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「大きな嘘の木の下で」

私が本書の著者OWNDAYSの田中修治さんの処女作の「破天荒フェニックス」を読んだ際には実はサラッと読ませていただいた印象だった。


一方で、この「大きな嘘の木の下で」はとても印象に残った。この本を読むきっかけとなったのは、インターネット配信番組の中で著者が発言した“成功はアートで失敗はサイエンス”なんだという言葉であった。

成功は「アート」という感覚的なものであり、右脳的で一種の芸術のようなもので説明は出来ないが、失敗に関してはサイエンスで分析可能であるということであった。

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まさに今、世の中の正解が一つではないし分からなくなってきている中で、この言葉は頭にガツンと響いた。本書の中でも著者は多くの経営者の本を読んできたと言っている。その中に答えなど求めても答えはないし、やり方などは一切ないと書いていた。

ソフトバンクの孫正義さんの成功は、孫正義さんであったから成功した方法で、キャラクターやその時代の流れなどがあって成立するものであり、その人の本を読んで成功の方法を掴むことが出来る種類のものではないと言っている。


まさにその通りであると私も感じる。


ただし、その中で失敗してしまう場合はサイエンスであるので、分析が可能で再現性があると書いている。

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その中で言われていることは、失敗する社長は会社のお金で “高級外車を買う” “愛人を会社に入れる” “ゴルフに明け暮れる” など、一定の法則があるそうだ。

それは著者が「失敗の本質」という書籍を読んだ際に、これだ!と書籍を読み漁った結果たどり着いた答えであるとある。


この本は私も読んだのでとてもオススメなのだが、旧日本軍が大東亜戦争へ進んでいく際に、目的と手段がいつの間にか曖昧となり手段が目的化したことで日本は先の大戦に負けてしまったと分析するのだが、企業経営もえてして目的や手段、目標が曖昧化してしまうと言っている。

企業経営においてこのような失敗を犯さぬよう、著者は企業理念は大切だと長年の企業経営に携わる経験で行き着いたとある。企業理念、それを著者は《目的》《目標》《手段》にしっかり分けて考えて決めておくことの大切さを語っている。このように経営というものを学術的にまとめるわけではなく体験、体感を通し、平易に伝えてくれるのでとても理解しやすいと思う。

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田中修治氏 (YouTubeより)


そしてOWNDAYSにおいて会社の目的は【関わる人たちを豊かにする】とあるのだが、そのために職場でより生産性を上げる必要に行き着く。

そして生産性を上げるための著者の一つの答えは、仕事を遊んでいる感覚とすること。ゲームをすることは集中力を発揮して何時間でも夢中になってすることに着目し、仕事をゲーム化していったと書いている。仕事の売上や工夫を点数化しゲーム感覚にして組織を運営していくのである。

この手法もとてもユニークなので是非、本書を手にとって参考にして欲しいと思う。

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最後に著者は「モノ消費」が「コト消費」に変わり今は「ヒト消費」へと移り変わっていますと言っている。この「ヒト消費」とは眼鏡を購入する際に、〇〇さんのオススメする眼鏡だから購入しようかな?と購入の動機がヒトの魅力へ移っていっていることを指している。

この「ヒト消費」を通してさらにOWNDAYSが発展していくために社員全員にSNSを奨励しているそうだ。個人の発信力が束となりブランドを作っていくという面に着目している。様々な切り口で著者が行なっている経営手法を余すことなく分かりやすく書いていた。


是非、ご一読を。



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