"ていねい"な野菜選手権
かぶが安かったので買ってきた。あまり普段買わない野菜だったので、調理法をググるところから晩ごはん作りが始まったのだが、そのときふと思った。
「かぶを調理するって"ていねいな暮らし"っぽくないか?」
かぶって、ていねいだ。何故か分からないが、そんなイメージがある。天然素材の、丈が長ーいワンピースを着た30代後半女性が、かぶのシチューを作ってそうな偏見がすごい。
でもきっと、丈の長ーいワンピースを着たていねいな人は、ルゥを使わずにこれを作っちゃうんだろうな。
似たような野菜でも、大根は全然ていねいじゃないのに。不思議だ。
どういう野菜がていねいなんだろう?例えば、意識高いカフェごはんに必ずと言っていいほど使われているアボカドは、オシャレだけどていねいではない。
ちょっと珍しい野菜がていねいかと言うと、そういうわけでもない。例えばロマネスコはあんまりていねいじゃない。
いらすとやにはロマネスコのイラストもある。
そもそも、かぶはそんなに珍しくない。
じゃあ、かぶみたいな形の野菜はていねいなのか?
ラディッシュは、あんまりていねいじゃない。彩りで誤魔化している感じがする。
でも、ビーツはけっこうていねいだ。長ーいワンピースを着た女性がボルシチとか作ってそうだし、「ビーツは食べる輸血なの〜」とか言ってそう。あと家庭菜園で育ててそう。でもボルシチ以外の食べ方を知らない。しかも味もよくわからない。わたしが意識高い有機野菜レストランでビーツを食べた時は、土の味しかしなかった。
ちなみにビーツはヒユ科、かぶはアブラナ科。形は似ているがけっこう別物である。ビーツは、遺伝子レベルではかぶよりもほうれん草に近いのだ。話が脱線してしまった!
ていねいの条件はよくわからない。とりあえず、かぶの特徴から攻めてみることにする。
かぶは味が薄い。味が薄い野菜はていねいなのか?
冬瓜はていねいだ。間違いなくていねい。かぶよりていねいかもしれない。とってもていねいだ。絶対味がうっっっすいスープにされてる。スープは透明だ。本当に味が薄くて、あまりにていねいすぎるのだ。
芽キャベツもていねい認定していいはず。何なら、かぶと一緒にオリーブオイルと岩塩ふりかけてグリルで焼いて「焼きサラダ♪」にされてそう。ていねいすぎるだろ。素材の味とかいうけど、そもそも素材の味がうっっっすいんだよな。
でも、同じ味の薄さでも、もやしは全然ていねいじゃない。
ていねいと真逆の概念だ。色の薄さはかぶと似ているのにていねいじゃない。あまりにヒョロヒョロだからかな。まあ、そもそも安いし。安すぎると少しばかりていねいから外れてしまうのかもしれない。
じゃあ、色とか味が薄くても物理的にしっかりした強度の野菜はていねいなのか?
白アスパラ!割とていねいだ。クタクタに煮られてそう。もしくはバターでソテーされて付け合わせにされてそう。普段からちゃんと付け合わせのある食事をしていること自体がていねいだからな。これはていねい野菜。
ゆりね!これは満場一致でていねいだろう。圧倒的にていねい。意外と調理は簡単なのだが、どうやって食べていいかよくわからない感じがていねいだ。長ーいワンピースを着た女性がおせちを手作りするときにゆりねを入れていそう。ていねいなおせちだ。絶対化学調味料不使用だ。
自然薯!そこはかとなくていねい。これを自宅でスリスリして食べる時点で、相当ていねい。不思議と、長芋には出せないていねいさがある。
かぶってよく見かける割にはどうやって食べていいかわからない感がある。調理法が謎な野菜はていねいなのかもしれない。
たけのこ!煮物とかでよく食べるけど、調理してと言われると意外とむずかしい。水煮で買ってくるならともかく、生のたけのこを手に入れてササっと処理できる人はあんまりいないのでは?これを一から調理してる人はけっこうていねいな部類だと思う。
海老芋…ていねいかもしれない。でもよくわからない。長ーいワンピースを着た女性がどうやって海老芋を食べているのか想像もつかない。
あ、でも何となく季節感があるものはていねいかもしれない。「食卓から季節を感じるていねいな暮らし」とか言ってそうだもん。長ーいワンピース着て。
ほら、かぶも「冬の野菜」っていうイメージ強いし。
だから、菜の花はていねいだ。間違いなくていねい。「基本のおひたし」も作るけど、少し奇をてらって洋風にも調理してそう。おひたしは絶対からしが効いてるな。でも「サラダにしても美味しいの。ほろ苦いのが春の味」とか言いながら生でも食べてそう。菜の花が生で食べられるかは知りません。
他にも、たまねぎはそんなにていねいじゃないのに、新たまねぎはていねいだったりする。
色の薄さ、季節感ともにバッチリだ。
夏野菜♪とか言って食べるズッキーニも、味は薄めで初心者にはどうやって食べていいか分からない。そのへんが相まって、外見こそ濃いがていねいな部類に入ってくる。
しかし、同じ夏野菜でもパプリカやゴーヤは違う。
ていねいと呼ぶには色が濃すぎるし、何より味がつよすぎる。菜の花のほろ苦さは滋味深い範囲に留まれるが、ゴーヤは「ほろ」なんてもんじゃない苦味が容赦なく襲う。
ここまで考えてみると、ていねいな野菜の条件が何となく見えてきた。
1. 味やら色が薄い(でも上手に調理すると甘い)
2. 食べ方がよくわからない(素材の味を楽しめ)
3. 季節感がある(うまいかは別として滋味深い)
このうち2つくらいを満たせば、ていねい感が出る。
もはや、おいしいのかおいしくないのかよくわからん味であればあるほどていねいだ。日本の伝統っぽい野菜とか、山菜もていねいかもしれない。
あとはスーパーじゃなくて「生産者の顔が見える」系の直売所で買えば、ていねいじゃない野菜もていねい感を付与できる。
こういうやつ。
こういうところで買うのもていねい。
無農薬・有機栽培なんかも"ていねい"を付加するにはもってこい。究極は家庭菜園で育てたとれたて野菜!だろうか。そうなると野菜の品種関係なく、とてもていねいになれる。わたしも過去にベランダ菜園でバジルを育てようとしたことがあったが、見事にダニにやられて死んでしまった。ていねいさは簡単には手に入らない。
ちなみに今日の晩ごはんは「新玉ねぎとかぶとコンビーフをコンソメで煮たやつ」でした。季節感・味の薄さ共にバッチリ!ていねい!
ていねいは野菜から
というわけで、みなさんもまずは野菜から気軽に"ていねい"を取り入れてみてはいかがでしょうか?
ハバナイス"ていねいな暮らし"!!
おわり
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