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2022.4.11 バストリオ日記

晴れ。2階に散らばってた文鳥たちの餌は足の裏についたりしてあちこちに落ちてる。拾わないので増えてく。餌は全て空だ、全てでなくたまに食べてない餌も散らばってて荒く食べた文鳥の嘴に弾かれて散らばって落ちて足の裏につく。光が部屋に入ってくる布団を干す掃除する。餌がなくなる。吸い込まれて空の餌は消えた。とらが来た。とらは猫だけどにゃーと鳴くのを聞いたことない。
JALだかANAだかPEACHだか飛行機の音が上から響いてくるというか耳に届く。航路が変わったとかチラシがポストに放られてた。上空を飛んでく。航空機か戦闘機かの違いは音だ。どちらにしてもうるさい。
とらは窓枠を乗り越えて部屋に入ってきてた。びっくりした。音もなく現れた。飛行機にかき消されてただけだと思うけど静かに入ってきてた。文鳥を見つめてる。二匹いる。文鳥はほわとさくと呼んでいた。ほわの方が南向きの窓に、さくの方は北向きの窓にカゴが置かれていた。ほわの方からとらはやってきた。南からしか2階にあがってくるのは難しい。屋根は熱くなってきてた。25℃以上になってた。布団はよく乾いた。湿ってたわけじゃないけど熱を溜めた布団は寝ると気持ちがいい。とらがほわを見てた。
寝転がる。畳の上が気持ちいいのかわからないが寝転がってほわを見てた。俺も寝転がった。同じ形になったような気がしてとらと近づいた。
とらはなんとも思ってない、なんて決めつけるべきじゃない。
とらもほわもさくも考えていた。
熱帯植物も考えて上へと空へと太陽へと伸びてった。タコノキは枝を土へと伸ばして倒れんように支えてた。沖縄でも小笠原諸島でも。
空と地面の間を飛行機が飛んだ。ミサイルを落とさない爆弾は落とさない墜落もしない。
地震が多くなってるな、と外から声が聞こえた。とらは寝てた。ほわは落ち着かなかった。地震やだね、と外から聞こえた。銭湯の店主のじいさんの声だ。声も音も一向に止むことがない。静かなもんは個体の中にあった。とらはもう少しで外へと戻っていく。野良猫だ。
家が揺れてる気がした、飛行機の音だった。音は波で伝わったり伝わらなかったりしてそんな音みたいなもんだけが自分のことをちゃんと揺らした。
地震でも飛行機でもとらでもほわでもない、発される音の波に揺れたまま冷めたコーヒーを飲んだ。ぬるかった。とらはもういない。腹へった。

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