見出し画像

『人生のサバイバル力 17歳の特別教室』 〜だけれども、私たちはあきらめたらいけない〜

『人生のサバイバル力 17歳の特別教室』を読了。

ジャック・アタリに続いて、日本の知の巨人・佐藤優。

久米島は「久米島高校魅力化プロジェクト」という教育改革を行なっている。
島の教育は島全体で応援していく、という考え方を持つ久米島は、教育にとても熱心な島なのだそうだ。

その中に「離島留学制度」というものがあって、全国から集まった生徒と、島内の生徒が一緒に学んでいる。
本書は、久米島出身の母を持つ佐藤さんが、そんな久米島高校の生徒に行った2日間の特別授業をまとめたもの。

最初の方で、何のために勉強するのか、そして受験のための勉強だけではなぜダメなのかを佐藤さんは話す。

外交官の研修係を担当していた頃、モスクワの高等経済大学に入学させた2人が、成績不良で一年で退学になってしまった。外交官試験に合格して、その中でも優秀な人が回されるロシア語の2人だったのに。
でも、それには理由があった。受験勉強でトップクラスだった2人は、受験に関係がなかった数学が全くついて行けなかったそうだ。
受験のことだけ考えれば、特化して勉強するのは確かに効率はいい。でも、そうしてしまったことで道が先細りになってしまうことがある。だから、いろんな知識を身につけることは、これからの君たちの人生にとって大切なことなのだと。

とにかくどの部分もなるほどなと思わされて、私の固まった頭がほぐされるようだった。
そして、最後の言葉。

「みんなはこれから大学に入ったり、社会に出ていくわけだけど、覚えておいてほしいのは、世の中には理想的な状態というのはなかなか来ない。だけれども、あきらめたらいけない、ということです。」
「大切なのは、今の社会の現実を見つめたうえで、夢をきちんと持つということ。そうすれば、それは叶う。」

今、予想もしていなかった困難に直面している私たち。
だけれども、長い長い歴史の中で幾度となく困難に見舞われた私たちは、その都度立ち上がってきた。私たちには、そういう力がある。

いろんな価値観に揺らいでしまう今だからこそ、自分の心を落ち着かせることもできたし、17歳だけじゃなくて、多くの人が読むといいんじゃないかなと思った一冊。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?