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正鵠を射る/得る せいこくをいる #100 辞書の生き物

正鵠を射る/得る

 物事の要点や急所を正しく押さえることをことを示す慣用句です。
的を射る/得る:まとをいる/える」とも同じ意味で使われます。

 中国語では、「」も「」も(まと)の意味がありますが、「鵠」は白鳥(ハクチョウ)の意味も持っており、的の中心に白鳥が描かれていました。矢が的の中心に当たると白鳥を射抜くことになり、中心を外さないことから「正鵠を失わず」と表現されていました。

 この表現が日本に入ってきた際、「失う」を嫌って「得る」に変えられ、「正鵠を得る」になったそうです。
 「なしの実」を「ありの実」と変えた「忌み言葉」の一例になると思います。

 その後、的は「得る」ものではなく「射る」ものであるとのことで、「正鵠を射る」が使われるようになりました。
 言葉の成り立ちから考えると「正鵠を得る」、「的を得る」も間違いではないとされており、辞書にも両方掲載されています。


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