何度も解きたくなる問題
私の過去の経験。
何度も解きたくなる問題というものがある。
数学の専門家なら、理解を示してくれる方もいるのではないだろうか。
正解は出ている。
もう攻略している。
にもかかわらず、なぜかまた同じように解きたくなる問題。
解いている途中の、ある局面での数式の変換。
置き換える行為のアイデア。
計算し尽くされたかのように見事に不純物がゼロになる計算。
ゴチャゴチャした部屋が片付いていくような流れ。
「この式からこの式への流れが綺麗すぎる」と感嘆の息を漏らす。
その「!」や「♪」を何度も体験したくて、
数学の人間は答えがわかっている問題をまた解こうとする。
そしてもっと美しい解き方はないのか、
もっと最短距離で解を得る発想はないのか、
数学の人間はその問題と対峙し、思いを巡らす。
それはまるで、その問題に恋をしているかのように。
いや、恋をしているのだ。
いやひょっとすると、愛しているのかもしれない。
数学の人間には、好きな問題がある。
もちろん私にもある。
例えばあまりに有名でつまらないかもしれないが、
素数が無限個あることの証明。
シンプルだけど、こんなに完璧な説明はない。
世界中の誰も反論できない。
こんな美しいものがあるのかと思った。
何度、その証明の記述を見ても感嘆の息が漏れる。
わかりきっているその内容を、何度見ても、「いい」と思ってしまう。
数学の人間は、そういう問題に出会うことがある種の幸福なのだ。
きっとこれを読んでいるあなたには、意味がわからないだろう。
わからないままでOK(笑)
たまには今の「ビジネス」を忘れ、「教育者」の肩書きを外し、
純粋にひとりの数学に魅了された少年(青年?中年?)に戻りたかっただけ。
ちなみに「何度も解きたくなる問題」とは、
決して数学という学問だけに存在するものではない。
人間の実世界にも存在する。
なんだと思いますか?
誰しも、その問題に出会ったことがあるはずです。
もしかしたら、あなたもいままさに。
そう、恋とか愛とかそういう類のやつ。
私があまり言及しない、とても苦手な分野のことだ(笑)
数学の人間にとって、「何度も解きたくなる問題」は恋の対象です。
いえ、もしかしたら愛する存在かもしれません。
解き方はもうわかった。
何度も解いた。
でも、また解きたくなる。
解く過程で、心ときめく瞬間がある。
理屈抜きに、そこがたまらないのだ。
そして別の解き方を探したくなる。
一見、狂気のように思えるその行為は、
本人にとってはとても幸せなことだったりする。
そしてそういう問題に出会った時の人間は、「バカ」になるのです。
あなたにも、そんな「人」がいるのでは?
もしいるなら、何度も解くことをオススメします。
何度も。何度も。何度も。
たまには離れて、その問題を寝かせてみる。
また解きたくてたまらない時がくる。
そうしたら、一心不乱にその問題を解き、
わかりきっている正解を出して笑うんです。
そしてその問題のどこが好きか、考えるといい。
それはとても幸せな時間です。
数学は、恋するときめき、夢中になる幸福を教えてくれます。
そういう問題に出会った時の人間は、「バカ」になるのです。
恋をした時の人間も、それはそれは「バカ」な生き物です。
何度も解きたい問題。
あなたはもう、それに出会えましたか?
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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