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24時間暖房が省エネなのか検証してみる

前回24時間暖房について書きました。

24時間暖房は無駄、贅沢という印象がありますが、暖房を止めるよりも省エネになることがあります。
では、本当に24時間暖房が省エネになるのか、どのような条件なら省エネになるのかを、簡単なシミュレーションで確認してみましょう。
なお、このシミュレーションでは住宅の断熱性能を熱損失係数(Q値)で考えます。
これは省エネルギー基準(省エネ基準)外皮平均熱貫流率(UA値)では換気からの熱損失を考慮できないためです。

以下のグラフは熱損失係数が1.6、室温が20度、外気温が0度の場合のシミュレーションです。
赤いグラフが24時間暖房、青いグラフが間欠暖房(夜間暖房を止める)で、線グラフが室温、棒グラフが暖房器の出力です。

間欠暖房は夜寝るときに暖房を6時間止めて、朝タイマーで暖房を点けることを想定しています。
暖房を止めると室温がだんだん下がり、6時間後に約16.6度になります。
そこからタイマーで暖房を点けて部屋を暖めます。
室温が下がっていますので最大出力で暖房し、徐々に室温が上がり室温が20度に戻ります。

24時間暖房の場合は、室温20度をキープします。
温度をキープするだけなので、少ない出力で済みます。
この条件で間欠暖房と24時間暖房のエネルギー使用量を比較するとほぼ同じになります。
つまり、間欠暖房も24時間暖房もエネルギー消費量は変わらないのです。

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実質的には夜間20度をキープする必要はないので、24時間暖房時に夜間室温は設定温度18度に設定し、6時間後から出力を上げて20度に戻すようにします。
その他の条件は上と同じです。
この場合、間欠暖房の消費エネルギーを1とすると、24時間暖房は0.88になります。
つまり、暖房を止めるよりも、24時間暖房の方が省エネになります。

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間欠暖房の方が省エネになる場合もあります。
それは住宅の断熱性能が低い場合です。
以下は上記と同じ条件で、熱損失係数が2.7のときのシミュレーションです
この場合、室温を18度にキープするのにも多くのエネルギーが必要になるため、間欠暖房を1とすると24時間暖房は1.4となり、間欠暖房の方が省エネになります。
(ただし、間欠暖房ではなかなか室温は戻りません)

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せっかくなのでもう一つシミュレーションしてみます。
超高気密高断熱住宅の場合のシミュレーションです。
熱損失係数が1の住宅の場合、非常に断熱性能が高いので外気温が0度で6時間経っても18度近い温度をキープできます。
この位の断熱性能があれば、夜間は暖房を止めても朝に暖房つければすぐに室内は暖まりますので、夜暖房を止めても問題ないと思われます。

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なお、これらのシミュレーションはある条件でのシミュレーションです。
また、見てわかりやすいように条件をシンプルにしてシミュレーションしています。
断熱性能や気密性能、外気温の変化や風など、条件によりシミュレーション結果は変わってきます。
あらかじめご了承ください。

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