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1-14 concrete epic

皆さんは現在小学生がなりたい職業No. 1が何か知っているだろうか300年前だと野球選手や宇宙飛行士女の子だと花屋さんやお嫁さん50年前だとやはり一世を風靡したYouTuberだろうもし30年前にあの絶望的な法案が国会で否決されていたならば今でもYouTuberがスターとして小学生の憧れのマトとなっていたことだろう閑話休題現在もっともキッズに羨望の眼差しを向けられている職業はご存知の通り「ウォシュレット屋さん」である「ウォシュレット屋」とは深刻な地球規模の環境問題への危機感の訴えが民衆の心を掴み与党となった「地球党」により押し進められた『水洗式トイレ撤廃令』によって汲み取り式便所か公衆肥溜めへの排便以外は禁止になった(トイレットペーパーの生産・使用も同様に禁止され違法者は死罪のためトイレットペーパーの代わりに平安時代に用いられていた細い木の棒通称『糞ベラ』で肛門を拭くことが推奨されている)ことに伴いウォシュレット中毒者の禁断症状による犯罪が社会問題化した(主な禁断症状として強い殺人願望・窃盗・幻聴・死に至る程の自傷行為・深刻な厨二病化・などがある)中毒者による犯罪率は軒並み上昇し後に認知神経科学研究がウォシュレットには人間の精神の硬直を和らげる効果があったことを解明したため政府はこの問題を鎮静化させるエキスパートとして「ウォシュレット屋」の育成に着手した現場での的確な判断能力や戦闘になった際に凶暴化した患者を傷付けず捕獲することができる程の戦闘力そして患者の精神状態を瞬時にケアするカウンセリング技術など高レベルな能力を持つ人材の育成が急務であり政府によって設立された専門的教育機関による実践的技術と知識を修めた有国家資格者かつ厳正な試験を通過した者にしかこの職に付くことは許されていないおまえは子供の頃から憧れだった「ウォシュレット屋」になり早10年が経とうとしていた抜きん出た才能が認められ34才という若さで関東支部の本部長を務めているおまえの舌技は学生の頃から飛び抜けており実技試験で教官の肛門の汚れを舐め取り23秒で射精させた記録は現在でも塗り替えられていない他にもおまえが残した伝説は数多くありこの業界でおまえを知らない者はモグリだとさえ言われているそして最近単独で連続殺人鬼を捕獲したことがメディアで大きく報道され世間でもすっかり社会の平和を守るヒーロー扱いである旧友の頼みを断れず先日地元名古屋にておまえは『世界平和と福祉』をテーマに講演会を開いた聴講者たちはおまえの平和への深い想いや仕事への情熱や技術向上へのあくなき探究心に心打たれたのだった「とにかく子供の頃からウォシュレット屋さんになりたくて毎日家族や友人の肛門を舐めさせてもらって練習していましたね最初は見様見真似でとにかく舐めるんですけど2年間くらい練習しているうちに人によって肛門のシワの数が違うってことに気づいたんですね驚きましたそれからシワだけじゃなくて匂いや色や大きさや柔らかさも千差万別だと気づきましたなので舐める前によく肛門を観察しその特性を掴んでいく事にしました例えば『長いシワが偶数で多く短いシワが奇数で少ない人は舌を肛門に深く突っ込み左右交互に動かすとエクスタシーに導ける確率が高い』とかね兎に角いろんな肛門のデータを沢山集めるために小学校中の人の肛門を舐めさせてもらいましたね初めて絶頂させた相手は母親でした忘れもしませんすごく嬉しかったですからね母親にもすごく感謝されたしでもそのうち実力が上がるにつれて家族はわたしを避けるようになりましたわたしはもう家族の肛門を毎日舐めることで特性を完璧に押さえていたので家族はもう毎日何度もイカされることが嫌になったのですね(笑)中学1年生くらいでまだ幼かったのでショックでしたねあとその頃に肛門を舐め続けて『人間は何回絶頂を迎えると気を失うのか』なんて研究も始めてて仲の良かった友人ともそれが原因で疎遠になりましたそれならと近隣住民の家を一軒一軒周り絶頂させ続けているうちに自治体から『もう絶対に人の肛門を舐めないでください』とのお達しが来ましたので人間への舌技は一度封印しましたでも夢のために練習は続けなきゃいけないので夜に小学校の飼育小屋に侵入してウサギやニワトリの肛門を舐めたり野良猫を餌付けして肛門を舐めたりと苦心しながらトレーニングは怠りませんでしたウサギは何回絶頂させても大丈夫なんですよ流石に1000回くらいで体力切れて死ぬけど人間より強いので良い練習台になりました高校3年生の夏頃に政府の人が実家に来て是非うちに来てくれってことで思っていたより簡単に推薦入学が決まりましたとてと嬉しかったですね機関に所属して最初の任務はとても緊張しましたね確かすごくお金持ちの老婦人からの依頼でしたセレブの人の肛門を舐めるのは初めてだったので興奮しましたが初任務を遂行する緊張の方が優っていましたこの時ひとつわかったのはセレブの人の肛門周りにもまぁ勿論ウンコのカスが着いてるんですけどちょっと味が違うんですよね少し甘味が強い気がします有機野菜やサプリメントやバランスの良いナチュラルな食事が影響しているのかもしれませんね一般的にウンコのカスは少し苦いものなのですが逆に苦しい生活をしている人のカスは苦味が強いですこれもきっと食生活から来るもので過度な安酒の摂取や日常的にジャンクフードを食べているとそうなってしまうのでしょうね先日わたしが捕まえた連続殺人鬼をメディアは極悪非道と報道していますが実際は非常に大人しくウンコのカスも少し甘かったつまり中の上くらいの皆さんと差して変わらない生活をしている人間なのです禁断症状の有無という一点しか変わりはないのですつまりわたしが言いたいことは『差別』こそ平和への一番の妨げだという事です知ることへの恐れは誰もが持っていますしかしだからと言って無知の中に居直ることはよくありませんわたしもこの仕事に誇りを持っていますが危険が付きまとう職業なので失敗もありますし心無い人たちからは未だに『スカトロ野郎』と揶揄されます確かに一般的な人たちよりウンコを食べていますがわたしだって家に帰れば夫と娘がいて慌ただしく家事をこなすごく普通の妻であり母親なのですどうか皆さんには『個性』という意味をもう一度考えて頂きたい『個性』とは唯一無二であり非常に複雑で流動的な多面体なのですその人の一面だけを誇張し固有名詞を蔑ろにし都合よく抽象化することはあなたの人生を寂しいものにしてしまいます『結局話し合ったって無理解に終わり徒労しか残らない』という絶望を乗り越える可能性が3%くらいあるからこそ1対1のコミュニケーションは大切なのですあなたという固有名詞を獲得する為だけに知らない誰かを貶める事はお互い何もいい事はありませんひとりひとりの放り出すクソの味は違うという事そして皆に等しく肛門があるという事これをどうかご理解いただきたい最近は残虐な事件が増えているように感じます繰り返しになりますが問題の解決には対話が必要不可欠ですケンカした相手とウンコを交換してフライドポテトやチキンナゲットにディップして食べてみたりお互いの肛門に口を使って交互に空気を入れオナラで会話してみるという対話も科学的に効果があります是非とも皆さん『対話』という人間社会が生み出した尊い唯一の平和的手段を活用し日常生活を豊かなものにして下さい」10時間にも及んだこの講演会の様子は後にドキュメンタリー映画として上映されその年の『マジで泣ける映画ベスト10』に選出された。

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