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【要約・書評】読書を仕事につなげる技術/山口周

めちゃくちゃ読書家なのに、仕事のパフォーマンスはどこかパッとしない人っていますよね。
自分も本を読んでいるときは「なるほど!そうなのか!」と世紀の大発見をしたかのような高揚感を持っても
翌日以降も今まで通りと変わらぬ仕事をしていて、「本読んでも仕事のやり方なにも変わってないな」って思うことはしばしばあります。

そういった時「読書って無意味なんじゃないか?」とか思ってしまうかもしれませんが
「それは違うよ、読書が悪いんじゃなくて使い方が悪いんだよ」と教えてくれるのが本書「読書を仕事につなげる技術」です。


【解決する課題】読書を仕事につなげる技術

書籍のインプットを仕事というアウトプットにつなげるためのコツが紹介されている本で、
「読書しているのに成果に繋げられてない」という人は必読と言って良いと思います。


著者はもともと、大学でもビジネスからは遠いキャリアでしたが、30代から10年以上コンサル業界で仕事をしてこれたのは読書のおかげだと語られており、
読書という独学で成果をあげて来たという経歴の持ち主です。

【著者情報】

山口 周(やまぐち しゅう)

ヘイコンサルティンググループディレクター。
1970年、東京都生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒業。同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、A.T.カーニー等を経て2011年より組織開発を専門とするヘイグループに参画。
専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発、新しい働き方研究。

山口 周. 外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術


そんな書籍の内容を一部引用して紹介していきます。


【要約】読書を仕事につなげる技術

  • 【問い】読書を仕事のパフォーマンスにつなげるには、なにがポイントになるのか?

  • 【答え】大事なのは読んだ後である。


【根拠】読書で本を読むというのはシェフが食材を仕入れるのに似ている。

  • シェフは仕入れた食材をそのまま出すことはしない。

  • 冷蔵庫にしまって客の要望に応じて、食材を組み合わせ、素晴らしい料理を振舞う。

  • ビジネスマンも同じくこのように仕入れた情報を組み合わせることでバリューを出している。

  • せっかく読書で情報を仕入れてもそのあとに上手く使うところまで行かないから、仕事につながっていない。

  • つまり、読書をしているのに仕事のパフォーマンスにつなげられない人は、「仕入れの量」ではなくて、「仕入れた後」に問題がある。

  • だから読書をした後が大事。

  • このような場合「情報の整理・貯蔵の仕方」、「情報の組み合わせ方」に改善を入れなくてはいない。

【要点】本は「2割だけ」読めばいい

パレートの法則は、多くの本についても当てはまるように思います。つまり、その本から得られる効果の80%は、全体の20%によってもたらされる、ということです。したがって、効率的に読書からインプットを得ようと思うのであれば、いかにしてこの20%の「ミソ」となる部分を見抜くかというのが大きなカギになってきます。

山口 周. 外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

ビジネス書で本当に大切なことは、その本の全体の2割程度。

つまり本の内容を効率的に把握するにはこの全体の2割の部分をいかに効率よく把握するのか?というのが重要になってきます。
それをきちんと把握するためには、全てを読まないといけないわけですが
それには全体を広く、薄く、斜め読みをすることが必要です。

  • 具体的方法

    • 段落冒頭でフィーリングに合わなければ飛ばす

    • 目次でざっくり把握して読み進める場所を選定する

重要ではなさそうであればどんどん飛ばす。これだけでもかなり省略することができます。
エッセンスだけを読んで、あとは捨てることで全体の効率化ができます。

これは一見突拍子もないような意見のように見えますが、読書術系の他の本でも似たようなことが書かれています。つまり、本を使いこなしている人というのは、共通してこのような方法を会得している、かなり信頼できる方法だと言えます。
大きくリソースを使って100点を取るのではなく、少ないリソースで効率良く80点を取る方法だと感じました。

