森美術館のSNS戦略と現場の実態
最近本を読む回数が増えている。
今日は「シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略」という新刊を読んでみた。森美術館のSNS担当者が自信の取り組みに意気揚々と成功談を語る実録記だ。
早速購入して読んでみた。
取り組んでいるSNSのお作法はごくごく基本的なもので、特筆すべきポイントはそれほどない。マーケティング従事者であればすんなりと受け取れるものである。基本に忠実で、そういう意味ではキチンとしている。
読み進めていって、ある1点の違和感を感じた。
館内で写真を自由に撮ることを許容、むしろ推進していることだ。
いわゆる拡散を目的としてSNSを上手に使うことは集客に繋がる取り組みとして機能しているが、一方で館内の秩序をどうやって担保するのか?という点が語られていない。
写真を撮る自由も、静かに鑑賞することも、鑑賞者側の守られるべき問題。
一定のルール下で、どのように美術館としてのサービスを維持していくか、という点で、非常に難しい問題をはらんでいると思います。
以下、撮影許可を通じた両面をTwitterから抽出してみました。
ご覧のように、SNSを通じて発信された写真画像は、来場への動機付けに大きく寄与します。
一方で、撮影許可は現場の鑑賞者に少なくないストレスを与えます。
私も撮影許可の場合はスマホやコンパクトカメラを使って撮影します。その際には、構図や他の来場者の映り込みを考えてシャッターを押します。
他の方に出来るだけ迷惑を掛けないように心がけているつもりですが、100%完全に迷惑を掛けない、ということは不可能でしょう。
森美術館のSNS担当者が語る本には、そういった現場の実態を少しでも触れて欲しかったと思います。
もちろん、簡単に解決できる問題ではありません。
周りへの気遣いや配慮は、美術館の中だけに求められるものではありませんが・・・。
いただいたサポートは、文化的投資に使いたいと思います!