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『あと少し、もう少し』(著者:瀬尾まいこ)は吉祥女子中、攻玉社中、品川女子学院中、鎌倉学園中、専修大松戸中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容、あらすじを紹介します!

■『あと少し、もう少し』(著者:瀬尾まいこ)について

登場人物は中学生の男の子が中心なので、中学生が読むと一番共感できると思いますが、中学受験を目指している小学生や、もちろん高校生以上の人、お父さんお母さんにも読んでもらいたい作品です。
中学の駅伝大会に出場するという青春小説の傑作です。

多くの人に読んでもらいたい作品です。

陸上部部長の桝井は、厳しい陸上部顧問の満田先生に導かれて、1、2年ですでに駅伝に出場していました。ですが、中学3年になるときに、満田先生は他校へ異動となってしまい、代わりに元美術部顧問で陸上は全くわからない女の先生、上原先生が陸上部の顧問となります。
陸上部では、桝井の他に、桝井に誘われひたむきに走り続けている内気な設楽、桝井に憧れて陸上部に入った2年の俊介が、駅伝参加メンバーです。駅伝は1人3kmで6区間、合計18kmなので、あと、3人メンバーを揃えないといけません。桝井は必死で残り3人のメンバーを集めます。最初に決まったのが、たばこ吸って金髪で授業はふけてる大田、次にちょっと変わっていて吹奏楽部でサックスを吹いてる渡部、そして、いつも頼まれると断れず明るく盛り上げてくれるジローが決まります。中学校駅伝では上位6校が県大会に進出できるので、なんとか今年も県大会に出場したいと、だんだん陸上部顧問らしくなっていく上原先生と集まった6人が思いをつなげていきます。

詳しいあらすじを最後に書いています。読書感想文などを書く際に参考にしてみてください。(ネタバレになりますので、読みたくない方はご覧にならないでください。)

本の構成がとてもよくできていて、最初「0」で始まり、その後は、「1区」「2区」…「6区」と続きます。
「1区」〜「6区」は駅伝で走る区間のそれぞれの走者が、練習から本番までを語ります。
1区〜6区で同じ場面もあるのですが、語っている人物が違うので、それぞれの登場人物の気持ちをより深く理解できます。
いつの間にか自分も熱く、メンバーになった気になってしまいます。こんなに本1冊で熱い思いにさせられたのは久しぶりでした。

ただ、時間軸が前後するので、小学生でまだ読解力があまりついていない子には、理解が難しいかもしれません。誰がどの時点で語っているのかわからなくなってしまうかも…

2014年度第1回品川女子学院中等部の国語の入試問題では、「6区―3」から出題されました。

2014年度三輪田学園中学校の国語の入試問題では、「3区」から部分部分つないで出題されました。

2014年度第1回専修大学松戸中学校の国語の入試問題では、「6区」から出題されました。

2016年度第2回吉祥女子中学校の国語の入試問題で、「6区ー11,12」から出題されました。

2016年度鎌倉学園中学校2次の国語の入試問題で、「2区ー7,8」から出題されました。

2024年度第1回攻玉社中学校の国語の入試問題で、「3区ー7」全てが出題されました。

◆2014年度第1回品川女子学院中等部の国語の入試問題

大問1番が漢字、大問2番が知識問題、大問3番が論説文、そして、大問4番にこの『あと少し、もう少し』が出題されました。

最初に5行に渡りリード文があり、それから本文となっています。吹奏楽部の渡部に中学駅伝大会に出場してもらうために、桝井らが勧誘する場面から最後のジローが加わって6人揃うまでが出題されました。この大問4番の設問数は9問で、自由記述が2問、70字記述が1問出ています。

◆2014年度第1回三輪田学園中学校の国語の入試問題

なんと大問1題だけで、全てこの『あと少し、もう少し』からの出題になっています。漢字も含めて問19までありました。

やはり、最初に4行ほどリード文があり、中学駅伝大会に出場し、3区を走るジローの語りの部分が出題されています。途中会話文が5文なく、並べかえる問題があり、記述問題は少なめで記号選択が主でした。

◆2014年度第1回専修大学松戸中学校の国語の入試問題

大問1番が漢字、大問2番でこの「あと少し、もう少し」、大問3番が論説文でした。

陸上部の部長であり、駅伝大会に出場できるようにみんなを引っ張ってきた桝井が、スポーツ性貧血になってしまい、必死で走り抜ける場面です。

この大問2番の設問数は11問で、40字記述が2問、記号選択問題が4問、語句の意味が2問、抜き出しが1問、熟語の組み立てが1問、部首と総画数が1問、出ています。

◆2016年度第2回吉祥女子中学校の国語の入試問題

大問2番で、この小説最後の「6区ー11,12」から出題されました。「6区ー12」の一番最後の部分は略されています。大問1番は論説文、大問3番は漢字の読み書きです。

