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600字で綴る③バス停

近すぎず遠すぎず、そんな間隔を保つのは難しい。人間関係ではない、バス停の話だ。国土交通省によると、現在、東京都内のバス停の間隔はおおよそ350m-400m。各バス会社はバス停の間隔200m-300mを目標に整備を進めているという。理由は、人間がストレスなく歩ける距離の限界が200mだからという。面白い。地方ではどうだろうか?場所によっては、バス停の間隔が1000m以上開いている地域もあるという。バスを頼りにする高齢者にとっては厳しい現実である。バスの本数は減少し、運行本数は一時間に一本、客の数もまばらである。地方の多くのバス会社が赤字、運転手不足に苦しんでいるという。車を運転しようと思っても、足腰が弱っていく高齢者にとっては簡単なことではない。昨今の高齢者の運転事故により、高齢者の運転に対する風当たりも強い。地方の衰退に拍車をかけるように、コロナウイルスが蔓延し、高齢者が外出するリスクは高まる。頼みの綱インターネットはどうか?デバイスを使い慣れていない高齢者が使いこなすのは至難の業だ。「どこでも」繋がれるインターネットは、「誰でも」つながるわけではない。高齢者にとっては八方塞がりのように思える現代。バス停の間隔と比例して人の距離も疎遠になっていはいないか。来る新時代は「包摂」か、それとも「排除」か。前者を叶える未来を望みたい。

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