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消費者契約法の要点と企業が行うべき対策

みなさんは消費者契約法をどこまで知っているでしょうか。
私たちは普段の生活の中で様々な「契約」を結んでいます。
例えば商品を買ったり、有料サービスを受けるなど消費者が事業者と交わす契約を「消費者契約」と呼んでいます。
そして消費者と事業者の間には入手できる情報量に差があるため、
消費者を保護する法律として「消費者契約法」があるのです。
今回は「消費者契約法」を消費者にはもちろん、事業者として知っておくべきことも紹介します。


消費者は消費者契約法で守られている


消費者契約法では、事業者が十分に説明をせずに商品を購入させたり契約をした場合、消費者は契約を取りやめることができるのです。
また、大切なことをあえて分かりにくく伝えたり、混乱させるような行為も禁止されています。
さらに、消費者が一方的に不利な契約を結ばされている場合、その不公平な部分は全部または一部が無効になります。
注意!:契約の取消権は期間が限られています。
具体的には、商品やサービスを購入してから1年以上経過するか、契約を結んでから5年以上経つと契約をやめる権利はなくなってしまいます。

消費者が取り消しをできる場合の具体例


(1) 不実告知:うそを言われた
例:実際にはそうではないのに、「タイヤがすり減って危険で交換が必要」と嘘をついて新しいタイヤを販売。

(2) 断定的判断の提供:必ず値上がりすると言われた等
例:将来値上がる確証のない金融商品を「必ず値上がりする」と説明して販売。

(3) 不利益事実の不告知:不利になることを言われなかった
例:隣に建設予定のマンションが眺望や日照を妨げることを知りながら「眺望や日照が良好」と説明してマンションを販売。

(4) 不退去:帰るように頼んでも帰ってくれない
例:消費者の自宅で何度も帰ってほしいと告げているのに相手が帰らない。

(5) 退去妨害:帰りたいのに帰してもらえない
例:販売業者の店で、何度も帰りたいと伝えているのに勧誘が続き、帰らせてもらえない。

(6) 退去困難な場所へ同行されての勧誘:アクセスが困難な場所に連れて行き勧誘する(令和5年6月1日施行)
例:旅行に誘われて山奥の別荘に行き、そこで商品を販売。

(7) 威迫する言動を交えて相談の連絡を妨害:消費者が第三者に相談したいと伝えると、威嚇的な態度や行動で相談を妨害する(令和5年6月1日施行)
例:ウォーターサーバーの購入について親に相談しようとすると、相談を妨害して勧誘を続ける。

(8) 不安をあおる告知:消費者の不安を利用して契約が必要だと説明
例:就職活動中の学生の不安を知りつつ「このままでは成功できない、この就職セミナーが必要だ」と勧誘。

(9) 好意の感情の不当な利用:消費者の好意を利用して契約を迫る
例:SNSで知り合った相手と関係が深まった後、宝石展示場に誘われて「購入しないと関係を続けられない」と迫られる。

(10)判断力の低下の不当な利用:高齢者等などの判断能力の低下を利用して契約を迫る
例:加齢により判断力が低下した消費者に対し、「投資用マンションを購入しなければ収入がなくなり困る」と説明して勧誘する。

(11)霊感等による知見を用いた告知:霊感など特殊な能力を持っていると偽って、重大な不利益を回避するために契約が必要だと説明
例:「私は未来が見える。あなたには悪霊がついておりこの商品を購入しなければ悪いことが起きる」と言って契約を迫る。

(12)契約締結前に債務の内容を実施等:契約前に販売業者が契約の一部を実施する、商品の状態を変更して元に戻しにくくする
例:別の都市から来た業者が「断るなら交通費を支払え」と言って契約を迫る。

(13)過量契約:通常の量をはるかに超える契約を勧誘
例:一人暮らしで着物をほとんど着ない高齢者に対して、過剰に多くの着物を販売しようとする。

参照サイト:消費者庁


消費者契約法の改正事項と注意点


消費者契約法は、以下の改正事項が追加され、令和5年6月1日から施行されることとなりました。企業が取るべき注意点について説明していきます。

  1. 契約の取消権を追加:勧誘することを告げずに、退去困難な場所へ同行し勧誘威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害してはならない。契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にすることは避ける。

  2. 解約料の説明の努力義務:消費者に対して解約料の算定根拠の概要を伝える。また、適格消費団体に対し算定根拠を提供する。ただし、営業秘密の情報は除外される。

  3. 免責の範囲が不明確な条項の無効:賠償請求を困難にする不明確な一部免責条項(軽過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないもの)は無効となるので明瞭に記載する。

  4. 事業者の努力義務の拡充:契約締結時だけでなく、解除時にも事業者の努力義務を導入する。定型約款の表示請求権に関する情報提供や、適格消費者団体の要請への対応を行う。


事業者に求められる対応について


消費者契約法を守るため、次のような対策を実施し、消費者との信頼関係を育み、お互いにとってより良いビジネス環境を作ることが大切です。

  1. 消費者保護法に関する従業員への徹底的な指導
    企業が従業員に対して、消費者保護法に関する正確な知識と順守の重要性を徹底的に始動する必要があります。
    適切なトレーニングや教育を実施し、従業員が法律を遵守し消費者の権利を尊重するように心がけることが重要です。

  2. 消費者の要求の合理性を見極める
    消費者の要求やクレームに対して、その合理性を見極めることが必要です。
    真摯に対応し、適切な調査や対応策を講じることで、消費者の信頼を確保することができます。
    要求の根拠や合理性を慎重に判断し、公正かつ適切な解決策を提供する必要があります。

  3. 顧問弁護士に相談するのがおすすめ
    企業が消費者保護法に関する問題に直面した場合、顧問弁護士に相談することをおすすめします。
    専門家の意見を得ることで、法的な観点からの適切な対策を講じることができます。


さらに具体的な規定やポイントについては、消費者庁のWebサイトを通じて確認することをおすすめします。

消費者庁ウェブサイト