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【ほぼカニを食べました】

ほぼカニを手に入れました。

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とても奇妙なんだが、目の前で起こったことをそのまま話そうと思う。

見ためはほぼカニ。ほぼズワイガニの脚の身です。写真を撮る前にたまらず食べてしまってますが全体的にこのくらいの量がひとパック分と考えてもらいたい。もしこのほぼカニが道端に落ちていたら、おそらく99%以上の方はこれをカニの脚の身だと思い込むだろうと確信してる。それくらいほぼカニ。

香りはというと、ほぼカニ。甲殻がない分控えめな香り。これはメリット?デメリット?あのカニの香りってカニのエキスが流れ出てカニを剥く手につたう時に一番強く感じるもの。痒くなるよね。それにカニエキスが服についたらわたしはカニの香りをプンプンとさせることになる。したがってこれはメリット。ほぼカニ。さわやかなカニのブリーズが世知辛い世の中に漁港の活気を運んできてくれた。

触ってみると、ほぼカニ。カニよりややしっかりとした感触。でももしこれがほぼカニ以外の海で獲れたカニであったなら?そう。ギッチリと身の詰まったカニね、ってなるはず。ほぼカニはほぼカニであると共にほぼ身のしっかりと詰まったカニでもある。ほぼカニなだけでなく、ほぼ上質のカニを目指したところにカネテツ社の志の高さを感じました。さすが我が家を3世代に渡り夢中にさせているだけある。※わたしはカネテツの回し者ではありません。ただのファンです。

ほぼカニと向き合うこと数分。これをどうして食べようかといった壁にぶち当たった。すでにそのままのほぼカニを食べて満足している自分もいるし、ほぼカニをほぼ完全に楽しみたい自分もいた。天ぷら、サラダ、お刺身、お寿司、カニ玉、いろんな姿になったほぼカニを思い浮かべた。ほぼカニの天ぷら、ほぼカニサラダ、ほぼカニのお刺身、ほぼカニのお寿司、ほぼカニ玉。走馬灯のようにかつての強敵ともたちが頭を巡る。

例えばほぼカニの天ぷら。これを

“ほぼ” ”カニの“ ”天ぷら“

に分けて、『ほぼカニの 天ぷら』なのか『ほぼ カニの天ぷら』になるのか。実際に試すのが怖かった。パンドラの箱。開けていろんなことが過ぎ去った後、パンドラの箱のそこに残るはカニかほぼカニか、この段顔ではほぼわからないの。

神妙な面持ちでふとほぼ完璧なお料理を思いついた。冷蔵庫にはアボカドもある。ガリもあったはず!ほぼカニの北海海鮮丼なんてどうだろうか。

軽くほぼカニを温めた。ほぼカニをほぼ人肌程度に温めた。カニの香りというかほぼカニの香りが強くなりわたしの五感を総動員してもこれはほぼカニでありカニが一体どんなものであったかを思い出せなくなっていることに気づいた。カニの思い出がほぼ、ほぼカニに置き換わってきているような気がしてきた。カニとは一体なんだったのか。あやふやになってきたカニと、その隣で自分がほぼカニであると名乗るほぼカニ。カニの名は、そんな映画を作れそう。

これを付属のカニ酢(これはカニ酢でありほぼカニ酢ではない。ここで言うほぼカニ酢ではないは、ほぼカニ酢 ではないの意味。完全にカニ酢)とお醤油を合わせたもの漬けにする。その間にご飯の上にスライスしたアボカドを並べてて、最後にほぼカニを並べた。

これだ。


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ほぼ幼き頃よく夕方のニュースなんかでレポーターの方が北海道で食レポしていたあれである。ほぼ週末の朝にラッシャー板前が北海度で食レポしていたあれである。夢に見たその姿ほぼそのままで今、ほぼわたしの目に前にある。

カニの脚を意識して全て平行に並べてみた。その様もほぼカニである。ほぼ冷たい海の底でゆっくりとした時間の流れに身を任せているズワイガニである。気づいたけどカニの脚の数に合わせて10本はいっていたのだろうか。としたらカネテツ社は夢を叶えるだけでなく夢を広げてくれる。まさにほぼカニそのものだ。夢とよだれがほぼカニの脚のように広がっていく。ガリも添えたほぼカニの北海海鮮丼。アボカドが北海的なのかどうかはわからないけど見た感じはほぼカニの北海海鮮丼の出来上がり。

実食。わさび醤油にすると大抵のものがほぼ海鮮丼の味になる懸念があったので今回はわさびは不使用。それでも十分にブルーオーシャンがディープブルーに染まりほぼカニの生息域まで意識が沈んでいった。おいしい。これが完全にカニかどうかと聞かれれば、まあほぼカニですと答えざるを得ない。が、それでもこの価格でここまでほぼカニの美味しさを楽しめるのはお得。カネテツサマサマである。ほぼカニを噛み締めた時のカニ感もほぼカニのものだったし何よりご飯と合う。ほぼカニにお醤油の美味しさが滲み入りそれがご飯と交わるとほぼカニの北海海鮮丼のそれ。おいしい。ほぼカニを食べている気分。アボカドも合わせて口に入れると北海と南海が入り混じって世界の海がひとつになり口の中に広がった。ほぼ地球の始まりの状態に近い。オリジンであり起源。カニの概念の地殻変動、お口の中がほぼカニの満月のクリスマス島さながら。

以上がわたしが短時間のうちに体験したほぼカニをそのまま綴ったもの。文字にするにあたり多少誇張した部分もあるかもしれないけれど、ほぼカニほぼそのまま。そしてこの物語を進めることができるのは今読んでくれているあなただけ。あなただけの海であなただけのほぼカニを見つけてほしい。










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