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ままかり #24 辞書の生き物

 「ままかり」は、岡山など瀬戸内海で取れる小型の魚で、関東では「さっぱ」と呼ばれています。この魚の酢漬けがあまりにもおいしく、まま(飯)がなくなり、隣の家からまま(飯)をかり(借り)てまで食べたことに由来します。
 ままかりはニシン科の魚で、岡山では酢漬けにした「ままかり」というそのままの名前の郷土料理として有名です。「まま」は「まんま」、「おまんま」と同じで「ごはん」の意味です。ままかりは、酢漬け以外にも、唐揚げ、南蛮漬けなどに料理して食べられています。

佛跳牆:ファッチューチョン

 中華料理のファッチューチョン(佛跳牆)はご存知でしょうか? ファッチューチョンは中国福建省の高級料理のひとつで、フカヒレやアワビなどの高級乾物をスープと共に壺に入れて封をし、壺のまま何時間も蒸して作る手間がかかる料理です。
 高級食材から出る旨みがスープに溶け出し、その美味しさとあまりの豊かな香りから、仏門で修行中のお坊さんも香りに誘われて垣根を飛び越えてきたとのエピソードが由来となってファッチューチョンの名前が付いたとされています。
 ファッチューチョンの漢字の意味はそれぞれ次の通りです。
佛=お坊さん
跳=跳ねる、飛んでくる
牆=垣根

 ままかりは自分がお隣にご飯を借りにでかけますが、ファッチューチョンはお隣さんがやってくるという逆の関係です。おいしい料理のパワーが言葉になって残っているのは興味深いですね。

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