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【書籍要約】タイプがわかればうまくいく!コミュニケーションスキル

仕事でもプライベートでも人と関わるということは必須で、人の悩みの多くは人間関係が関連します。先週から私が読んで参考になる点が多いなと思った谷益美先生の著書を紹介してきましたが、今回は「タイプがわかればうまくいく!コミュニケーションスキル」を紹介します。

この書籍は、人のコミュニケーションスタイル4つを紹介し、自分や知人・友人にソーシャルスタイルのタグ付けをすることで相互理解を深めコミュニケーションを図ることやコミュニケーションスキルの上達のための心構えやHowを紹介しています。

以下、書籍を読んで理解した内容を整理していきます。

1 4つのソーシャルスタイル

本書ではまず、コミュニケーションの前提としてコミュニケーションの特徴を整理した4つのソーシャルスタイルを紹介しています。これは自他を理解する上での有用なツールですが、注意点が2つあります。

一つはあくまでも相手を理解するためのツールであるということです。どのスタイルが優れているといった優劣を付けるものでもありませんし、相手と自分の関係性を言い訳をするためのものではありません。
二つ目は、4つのタイプのどれかにこだわりすぎないことです。人は、いずれの要素も持っていてその強弱が違うにすぎません。人は複合的なので場面によって違うスタイルが出ることも多々ありますし、レッテル貼りになり目の前の人を見失うことがないようにしまましょう。
さて以上を踏まえて4つのソーシャルスタイルを紹介します。

(1)Driving(ドライビング)…自己主張:強/感情表出:弱

「指図されるのは大嫌い。思い通りにやらせてよ」タイプ(現実派)です。生まれついてのリーダー気質、指示されることがキライなタイプで、強みは判断が早い・自己主張ができる・打たれ強いといった点、弱みは褒めることが苦手・相手に合わせることが苦手・怖いと思われがちといった点になります。

見分け方として下記のような特徴がみられやすいようです。
・基本的に早口、断定的にしゃべる。
・自己主張をしっかりする。
・上から目線、威張る、「怖そう」と感じさせる。

ドライビングタイプへの効果的な対応は、聞くときには「教えてほしい」という姿勢を見せる、情報をしっかり伝え判断は委ねる、といったものになるようです。

(2)Expressive(エクスプレッシブ)…自己主張:強/感情表出:強

「楽しくなければ意味がない。盛り上がって行こう!」タイプ(感覚派)です。サプライズや楽しいことが大好きで楽観的、細かいことは気にしない、といった価値観で、強みはアイディアが豊富・行動力がある・社交的といった点で、弱みは飽きっぽい・地道な努力が苦手・忘れっぽいといった点になります。

見分け方として以下のような特徴が出がちなようです。
・テンポよくしゃべる。
・擬音語や擬態語を多用する(「どーんと行きましょう!」など)。
・表情が豊か/話が大げさになりがち(子どもっぽい表情や行動を取る)。

効果的な対応としては、多少大げさな相づちを意識しながら会話を楽しむというようにこちらも感情を見せることが挙げられます。また、時間をきちんと区切るとことも仕事等のコミュニケーションとしては有用になります。

(3)Amiable(エミアブル)…自己主張:弱/感情表出:強

「みんなのためなら頑張れる。きちんとお役に立ちたい」タイプ(協調派)になります。人間関係波風立てず、穏やかに、困っている人を助けたい、といった価値観になります。強みは、親切・気配りがある・思いやりがあるといった点で、弱みは決断できない・プレッシャーに弱い・人前が苦手といった点が挙げられます。

見分け方としてエミアブルの方には下記のような特徴が出やすいようです。
・口調はゆっくり、おだやかにしゃべる。
・話すことより聞くのが得意。
・ニコニコしながらよくうなずく。

効果的な対応として、感謝の気持ちをきちんと伝えることが挙げられます。また意見を控えがちなので「あなたの」意見が知りたいとアプローチすることも必要になります。

(4)Analytical(アナリティカル)…自己主張:弱/感情表出:弱

やるべきことは正確に。計画通りに進めましょう」タイプ(思考派)で、自分の専門を大切に、ミスは少なく確実にといった印象の方になります。強みは正確性・分析や調査が得意・現実主義的・マイペースといった点で、弱みは人付き合いが苦手・話が長い・行動が遅めといった点になります。

見分け方としてアナリティカルタイプの人は下記のような特徴が出る傾向にあります。
・口調は遅く、口数も少ない。
・「何を考えているのかわからない」と誤解されがち。

効果的な対応としては、数字などの客観的データを活用して具体的かつ正確に伝える、意見を聞きたいときは事前に質問を伝え考える時聞をあらかじめ設ける、といったものが挙げられます。

ちなみに私はアナリティカルタイプでしたが、確かに考える時間なく答えを求められるのは嫌いです(笑)。また部署全体ではエミアブルタイプが多かったです。バックオフィスのスタッフは、決断より気配りを求められがちということなのかもしれません。
ご自身のタイプを判断するには書籍自体を購入いただくのがよいのでしょうが、そこまではという場合はリクナビのサイトで試してみてください。

