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なぜあなたはプレゼンで喋りすぎてしまうのか。 〜「数学的な話し方」のススメ〜

都内某所で小規模の講演会。主催側が消毒・換気などに配慮いただき、無事に開催されました。

テーマは「ファクトフルネス時代の思考習慣」

数字の勉強というよりは、クセにして欲しい習慣の話。楽しく過ごすことができました。


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本題はここから。

参加者の皆様からコメントいただいたものでとても印象に残っているものがあります。講演の本題とは違うところがまた(笑) そのコメントとは。


「深沢先生って、言葉が少ないですよね」


説明不足ということではありません。少ない言葉でわかりやすく話す人ですね、というフィードバックです。シンプル。簡潔。端的。そんなニュアンスに近い。もちろん嬉しいです。それが私の仕事でもありますから。

一方で思ったことは、「なぜビジネスパーソンは少ない言葉で話せないのか」という問いです。誰だってビジネスシーンでは少ない言葉で話した方がいいことはわかっている。何が言いたいのかわからない話。相手の時間を奪うだけの長い話。これらはすべて悪だ。みんなわかっている。わかっているのになかなか難しい。それがこの「少ない言葉で話す」ということのようだ。

なぜ私は少ない言葉で話せるのか。そしてそれが苦手な人はどうすればできるようになるのか。持論をまとめてみる。正直、1冊の本になるくらいの内容だとは思いますが、FREEで読んでいただこうと思っている。どなたかの役に立つなら嬉しい。


なぜ深沢真太郎は「言葉」が少ないのか

結論から言うと、ビジネスコミュニケーション(特にプレゼンテーション)は数学と同じだからです。ゴールがあり、前提があり、根拠があり、それを順位つけて論理を作り、正しい(時に正そうに)説明し、相手に「なるほど」と思っていただく。これは数学の証明問題を解くことと同じであり、あらゆる数学の概念や問題を解説することとまったく同じ行為に他ならない。

ここで重要になるのが、数学には無駄な言葉が一切ないということです。例えば数学の教科書を開いてみてください。その記述に無駄なものは一切ないはずです。イメージで伝えるならこんな感じでしょうか。

まずAである。さらにBである。一方、Cである。以上より、Dが正しいことがいえる。

ほら、一切の無駄がないでしょう。数学とは一切の無駄を排除した論述をする学問なのです。(数学以外もそうでなければなりませんが)

そういう意味で、数学を正しく学んだ人間は少ない言葉で論述することが身体に染みついています。これがビジネスプレゼンテーションでは大きなアドヴァンテージになります。まだ数学を学べる立場の方はぜひ今からでもしっかり学んでみて欲しい。計算問題を作業のようにこなすのではなく、証明問題を徹底的にこなすこと。そしてできればそれらの問題を誰かに解説してみること。上質なビジネスコミュニケーションに直結するリテラシーを身につけることができます。


数学的なプレゼンテーションとは?

数学なんて勉強したくない。そう思う方がほとんどでしょう。そりゃそうだ。では数学なんて勉強しなくても数学的なプレゼンテーションができるようになる方法はないものか。このテーマにおいて数学は目的ではない。あくまで目的はプレゼンテーションにおいて言葉を少なくできること。数学は手段だ。

ここからが重要。その方法はあります。誰でもできます。2つだけやってください。魔法ではないかもしれませんが、効果は絶大です。

ひと言で言う」
「接続詞を使う」


例外はありますが、そもそも人は他人の話を聞きたいとは思っていません。私はこの考え方をとても大切にしています。だから研修や講座などに登壇する際は、

「ここの参加している人たちは本当は私の話を聞きたいとは思っていない。でも、自分に必要なこと、得すること、ときめくことだけは持って帰りたいと思っている人」

と定義します。こう定義することで、私の仕事も定義できます。できるだけ「ひと言」で言うことです。しかし、現実は「ひと言」で伝わることはありません。例えば

「常にデータを確認しましょう」

というひと言があったとします。これ単体では伝わりません。前後にもまた「ひと言」が必要になります。それを接続詞でつなげることで伝わる内容になるのです。

「ファクトフルネス時代です。だから、常にデータを確認しましょう。なぜなら、間違ったことを発言することになりかねないから。」

本質的にはこれをするだけです。とにかくこれをするだけ。余計なことはしないでください。とにかくこれをするだけです。(しつこい_笑) これをすることで、その論述は必ず次のような内容になるはずです。

まずAである。さらにBである。一方、Cである。以上より、Dが正しいことがいえる。

そうです。先ほどご紹介した、一切の無駄がない数学的な論述です。お喋りが上手な方にとっては非常に窮屈なのかもしれません。でもできればお喋りはプライベートで存分に楽しんでいただければと。ビジネスでは数学的な話し方をしたほうがモテます。モテるとは恋愛の話ではなく、ビジネスパーソンとして信頼されるという意味です。


「伝わるスイッチ」という本を読んでみてください

そういう意味で私たちはONとOFF、ビジネスとプライベートで話し方を切り替えられた方がいい。切り替えるときにすること。それはスイッチを押すことです。パチっと押すと、パチっと切り替わる。スイッチ。昨年「伝わるスイッチ」という書籍をリリースしたのはできるだけ多くの人にこの内容を知って欲しかったからでもあります。宣伝になってしまったが、この記事をここまで読み進めた人にはきっと役に立つ内容だと思います。


「少ない言葉」は伝える相手への愛である

最後に補足したいことがあります。それは「少ない言葉」にすることの本質です。その本質とは、愛です。伝える相手への愛。

繰り返しですが、そもそも人は他人の話を聞きたいとは思っていません。私はこの考え方をとても大切にしています。だから研修や講座などに登壇する際は、

「ここの参加している人たちは本当は私の話を聞きたいとは思っていない。でも、自分に必要なこと、得すること、ときめくことだけは持って帰りたいと思っている人」

相手が(決して口にはしないけれど)本当は求めていることを察し、それを体現し、期待に応え、喜んでもらう。まるで恋愛をする者どうしのマインドだとは思いませんか。そこにあるのは相手への愛です。

少ない言葉で話さない人 = 伝える相手への愛が足りない人

非常に厳しい考え方かもしれませんが、私は本気でそう思っています。私は研修や講座などに参加する人たちを愛しています。求められていること、期待されていることに応え、喜んで帰ってもらいたい。本気でそう思うのです。だから少ない言葉で話せるのです。

幸運なことに数学を正しく勉強できたこと。

伝える相手への愛があること。

この2つが、私の「少ない言葉」の正体です。私にできるのですから、必ずあなたにもできます。さあ、やってみましょう!


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最後までお読みいただきありがとうございました。
国内でただひとり、ビジネス数学教育家。ビジネスパーソンのための数学教育を提唱し企業人の育成に貢献。研修。講演。授業。面談。ゼミ。作家。講師育成。。。いろいろやっています。


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