ケーススタディから学ぶNFTの取り扱い④
んにちは。事業計画研究所です。
本日も「NFTの教科書」天羽健介/増田雅史(朝日新聞出版)の所感をレポートしていきます。
前回は、「アートNFTに関するケーススタディ③」というテーマについて話してきました。
今回も、「アートNFTに関するケーススタディ」ということで、第4弾になります。
ケース4.NFTアートへのアクセスの永続性
まずは、状況説明です。
購入者Aは、プラットフォームXでデジタルアート作品のアートNFTを購入
Xのもとで発行されたアートNFTの保有者は、Xが用意するシステムを通じて、対応するNFTアートにアクセス可能
あるとき、Xの事業が終了してしまい、アート作品へのアクセスができなくなってしまった
図にしてみると、こんな感じになります。
現在のNFTアートの多くは、それを取り扱うNFTプラットフォームの存在を前提としています。
とりわけ、NFT保有者に限ってアート作品にアクセス可能な仕組みを提供しようとする場合、そのアクセスの仕組みにはプラットフォーム自身の関与が避けられず、プラットフォームが将来にわたり、存続するか否かに大きな影響を受けることになります。
そのアクセスの仕組みが将来的に使用できない状況になった場合、たとえNFT自体がイーサリアム・ブロックチェーン上で半永続的に取引できるとしても、本質的な価値を失う可能性があります。
また、アクセス方法が旧式化した結果として、アクセス手段を失う可能性も考えられます。
たとえば、ビットマップ形式の画像ファイルであれば、きわめて単純なファイル形式であるため、特定のプラットフォームに依存せずとも、それをデジタルアート作品として再現できることが期待できます。
しかし、特定のVRゴーグルを着用して閲覧するようなVR作品の場合、それに対応する製品の生産が終了してから長い時間がたつと、作品を閲覧するためのツールが世の中から失われてしまう可能性もあります。
これらの点は、伝統的なファインアートにはない、デジタルアート特有の問題点と言えるでしょう。
将来にわたり、利用可能性が高いと思われるファイルフォーマットを利用する、永続性の高いストレージサービスを利用するといった対策が考えられますが、コンテンツの種類によってはそのような対応も困難だと思われ、技術的な解決が待たれるところです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は法律とはあまり関係ありませんでしたが、将来的に予見される問題点について考えました。
ビデオテープからDVDになり、Blu-rayになっていった動画の保存媒体の変化のように、デジタルでもファイルフォーマットの変化というものは起きていくことが予想できます。
短期的な視点だけでなく、長期的な視点も取り入れたうえでプラットフォームの開発・運用をする必要があることがわかりますね。
次回でケーススタディを取り扱うのは最後になります。
次回作をお待ちください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?