方改革と賃上げの実現であり、その原資となる運賃・料金を適正に収受すること。そのために国土交通省は7月に162名体制でトラックGメンを創設し、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業、元請け事業者に対し監視を強化するとしているが、全国に事業者は6万2000社ある。その実効性が確保されるか注視していかなければならない」と述べた。
 近畿交運労協トラック部会の堂原浩事務局長からは、運輸労連が2022年5月から2023年8月にかけてトラックドライバーに行ったWEBアンケートについて報告が行われた。
 WEBアンケートの自由記入欄には、218の声が寄せられたが、「トラックが停められる場所を増やして欲しい」「給料を改善して欲しい」「残業時間を減らせば毎月の生活費が厳しくなる」といった駐車スペースを求める声、賃金引き上げを求める声、2024年問題に関する声が多く見られた。
 意見交換の場では、
建交労大阪トラック部会の芦崎光夫事務局長が、高速道路の速度規制の上限の引き上げについて述べ、「落としどころとして考えられているのが、スピードリミッターをそのままにして、上限を10キロ上げて90キロにする案。速度を10キロ上げることで安全面が脅かされるのが懸念される。さらにトラックの燃費も悪くなり、ドライバーの精神的な負担も考えると、非常に考え物。反対の立場だ」と訴えた。
 兵庫県トラック協会の木南一志副会長は、「労働組合がとられたドライバーアンケートの生の声をどういう形で世間に広めるかということが、大事な課題と感じている。今の便利な世の中、トラックドライバーが夜中に仕事をしていることは知られてない。ライフラインを支える影の存在であるドライバーの本音を、どう訴えれば、世間に理解してもらえるかということを、行政も経営側も労働組合側も一体になって、考えていくことが重要なこと」と述べた。

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