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NFTの分類はなに?暗号資産編

こんにちは。事業計画研究所です。

本日も「NFTの教科書」天羽健介/増田雅史(朝日新聞出版)の所感をレポートしていきます。

前回は、「NFTの法的な分類」というテーマについて話してきました。
今回からこのテーマについてより深く話していきます。

本記事で取り上げるのは暗号資産になります。

前回のフローチャートから見ると、暗号資産は最も下部に位置していました。

暗号資産とは

まずは、暗号資産とは?という点について、簡単に話していきます。

暗号資産とは、満たす要件によって1号暗号資産と2号暗号資産に区別されます。

1号暗号資産

1号暗号資産が満たす要件は以下の3つの項目です

  • 物品・役務提供の代価の弁済として不特定の者に対して使用でき、かつ不特定の者との間で購入・売却することができる

  • 電子的に記録された財産的仮であって、電子情報処理組織を用いて移転することができる

  • 本邦通貨、外国通貨及び通貨建資産に該当しない

具体的にイメージされるのは、BitcoinやEtherなどのトークンになります。

2号暗号資産

1号暗号資産に対して、2号暗号資産の要件は一つめの項目が異なっています。

  • 1号暗号資産と相互に交換できる

  • 電子的に記録された財産的仮であって、電子情報処理組織を用いて移転することができる

  • 本邦通貨、外国通貨及び通貨建資産に該当しない

1号暗号資産との一番の違いは、決算手段として活用できるか、といったところでしょうか。

NFTでは主に、「2号暗号資産に該当するのか?」といった議論が行われています。

NFTと暗号資産該当性

それでは、NFTは暗号資産に該当するのでしょうか?

まず、NFTそれ自体に決算手段性がないと判断できる場合には、1号暗号資産には該当しないと考えられます。

次に、NFTは不特定の者との間でBitcoinやEtherなどの1号暗号資産と相互に交換可能であることから、2号暗号資産の定義に該当するようにも思えます。

しかしながら、資金決済法は決済機能を有する支払手段を規制することが前提とされています。

この点に関して、金融庁「事務ガイドライン」によれば、2号暗号資産該当性の判断要素として以下の3点があげられています。

  • ブロックチェーン等のネットワークを通じて不特定の者との間で移転可能な仕組みを有しているか

  • 発行者による制限なく、1号暗号資産との交換を行うことができるか

  • 1号暗号資産を用いて購入または売却できる商品・権利等にとどまらず、当該暗号資産と同等の経済的機能を有するか

また、ほかにも金融庁の見解としては

  • ブロックチェーンに記録されたトレーディングカードやゲーム内アイテム等については、1号暗号資産と相互に交換できる場合であっても、基本的には1号暗号資産のような決済手段などの経済的機能を有していないと考えられるため、2号暗号資産には該当しない

  • NFTの仮想通貨該当性については実態に即して個別具体的に判断されるべき

というものも追加で示されています。

これらの解釈からすると、NFTは個性があり代替性のないトークンであるという性質を有しており、Bitcoinのような支払手段としての経済的機能を有さないことから、2号暗号資産には該当しないことが一般的であると考えられます。

これに対して、NFTであっても、ほかのNFTとその性質が極めて類似していおり、社会通念上、ほかと区別されないものが多数存在するような場合で、経済的機能を有する場合には、暗号資産に該当する可能性があると考えられます。

まとめ

いかがでしたか?

NFTというジャンルで考えられるのではなく、それぞれのNFTの持つ性質によって、分類が変わるということでより複雑になっているように感じます。

暗号資産にもジャンルがあり、その線引きについてもなかなか複雑で、明確な分類がいまだできていないようにも思います。

次回は前払式支払手段の法的取扱について話していきます。

次回作をお待ちください!

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