陸上部の部長であり、駅伝大会に出場できるようにみんなを引っ張ってきた桝井が、スポーツ性貧血になってしまい、必死で走り抜ける場面です。

◆2016年度鎌倉学園中学校2次の国語の入試問題

大問3番で「2区ー7〜8」のジローの語りから文庫で約11ページ分出題されました。ヤンキーの大田が金髪をバリカンで剃り大会にのぞむ前日と当日の場面です。

大問1番は漢字の読み、大問2番は漢字の書き取り、大問4番は説明文、大問5番は漢字と語句の意味で、大問5番まででした。

この大問3番の設問形式は、語句の意味が1問、適語補充が4問、抜き出しが1問、4択の記号選択が8問、脱文挿入が1問で全部で15問でした。

◆2024年度第1回攻玉社中学校の国語の入試問題

大問4番で「3区ー7」のジローの語りから文庫で約7ページ分出題されました。ジローが大田から襷を受け取ってから、自分が桝田に頼まれたことを思い出しながら走る場面です。

大問1番は漢字の読み、大問2番は漢字の書き取り、大問3番は俳句、大問5番は説明文で、大問5番まででした。

この大問4番の設問形式は、適語補充が1問、会話文の並べ替えが1問、5択の記号選択が8問で全部で10問でした。

他、四谷大塚の小5の2018年9月最初の組み分けテストにも出題されていました。サピックスや日能研などでも出題されているのではないかと思います。

■『あと少し、もう少し』あらすじ(ネタバレあり)

1区を走るのは設楽。2区は大田。3区はジロー。4区が渡部。5区が俊介。6区が桝井。それぞれの独白形式で物語は進む。

設楽は内気で、いつもなんだか周りにビクビクしていて、特に大田は恐ろしい存在だった。その大田に襷を渡さなければならない。だけど、大田は設楽の足の速さを認めていた。もっと速く走れるはずだと。

大田は何でもかんでも投げ出して、部活もやめ、授業にも出ない。金髪にして、たばこ吸って…だけど、走る力はすごかったし、走るのが好きだった。設楽を怖がらさないように気を遣ったり、意外と優しい。壮行会で途中で抜け出して、桝井やジローと言い合って、でも、バリカンで髪の毛剃って、本番熱く闘志を燃やし、走りぬいた。

ジローは、走るのはイマイチ。頼まれれば断らない性格から、もちろん引き受けたけれど、それでも、自分のせいで迷惑をかけたくないと努力する。ジローの裏表のない明るさは渡部とそりが合わない。渡部はジローのなんでも頼まれればやる性格にイライラするのだ。

渡部は、7歳で親が離婚し、父母どちらにも引き取られず、おばあちゃんと暮らしている。そのことを同情されたり、馬鹿にされたくなくて、知的ぶってクールに振舞っている。吹奏楽をやっていながら、体は陸上向きだった。いくらでも走れる力を持っていた。ジローの明るい性格にイライラしながらもジローを認め、後輩の俊介とはおばあちゃんの作ったお弁当をあげたりして、気が合うらしい。俊介が桝井のことを本気で好きなのも見抜いていた。

俊介は、桝井に憧れて陸上部に入った。ずっと桝井を追いかけて、桝井のような走りができるように桝井のアドバイスを忠実にこなして、速くなっていた。だけど、桝井への気持ちは、ただの憧れや尊敬だけじゃなく、本気だったことに気づく。その思いを誰にも伝えられず、わかってもらえず、だけど、渡部だけはわかってくれていた。

桝井は本当にえらくて強くて、だけど、その桝井が不調で思ったように走れない。桝井は自分が5区を走り、6区を調子のいい俊介に走ってもらうように決めたのに、当日、上原先生の監督命令で、6区を走るように言い渡される。不調の原因は、スポーツ性貧血だった。メンバーみんな頑張っていて調子が上がっているのに、自分だけどうにもならない。だけど、その焦りをみんなに見せたくなくて、みんなの走りを後押しする。メンバーみんながそれに気づいていて、みんなそれぞれに思いやっている。桝井は、思うようにいかない体を死ぬ気で動かし、みんなの思いを県大会につなげる。

6人と上原先生が駅伝に向けて、少しずつお互いを理解しあい、認め合い、自分たちを高めていく。上原先生も最初は陸上のこともわからずぎこちなかったが、だんだんみんなのことをよく理解して、最後にはいい先生であった。

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