2 コミュニケーションスキルを高めるために

4つのソーシャルタイプを理解したら、それを意識してコミュニケーションスキルを高めていきましょう。

(1)スキル取得の四段階

スキルを取得していくにあたって四つの段階があります。無意識的無能→意識的無能→意識的有能→無意識的有能です。要は、最初はできないことがわからないけれど、訓練するうちに何ができないか分かり、意識すればできるようになっていき、最終的には意識しなくても自然にできるようになっていくという段階を踏んでいくということです。
気付くことが初めの一歩になりますので、まずはできないことを意識してみましょう。うまくいかないなと感じたときこそが成長のチャンスです。

(2)コミュニケーション戦略構築の四ステップ

四段階は分かったけれども何すればいいのという点で、著者が提案しているのが4つのステップでコミュニケーション戦略を立ててPDCAを回していこうというものです。4つのステップは以下になります。

①前提確認:この人と関わる必要があるか

なぜこの人と関わるのでしょうか。必要がなかったり、ネガティブな理由でしたら却って関わらない方がいいということもあるでしょう。例えば、ある人を貶めたいといった理由だったら、関わると自身も下がってしまいかねませんので、そもそも関わらないようにしようと判断した方がよいのではないでしょうか。

②ゴール設定:どのような成果を生み出したいか

コミュニケーションをとることのゴールになります。協働することにより何を生み出したいのか、何を目指して一緒に行動するのかといったゴールを明確にしなければ、手段や戦術も決まりようがありません。行先を決めなければ地図で生き方を決めようがないのも一緒です。この際に、注意しなければならないのは、「どのような成果を生みたいか」というゴール設定をするのであって、「相手にどうなってほしいか」ではないということです。

③作戦立案:ゴールに向けて何をすべきか

ゴールが決まったら、次はHow toの問題になります。思い通りにいかないことも多いでしょう。特に改善等を求める場合に、著者は下記のステップで進めることを推奨しています。

‐相手に感謝・労いを伝える。
 →相手がどう思っているか「課題意識」をヒアリングする。
 →こちらからの提案や意見を伝える。
 →以上を踏まえての今後の進め方を話す。

うまくいかないとき、浮かびがちなのが相手への不満・失望で、やってしまいがちなのが批判・お説教です。それによって改善につながるのならいいのですがそうならない場合が多いでしょうから、改善のために上記のステップを踏んだ方がよいでしょう。

④振り返り:今後に向けての学びは何か?

戦略を立ててやってもうまくいくとは限りません。理想と現実の差異を明確にし、うまくいった点は何でありそれはなぜうまくいったのか、うまくいかなかった点は何でありどうすれば改善されるか、といった点を振り返り次に反映することを繰り返すことでスキルを高めていくことができます。

なお、実践に当たっては目標とするロールモデルを持つことやそれを通じて自分ならできるとセルフ・エフィカシーを高めると成功率が上がるそうです。

(3)どうしても苦手な相手に出会ったら

例えば差別的な人等どうしても苦手な人や関わりたくない人も出て来るかもしれません。関わりを断てるならそれも一手ですが、関わらざるを得ない場合もあります。そうした場合はどうすればいいのでしょうか。そういう場合は「時間」か「周りの人」に助けてもらいましょう。

時間が経てば相手も自分も変化しますし、時間が感情を洗い流してくれることも少なくありません。関係はその瞬間だけで作るわけでないので時間を味方につけることも一つ重要になります。
もっとも、時間がおけない場合や時間が解決してくれない場合もあります。その場合には周りの人に助けてもらうしかありません。二人だと感情的になってしまうけれども、間に人が入れば冷静に話ができることも少なくありません。調停はまさにこれを目的にしていますよね。周りの人に相談するにあたっては、本人の相談力も求められます。闇雲に相談するのではなく、「困っていること」「目指す状態」「期待するサポート」がなんであるかを明確にして相談するのがよいでしょう。

(4)コミュニケーションに当たっての心構え

人と良好な関係を築くための心構えについても記載されていましたので紹介します。

まずは、正しいは人それぞれであるということになります。価値観や考えに違いはありますが、自分との「違い」が相手の「間違い」というわけではないということを意識して、相手を否定せず相互理解に努めようということです。

次に引き算のコミュニケーションです。相手をどうにかしようとか自分を認めさせようと力むのではなく、相手に代わってあげられるわけでなくできることはささやかであることを弁えた上で自分にできることを見極め、安心できる場を作るように工夫した上で、相手の話を「評価せずに」聞くということになります。

他にもごめんはいつでも、ありがとうは何度でもOKというものです。謝ったり、感謝したりということは大人になると苦手になる方もいますが、謝罪や感謝の気持ちをちゃんと伝えることは大事ですし、それによるデメリットは殆どないことを理解して、きちんと伝えることが人間関係の円滑化には重要になります。

3 最後に

以上が「タイプがわかればうまくいく!コミュニケーションスキル」の要約になります。良著でしたので興味のある方は、ぜひ読んでみていただければと思います。また、同じ著者のコーチングとファシリテーションに関する記事も書きましたのでこちらも興味がありましたらお目通しいただけますと嬉しいです。







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