【要点】読書は「株式投資」と考える

読書というのは本来的に消費行為ではなく投資行為です。この投資の原資になっているのは本に払った代金と自分の時間であり、リターンは知識や感動などの非経済的な報酬、あるいは仕事上の評価や昇進・昇格といった経済的な報酬ということになります。

~ 一部省略 ~

読書という行為は、自分の時間といくばくかのお金を投資することで人生における豊かさを回収するという投資行為です。カギになるのは、投入する時間と得られる豊かさのバランスです。これ以上時間を投入しても、追加で得られる豊かさは増えないと判断された時点で、その本と付き合うのは終わりにしましょう。

山口 周. 外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

この読み方をしていると、この本の1番重要な一文を見逃してしまう恐れがあるのでは?という反論をもらいそうですが、それを得るために全てを読むというのは効率が悪すぎます。
エッセンスである全体の2割だけ読んで、あとは捨てる。
仕事に繋がらないのに、時間を使って読むのはもっともったいないのではないでしょうか?とこの本では語られています。

投資をしてもリターンが見込めないのであれば、それ以上投資をしてもしょうがない。とても合理的な考え方だと思います。

要素を大して搾り取れないのに読んでも仕方がない。リターンがないのであれば捨てる。そうしないと投下するリソースがもったいない。この考え方は徹底すべきです。


【要点】「忘れる」ことを前提に読む

本を読むだけでは成果につながりません。どれだけたくさんの本を読み、大量かつ良質のインプットをしたとしても、それらのインプットを知的生産の文脈にあわせて自由に活用できなければ意味がないのです。そのためには、インプットされた情報をいかに効率的にストックし、自由自在に活用するかが重要です。
ここで重要なのが「記憶に頼らない」ことです。「インプットした情報をストックする」と聞けば、多くの人は「インプットされた情報を脳内に記憶する」ことをイメージするでしょう。しかしこれは大きな勘違いです。脳内の記憶だけに頼って知的生産を行うとアウトプットはとても貧弱なものになってしまいます。

山口 周. 外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術

本の内容は自然と薄れていってしまうもの。
読書内容を全て脳内に覚えるのにはそもそも無理があります。非現実的です。
そこで「読書内容を忘れても良い仕組みを作れば良い」と語られています。

具体的にはEVERNOTEなどのデジタルツールにメモを格納して、いつでも必要な時に情報を引っ張り出せる状態にしておくというものです。(昨今であればこのあたりはNotionでも便利に使えるかもしれません。)
デジタルツールに格納することで安心して忘れても大丈夫な状態にすることができます。

【著者の意見について】

極端な意見のように見えて、読むと納得してしまう。
端的、かつ根拠が明快で、非常に気づきが多く、なおかつ文章に力があると感じました。
読書方法を学ぶにあたって他にも読書術系の本は何冊か読んだのですが、本書は特に腹落ち感のある書籍でした。

特に「読書は株式投資と考える」の部分について
実は他の本でも同様の趣旨の話は何度か見かけたのですが、山口周さんの書籍の内容が1番腑に落ちるんですよね。
著者の説明はロジカルでわかりやすいんです。

また、おすすめ書籍を紹介している「これだけ読めばいい!ビジネス書マンダラ」の部分は超有益でした。

職種柄、これらの類の本は結構読むのですが、こういったおすすめ本紹介がないと、何を読むべきかわからず、良さそうな本を片っ端からロードローラーのように読書するととんでもない時間が溶けるので
良書を紹介してもらえるというだけでもこの書籍は購入する価値があります。

1点だけ個人的意見を言うと、メモツールはNotionがおすすめだと思いました。
本書の中で、著者はEVERNOTEを利用されているということでしたが、現状だとNotionが非常に多機能で、細かい要望にも答えきれるというのが理由です。
おそらく出版された日付がかなり前であるせいだと思います。

メモツールは別に他のでもいいと本の中でも語られていますが、メモツールを検討する人は改めて他のツールも検討してみるのもアリかもしれません。





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